武蔵野市は、JR中央線三鷹駅北口周辺の今後のまちづくりについてのビジョンを作成するため、市民ワークショップやシンポジウムを開催している。現状で方向性が固まったとはいえない段階だが、周辺には企業の本社があることもあり企業誘致を進めたいとの考えもその中にはある。大きな柱になりそうだが、その前になぜ本社があるのか分析が必要だろう。

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■三鷹駅北口の現状

 武蔵野市には、吉祥寺、三鷹、武蔵境の3つのJR中央線の駅があるが、吉祥寺は全国的に有名であえて説明する必要もないだろう。武蔵境は鉄道の立体化と駅周辺の再開発が終わったこともあり地下が急上昇し、NHKの首都圏ネットワークで取り上げられたように、新たなまちとして注目が集まっている。

 しかし、残る三鷹駅の北口周辺は(南口は主に三鷹市)、武蔵野市役所への最も近い駅であることや官公庁施設やオフィス、商業施設、医療施設も多いことから「武蔵野市の玄関口」と位置づけられているものの、コインパーキングなど多くの低未利用地が散在しており、今後、大規模開発が行われるとまち全体がどのようになるか不透明なのが現状だ。
 世界未来遺産に登録されることになった玉川上水が駅近くを流れていることや北村西望の「世界連邦平和像」が駅前にあるなど資源はあるのに市内の他の2駅と比較すると、もっと元気になってもいい地域でもある。このような状況もあり三鷹駅北口のまちづくりビジョンを早期につくるべきとは会派として長年提案してきた。


■企業誘致をしたい

 その結果かどうかは分らないが、武蔵野市や市民グループが中心となり、将来的なまちづくりのイメージを共有することを目的とする意見交換会を開催してきている。このことは評価したいし今後にも期待をしているのだが、昨年の11月にあった意見交換会(みたか北ぐち・みらいカフェ−part2)に参加したさい、これからの柱として企業誘致をする考えがあることが分った。

 前段が長くなったが、その理由は、現在でも企業の本社が多いからだ。
 例えば、横河電機やファミレスを展開する(株)すかいらーく、白木屋などの居酒屋チェーンを展開する(株)モンテローザ、牛めしの(株)松屋フーズ、定食店の(株)大戸屋ホールディングス、アニメーション・コミック制作の(株)IGポートの本社が三鷹駅北口周辺にある。さらに企業が来てもらえるのなら、通勤する人も多くなり商業などの活性化はできるだろう。
 
 しかし、あくまでも、来てもらいたい側の希望でしかない。どのまちでも企業誘致を行っており、企業側にメリットがなければ進出することはないだろう。


■なぜ本社があるか

 そう考えると、なぜ、ここに本社があるかを探ることがまず必要だ。私が参加した意見交換会のグループでは、まず企業側がなぜ本社を構えているのか、その理由、ニーズを探るべきでないかとの話しになった。

 この時に、すでに下調べはしてあるとの話があり、その内容は社長が市内に住んでいたなどがきっかけで本社があり特段な理由はない。本社は事務機能がメインになるため、高い地代を払ってまで都心に本社を置く必要もないから三鷹駅周辺にあるとの話だった。

 となると、本社がある秘密などという大それたものはなく、たんなる偶然の産物ということになる。となれば、今後はそう簡単には企業誘致はできないのではないかだろうか。


■場のメリット

 以前、三鷹駅北口にあるベンチャー企業、株式会社オリィ研究所を訪問したさい、なぜ、この場所に作ったことを聞いたことがある。

 その時は、働いている人たちの居住地から近かったこと。都内に出かける時に便利であることが理由だと話されていた。確かに東西線と総武線の始発駅であり座って乗れることや中央線の特別快速が止まるため、都内により早く行けるメリットがある。
 さらには周辺住宅地なので静かなことも良いとの話だった。
 
 つまりは、職住が近くで済むこと、環境が良い場所を探す企業のニーズもあることになる。大企業であれば難しいだろうが、ベンチャーも含めて中小の企業であれば、誘致の可能性はあるのではないだろうか。もっとも、これだけでは十分とは言えず、他に優遇策が必要だろう。そこを考えることこそ、本当に企業誘致を考えるのであれば重要になる。


■絵に描いた餅
  
 以前、インターネットという言葉が広がっていない1984年に、当時の電電公社が中心となりINSモデル実験を武蔵野市と三鷹市で行ったことがある。INSは、Information Network Systemのことで高度情報通信システムと訳され、電気通信回線を使ってコンピュータを接続させて各種のサービスを行うことだ。

 三鷹市では、この実験を元にベンチャー企業を育てる施策などが行われたが、武蔵野市では、残るものがなかったのが印象だ。今から考えれば、インターネット時代を先取りしていたのに残念でしかない。
 
 希望を語るだけでなく、具体策が必要ということ。どこにチャンスがあるかは探さないと分からない。ここを考えないと企業誘致は絵に描いた餅でしかない。今年からの動きに期待したい。


画像は、武蔵野市の資料から

【参考】
武蔵野市 三鷹のまちづくり
分身ロボの可能性/武蔵野市のベンチャーが開発