沖縄県久米島で海洋深層水を使った発電の実証実験設備を視察した。南の島だからできる再生可能エネルギー。地域創生に大きな力になるに違いない。


P2170682


■温度差で発電
 
 久米島(久米島町)で行われているのは、海洋の表面の温度と海面下約600メートルの海洋深層水との温度差を利用してタービンをまわし発電する海洋温度差発電と呼ばれる仕組みだ。
 海水の温度差による発電は、化石燃料やウランを使わないこと、日照時間や風など天候による変動がなく一日中安定して発電できることから注目されており、久米島にある実証実験設備は、最大出力50kWが可能で海水を使う施設としては国内唯一の施設だ。

 将来的には久米島の全電力をまかなうことが考えられており、この同様の発電方式を沖縄の沿岸部に設置していけば沖縄の全電力をカバーできると計算されているほどだ。

P2170673


■発電コスト

 商用化した場合の発電コストは、出力10,000kW級で20円/kWh前後、出力100,000kW級で10円/kWhと算定されている(海洋エネルギー資源利用推進機構(OEA-J) 海洋温度差発電分科会。沖縄県海洋温度差発電実証設備サイトより)。
 資源エネルギー庁の再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2016年度版によるとFITを考えない場合の太陽光発電の30.1〜45.8円/kWh、風力の9.9〜17.3/kWhと比較すれば安価なことが分る。

 ちなみに、このガイドブックによれば原発は9.5/kWhだが、安全対策費用や事故保障を考えるとこのコストにならないのはご存知のとおり。太陽光発電については、3円/kWhを切る海外事例もあるそうなので(スマートジャパンより)、コスト比較は難しい。


■発電だけではない

 話は戻り久米島の海洋深層水による発電だ。ここでは、海洋深層水を発電だけに使うのではなく、化粧品、海ブドウ、カキの養殖、さらには温泉施設などでも使用している。深層にあるので微生物がほとんどなく、ミネラル分が豊富なことから幅広く活用が必要で、今や久米島の最大の産業となっているのだそうだ。
 
P2170640


 課題は、まだ実証実験であり施設規模を拡大にするには資金が必要になることだ。しかし、多くの産業にも使えることを考えると、発電コストだけでは考えられないメリットが多い。このような仕組みに投資することこそ、地方創生につながる。そう思えてならない。

P2170675 久米島を訪れた時期は冬とはいえ、日差しは暖かく上着は要らないほどだった。気候だけでなく日本のエネルギー事情を改善し、気持ちも暖める発電装置になるに違いない。

【参考】
沖縄県海洋温度差発電実証設備