待機児が社会問題となり保育園の新設が求められているが、一方で土地が見つからないことや周辺住民の理解を得られないケースがあり、新設が進まない現状がある。そこで、自治体が持つ公共施設でもある小・中学校に保育園をつくることを早急に検討すべきではないか。

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■普通教室以外の教室は1小学校あたり34、中学で39ある

 武蔵野市の公共施設白書には、普通教室と職員室など管理用の部屋を除いた特別活動室とそのほかの諸室の合計は、市内小学校全12校の合計で408教室あると記されている。単純計算すると1校あたり34教室だ。同様に中学校は、6校合計で234教室。一校あたり39教室。
 音楽室や美術室など必要な特別活動室はあるとは思うが、なんとか準備室などの名称で、形式上、空き教室がないようにして教室は少なくないと日頃から思えている。社会問題となっている保育園待機児対策として使うことは市民的にも理解を得られるだろう。

 小中学校に保育園を併設する例は他の自治体ですでに行われており、例えば世田谷区では2教室で定員30名の認証保育所を中学校内に設けている。このこと考えれば、不可能ではない話だ。

 何よりも学校は教育委員会のものではなく、子どものためであり、地域のものと考えれば、地域の子ども課題の解決のために活用することも必要だ。世田谷区の中学校のケースでは、授業の一環で保育実習をするなど交流が行われ、中学生、園児双方に情操面でよい影響を与えているとの報告もあることを考えれば、教育面でも効果があることになり、積極的に進めるべきだろう。


■市長、教育長の考え

 そこで、先の12月議会の一般質問でこのことを提案してみた。

 ひとつは、策定された武蔵野市公共施設等総合管理計画に公共施設の複合化が今後必要になると記されていることもあり、待機児対策としての保育園を公共施設の複合化で開設することだ。

 二つ目は、小学校は、児童数の増加傾向があり、あそべえや学童クラブに必要なスペースがさらに必要になることを考えると、特に中学校を優先して考えるべきではないか、だった。

 市長は、動線や避難路の確保、保育の質や低層階で設置が可能か。対象となる公共施設の稼働率や現在の利用者に対する影響などの課題があるが、公共施設への設置は、すでに市民会館や児童館で緊急対策として開設した経緯もあり、待機児童対策として有効な手段の一つと考えている。
 早急に利用できるような場所があれば検討したいが、該当の場所が見つかっていない。中長期的に検討を行いたい。

 小中学校の余裕教室などを利用した保育園設置は、小学校については児童数も増え厳しい状況で保育スペースの確保は現状では難しい。中学校は比較的スペースにゆとりがあるように思われるが、階段が多い、低層階も現状では全て利用されていることで、現状では早期に保育園として活用できるスペースは見つかっていない。
 しかし、今後も可能な場所があれば、教育委員会あるいは学校長と協議をしていきたい。今後の建てかえでも保育施設との複合化の可能性については検討したい。

 教育長は、全体的にはよく活用されている状況だ。学校と児童福祉施設の複合化は、児童生徒の豊かな情操を育む教育に効果があると考えるので、中長期的には不可能ではないと考えている。
 しかしながら、面積の確保や学校と保育施設を分離した動線の確保、幼児用トイレなどの改修工事、管理区分の切り分け、給食施設の整備などの課題。学校の耐用年数との関係で、これらを実施しても、その投じた予算に見合う効果が得られるかの課題もある。建てかえ時期であれば柔軟な対応ができるのではないか、と考えていると答弁していた。


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■5年先でなく緊急対策で

 必要性は認識しており可能性もあるとして否定はしない答弁だったが、先送り的な発想で緊急的な待機児対策が必要と認識しているかとも思えた答弁だった。
 そこで、中長期的とは、具体的に何年のことか? 緊急対策として検討すべきと再質問したところ、中長期的とは5年〜10年というスパン。短期的な待機児対策も必要であり、可能性のある場所があれば、速やかに教育委員会、学校と協議をしたいと市長は再答弁していた。

 単純に考えれば、一中学校に30人定員の保育園(認証)を市内6中学校に開設すれば、180人の保育定員ができる。中学校保護者の理解は必要とは思うが、すでに学校がある状況で近隣住民の反対もないだろう(開設場所によりけりだが)。何よりも土地の取得は必要ない。早急に検討すべきだ。
 可能性は待っていても生まれない。自ら探すことが必要不可欠だ。その意思があるかが問われている。



【参考】
小学校に保育園の可能性
余裕教室を活用した保育所整備について(pdf)  国立教育政策研究所


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