11月8日に武蔵野市公共施設等総合管理計画に関する特別委員会が開催され、11月公表版として公表された計画案について質疑があった。細かい修正が行われ、説明は深くなったが逆にシンプルに考えると何をしたいのか、もっと説明が必要になりそうだ。伝え方に工夫が必要だろう。
 
 
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 公共施設等総合管理計画は、少子化傾向と社会保障費の増加傾向などがあり、税収増が見込めないこと。一方でこれまでに建てた小中学校を含めた公共施設などの老朽化により建て替えが必要となることから多くの自治体で作成されている。

 しかし、誰のために何をするための計画なのか。今ひとつ、明確ではないのではないだろうか。

 武蔵野市の場合は、現状のままの数で建替えていくと約370億円の財政不足が予測されることから、公共施設の再編や廃止、複合化などを考える計画案となっている。

 持続可能な自治体にするためには、現状のままの公共施設で良いのか考える時期であり、再編や廃止は実行すべきだろう。この総論はいいとしても、個別の施設を廃止するとなれば反対運動が起きることは容易に想像がつく。

 個別施設をどうするかの議論の前に、総論として市民が納得できる計画となっているのか。そもそも、何をしたい計画なのか、今以上に明確にして、伝える努力が必要だ。
 

■誰のために何をする計画か

 細かいことは個別にご覧いただきたいたが、この計画は誰のために、何をするための計画かをもっと分かりやすくすることも必用だ。
 
 武蔵野市の場合、これまでの計画案(修正版)の目的には、『将来的に厳しい財政状況が予測される中で、将来世代に健全な財政と魅力あるまちを引き継いでいくことは、現世代の市民・行政の責務』、『更新等に際しては統廃合、複合化、多機能化、転用等による総量の縮減や整備水準等の適正化を図る維持・更新を行っていく』、『時代のニーズに合った利便性の高い、一定の質と量を確保する公共施設等の再整備を行っていく』など市民へ負担を求めるかのような厳しい言葉が並んでいた。

 内容的には、必要と考えるが、その選択は誰が、どのように行うかの視点が薄く、執行部が決めたことに従うといったように受け取られないかを危惧していた。
 
 あくまでも選択していくのは市民であり、その代表である議会が最終的には判断するのが本来だろう。このことを特別委員会では指摘してきた。
 
 そのためかどうかは分からないが、11月公表案では『今後の施設整備における水準や優先劣後等を市民とともに考えていく基礎資料とする』(1p)と明記されていた。

 このことが、この計画の最も重要な意義であり評価したい項目だ。議論する、対話することが、この計画の本来の目的であると思うからだ。
 
 余談だが、優先劣後という言葉はあまり使われないように思う。金融業界で使われる言葉であり、マネーゲーム的な意味合いになってしまわないか気にかかる。単なる優先順位でも良いようのではないだろうか。
 
 
■370億円の選択肢
 
 今回の公表版で追加された章立てに『 長期的な健全財政維持に向けた目標の設定』(p45)がある。これは、特別委員会が設置されていければ示されなかった論点ともいえる重要な章だ。
 これまで、現状のままの公共施設を維持・更新していくと約370億円の財源不足になるため、小中学校を含めた公共施設の再編や統合などを行うとしてきた。この370億円の考え方、根拠が明確ではないと特別委員会で指摘されてきたことで示された内容だからだ。
 
 その結果、今回の公表版には、整備水準や必要のない道路などを整備しない場合にどのような財政変化があるのかの資料も示されている。ここが、市民が選択するうえで、最も重要なポイントになるものだ。
 どこまで公共施設が必要か、新規道路や公園は、どこまで新規に必要なのか。公共施設の建替えの質はどこまで必要なのかの論点だ。
 370億円は、最大規模で見積ったものが特別委員会の審議のなかで分かったもの。370億円ありきではなく変えられることが公表版では明確になったといえる。
 
 
○都市基盤施設のうち、未着手の都市計画道路及び構想段階の区画道路の整備については、今計画期間からは除外する場合
◆財政的効果 概ね104億円

○都市基盤施設のうち、今計画期間中は、『緑の基本計画』で定める「新規公園整備面積2,000/年」を1,000 /年に、また既存借地公園の買取り想定年次を2 倍に延長する場合
◆財政的効果 概ね 37 億円

○公共施設の統廃合、複合化等により、総床面積を5〜10%縮減する場合
◆財政的効果 概ね 44 億円〜89 億円

○公共施設の整備単価を3〜5%低減する場合
◆財政的効果 概ね 27 億円〜44 億円

 
 他の自治体では、市民が選択できる要素がどの程度あるかで、市民の反応が違ってくるのだろう。

  
■長寿命化

 計画は、コンクリートの建物は築60年で建替えることを基本としている。しかし、60年で建替えなければならないかの、そもそもの疑問もある。
 
 例えば、先に文教委員会で視察した大阪市の小中一貫校は、築60年の学校で小中一貫校をスタートさせていたからだ。
 技術の進歩もあり、60年であるべきかを考えるべきだ。新しいものを作ることが最善という考え方も再考すべきだろう。60年を超えて問題なく使える建築物があれば、コスト的にどのように変化するかもこれからは考えるべきだ。

 このことは、モノを大切にすることや環境的な意味もある。また、コンクリートの歴史は浅く、今後、現状のコンクリートの建物の文化的意義が認められてくると保存することも必要となるだろう。その時に60年で建替えることが文化的に良いのかも考えなくてはならないはずだ。

 視点はたくさんある。結論ありきでなく、多様なテータを元に主権者である市民が議論できる基礎資料にすることこそ、公共施設等総合管理計画の意義があると私は考えている。
  
 
 
 武蔵野市公共施設等総合管理計画案、11月公表版は武蔵野市のサイトにあり、11月14日までパブリックコメントを募集している。まずはお読みなり、ご意見をお寄せください。