北海道栗山町議会が議会基本条例を制定し、今年で10年。どのような思いから制定をしたのか。当時の橋場利勝議長と中尾修事務局長から伺った。

 制定当時の議長、橋場さんは、5年前に議員を辞め(選挙に立候補しなった)、中尾さんも町職員を定年退職し、現在では現役ではない。ふたりがこうして、議会改革のついて同じ席に着くのは8年ぶりだという。現在の町議会についても、現役に任せたいと考え一歩引いた立場の住民として日々を暮らしているという。

 町議会を離れたとはいえ、当時の話を伺うと、並々ならぬ思い、熱意から議会改革が始まったことが分かる。この思いと熱意が全国にどのくらい広がっているかを、改めて考えなくではと思ってしまった。

IMG_5174IMG_5184■条例は念頭になかった

 橋場さんは、町民から「選挙の時だけ政策を語るが、終わると何もしない」と言われたことが改革の出発点だったという。自身もそう考えていたが、そんなことで住民の代表としていいのか、と疑問に思い始め、議会が住民意見を聞いている事例を元吉町から聞いたことから、栗山町議会でもやってみようと平成17年に議会報告会を行った。そのさい、条例のことは考えていなかったという。議会報告会は、議長になった時の思い付きの産物でもあったと話されていた。
 
 それまで、自らの支持者への報告をしていたが、議会として、そして誰が来るか分からないような会は始めてのことで、心配は尽きなかったが、やってみると良いことだとの感触をうけたのだそうだ。それは、町民が意見を聞いてもらう場を欲しがっていたことを実感したからだという。

 そのため、根付かせるが重要で続けていくためにどうするかを考え、条例にしたらどうかとなった。いわば、議会報告会のための報告会のための条例だったという。

 他の項目については、8割がたがやってきたことなので、明文化しただけのものだったという。


■議会と執行部には程よい緊張感が必要

中尾さんは、議会人という誇りを持った議員と仕事をしたことは今でも誇りに思っている。
 議会が議案を修正すると責任は議会になるので、説明責任が求められる。また、執行部にも緊張感が生まれる。議会と執行部と距離が保てないことが多い議会が多いが、執行部と程よい緊張感があった。職員として言えることだが、このような緊張感が職員を鍛えることにもなる。

 議長は、議会が住民と双方向の関係することを求めていた。それは、委員会での自由討議にも役立つ。100%間違いのない提案はない。今となって考えれば、修正は必要で、そのためにも住民には専門家もいるので住民の意見を聞けば、新たな発見があり参考になる。
 このような議会にするには、情報公開と住民参加が基本になる。

 しかし、制度としては、参考人と広聴会しかないので、自由に意見交換ができる「一般会議」を作った。これが結果的に大きなインパクトになった。
 住民は何を言っても変わらないと思っていたが、議会は聞いてくれる。住民の力も上げれば、生活が変わるという実感ができたからだ。

 議会改革には、住民を巻き込むことが必要だ。巻き込み方には課題があり、今でも克服できているとはいえないが、他の議会の良い事例を参考にして取り込むことも必要。これらのことをやり続けるには、通年議会にすることが必要だろうと話されていた。


■改革ツールとしての基本条例

 他にも苦労話を含めたいろいろな話を伺ったが、日本で始めての議会基本条例をつくった中心人物から伺うことで、住民に必要と思われる議会にすること、それには住民との対話が必要であること。そのために議会基本条例が"続けるための改革ツール"として必要不可欠ということが良く分かった。

 また、今やっていることを明文化するも重要であることも再認識した。条例を作ることで改革を進めることもできるが、できないことまでも盛り込むと、結果的に名前だけの条例になりかねないからだ。高い目標を条例化することも、時には必要だと思うが足元を見ながらつくることがまず第一なのだろう。条例制定と同時進行で現実的な改革を進めていくことが必要ということだ。
 
 武蔵野市議会でも議会基本条例に向けて動きだしている。各議員の思いはそれぞれだろうが、少しでも前進させていきたい。

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 お二人の話は、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の研修視察で伺ったもの。
 (写真左:橋場元議長  右:中尾元事務局長)