待機児問題が注目されているが、一方で公立保育園の今後についても考える時期となっている。
 市民の方から聞かれたこともあり、現状を整理してみた。


■公立園と民間園の経費

 武蔵野市には公立(公設公営)の保育園が9園あったが、このうち5園が公益財団法人武蔵野市子ども協会に移管され、現在では4園が公立園として残されている。

 公立園の保育士は、武蔵野市の職員(一般職)であり、公務員だ。そのため、一般的に言われている給与が低い保育士とは言えない(平成26年度決算で平均年収は743万5000円。退職金は別)。※1

 このため、経費削減を目的に公立園を民間委託する流れが多くの自治体で起きている。保育園の経費のほとんどは人件費であるため、現在問題となっている給与の安い事業者へ委託すれば経費を削減できるからだ。


■公立保育園改革

 武蔵野市でも公立園をどうするかの検討は続けられてきている。古く15年に出された「武蔵野市公立保育園改革計画大綱」と大綱に基づく「武蔵野市公立保育園改革計画」だ。

 子育て支援施策を充実も行われたが、中心となったのは経営改革で、0歳児への加配保育士、2階保育士(避難時などを考慮し2階建て園に加配していた)の削減、用務職員の嘱託化、給食調理の定数削減があり、人員が足りなくなる場合は、非常勤職員による補充を行なうことになった。

 配置する保育士や職員を少なくし、非常勤職員(非正規)職員を増やすことで経費削減を狙った改革といえ、武蔵野市方式とも呼ばれた。しかし、正規保育士の割合が減ってきたことで保育内容の懸念が広がることになってしまった。

 さらに、地方交付税不交付団体への保育園運営補助金が平成16年度から廃止されたことで武蔵野市の公立園へ国から運営費補助金は得られていない。この時で年間約2億円の補助金がなくなってしまった。

 そのため、画像のように(※2)民間認可園の子どもひとり当たりの経費が年額約181万円なのに対して公立園は年額約264万円と約1.6倍の経費がかかっていた(19年度)。

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 このことから、株式会社など民間に委託することも考えられたが、株式会社への委託は前市長時代から疑問視しており、結果的に純粋な民間委託と公立の中間となる子ども協会移管となってきている。民間となることで補助金が得られることから、保育士配置基準を国基準よりも厚くすること、正規職員を増やすこと、公務員ほどの給与ではないが、生活ができる給与となり勤め続けられるようにするなどが可能となっている(新武蔵野方式)。


■15年後には公立園は2園に?

 長々と前提を書いたが、武蔵野市は、公立園の株式会社を含めた純粋な民間委託をしてこなかったが、現在残されている公立園がこのままで続くとは考えられないのが現状だ。

 下記のグラフは、昨年の市議会決算特別委員会で資料請求して提出された年齢別の公立園の保育数だ(※4)。子ども協会へ派遣している保育士も含まれているが、46歳以上の保育士が多く、45歳以下の保育士が少ないことが分かる。

年齢別保育士数


 さらに過去5年間に市職員として採用した保育士数も請求したところ、22年度に4名を採用した以降、ゼロであることも分かった。

 つまり、今後年齢の高い保育士の割合が増え、定年で退職していくことで公立保育士が減っていくことになる。
 現在、108名の公立保育士(正規)がいるが、10年後には71名、15年後には46人になる。武蔵野市の公立園は、一園あたり20名程度の正規職員を配置しているので、10年後には3園、15年後には2園しか運営できないことになる。

 残りの公立園をどうすべきか、となる。


■検討期間は31年度まで

 第四次子どもプラン武蔵野には、「新武蔵野方式により子ども協会に移管した5園の保育所の移管効果を検証するとともに、本市における公立保育所の役割・あり方を検討します」とあるが、具体的な動きにはなっていない。

 選択肢として考えられるのは、

/卦の公務員保育士を採用して公立園を4園継続する
∋劼匹盒┣颪悵楷匹垢
3式会社を含め民間委託する(子ども協会以外)

 この3つだろう。4園全部か1〜2園にするかも検討しなくてはならない。

 市による検討期間は、27年度から31年度。今年度を含め3年以内に一定の方向性を出すことになる。

 市民も議会も知らない間にいつの間にか決まっていたとならないように、今から市民も議会も公立園の存在意義と現状を確認した上で、今後を考える時期となっている。
 

※1 市報むさしの 27年12月15日号より
※2 武蔵野市公立保育園の役割及び認可保育園の運営形態を考える委員会−報告書−より
※3 「子どもプラン 保育園の新運営形態で考えるべきこと」の平成21年3月予算特別委員会資料「市立保育園職員数調べ」より
※4 2015年9月 決算特別委員会 会派請求資料