市税の減免規則というのがあるのをご存じだろうか? 生活困窮者や被災者なら分かるが、医院や弁護士の税金が議会の知らないところで安くされている。
 
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■曲者の規則
 
 税額は、首長や役所が勝手に決めないように議会が議決権限を持つ条例で決めるのが税制の基本だ。ところが、議会の議決をしなくても税金を安くしてしまう制度がある。
 
 
 武蔵野市の市税条例第34条には、下記のように規定がある。
 
 市長は、次の各号のいずれかに該当する者のうち、必要があると認めるものに対し、市民税を減免する。
(1) 貧困により生活のため公私の扶助を受ける者
(2) 当該年において所得が皆無となったため、生活が著しく困難となった者又はこれに準ずると認められる者
(3) 公益社団法人及び公益財団法人
(4) 特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する法人
(5) その他特別の事由がある者

 貧困や所得が急になくなってしまった人、公益性のあるNPOであれば市税を安くする(減免)のは理解できるのが、曲者が(5)にある「その他特別の事由がある者」だ。

 
■議決不要で減免 

 この「その他」については、「市税減免規則」で定められている。規則とは、議会の議決が必要のない制度(他に要綱も同じようにある)で、下記のその対象と減免の内容が記載されている。
 
(1) 所得税法(昭和40年法律第33号)第2条第1項第32号に規定する勤労学生 免除
(2) 武蔵野市土地開発公社 免除
(3) 弁護士会及び日本弁護士連合会、日本弁理士会、税理士会及び日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、土地家屋調査士会及び日本土地家屋調査士会連合会並びに行政書士会及び日本行政書士会連合会(収益事業又は法人課税信託の引受けを行うものを除く。) 免除
(4) 管理組合法人及び団地管理組合法人、マンション建替組合、地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項の認可を受けた地縁による団体(収益事業又は法人課税信託の引受けを行うものを除く。) 免除
(5) 災害被災者

 免除とは無料にすることだ。
 
 さらに、ここにはない別表に『健康保険法(大正11年法律第70号)第63条第3項第1号の規定により厚生労働大臣の指定を受けた保険医療機関である病院又は診療所の開設者』については、『固定資産税と都市計画税を2の1』にすると規定さえている。早い話、病院や診療所の固定資産税と都市計画税が半額にされている。
 
 なぜこのようなことになっているのか。
 生活が困窮しているとは思えないし、災害の被災者でもなく、税金を安くしないと開業してくれないとも思えない。
 
 
■政治的な制度

 何度も書くが、規則は、議会の議決が必要ないため、どのような団体や事業者の市税をなくすることや半額にすることは首長や役所が内部で決めてしまうことができる。言い換えれば、何かの見返りを目的に安くできる政治的な制度なのだ。
 
 議会の予算審議のさい、なぜこのようなことがおこなれているのかを質問してみた。答弁では、病院や診療所を半額にしたのは、国民健康保険が始まった時に始まった制度としていた。おそらくは制度を普及させるために考えられた“アメ”なのかもしれない。

 しかし、固定資産税と都市計画税なので、まちなかで開業している病院や診療所は恩恵を受けるがビルのなかで開業している医師などは賃料で支払うので恩恵を受けられない。同じ医者としては不公平に思うのではないだろうか。
 
 弁護士会などが免除になっている理由は分からないが、何かの理由があったのだろう。しかし、本当に必要なのか、時代も変わっている。生活が困窮していない人には、正当な税金を払ってもらうことが必要ではないだろうか。


■多くの自治体にある
 
 市税減免規則は、武蔵野市だけでなく多くの自治体で同様に設けられている。かつての武蔵野市では、「減免審議委員会」があり、減免内容を決めていた。同じ委員会とは言わないが、少なくとも税金を半額、あるいはなしにするのなら条例で決めるなど公に明らかにして決めるのが最低条件だろう。
 
 免除や減免を市民が納得できるのあれば、あっても良いとは思う。だが、その理由を明確に示して必要かを問うべきだ。市民や議会の知らないところで税額を安くすべきではない。
 
 予算審議のさい、このことも質問したところ検討したいとの答弁だった。他の自治体でも考えてもらいたい。一自治体だけで正規の税額に戻すと、お隣りの自治体へとの比較になり、税額の安さ競争ともなってしまい税金の公平性も歪んでしまうからだ。
 
 見えないところにあった税金の問題。納税者も考えてほしい。

※写真はイメージ