保育園待機児が社会問題となっているが、同じように保育園に行きたくても行けない子どもが増加している。その子どもたちは、医療的ケア児と呼ばれている。


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■助かった命
  
 医療的ケア児とは、日々の生活で、医療的ケアを必要とする子どもたちのことだ。医療的ケアとは、たんの吸引やチューブにより胃に直接や栄養を送る「経管栄養」などを行うことで、病院以外の日常生活でも支援が必要となっている。

 このような子どもたちは、新生児医療の発達によりNICU(新生児集中治療室)が増設され、その結果として以前なら出産直後に亡くなっていた超未熟児や先天的な疾病を持つ子どもなどが助かるようになり増えている状況だ。

 医療的ケア児の家庭の様子を聞くと、医療的ケアが一定の間隔で必要なため、24時間365日、家族が常に一緒に過ごしケアをしている。両親が一緒に寝たことはなく、どちらかが必ず起きていなくてはならない。ほとんどの家庭で睡眠時間は6時間未満で、しかも断続的に起きなくてならず心身とも疲労が積み重なっている。場合によってはネグレクトにつながることもあると話されていた。
 
 両親とも仕事を続けたいとは考えているが、保育園や幼稚園で預かってもらえることはほとんどないのだそうだ。医療的ケア児は、医療的ケアが必要となるため、看護師など対応できる職員を配置できないことが理由とされている。
 保育園や幼稚園にか通えないのであれば、専用の施設をつくることが考えられるが、現状でそのような施設はほとんどなく、医療的ケア児が過ごせる場所は、日本ではほとんどないとの話も伺った。


■制度が想定していなかった子どもたち
 
 なぜこのようなことになっているか?
 それは制度が想定していなかった子どもたちだからだ。
 
 障がいを持つとなれば、障がい児となり国や自治体の支援がある。しかし、現在の制度では、歩けないなど身体的な障がいや知的に課題があるなどの状況で障がい児かどうかを認定するのが前提だ。そのため、医療的ケアは必要ではあるが、歩くことは可能で知的にも課題がない子どもは認定されないのだそうだ。認定されとしても、重度ではないため24時間のケアに対するような支援が受けられない。結果として十分な支援がない現状となっている。
 
 いわば制度のはざまの子どもたちなのだ。
 

■法は改正されたが

 このような子どもが増えていることはあまり知られていなかったが、NPOフローレンスが障がい児の保育園「ヘレン」を開設したころ、民進党の荒井聰議員が視察。この問題に気が付き、ご自身のお子さんが医療的ケア児である自民党の野田聖子議員に声をかけ、さらに超党派の国会議員と厚労省や文科省の役人にも声をかけて「永田町こどもみらい会議」が発足。視察や議論を重ねて、障害者総合支援法の改正へとつながった。
 
 そして、改正された法律では「医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健・医療・福祉等の連携促進に努めるものとする」と書かれたのだ。
 
 しかし、実際に対応するのは自治体の努力義務となっており、補助金もない。そのため、多くの自治体は動こうとしていないのが現実。武蔵野市をはじめ、多くの自治体の対応がこれから注目されることになる。
 

■受入に大きな問題はない

 医療的ケア児のご両親や保護者に話を伺うと、医療的ケアは看護師が配属されていれば可能だが、タンの吸引は10日間の研修を受ければ保育士でも対応はできる。特定の子どもであれば2日間で可能。タンの吸引は2時間に一回必要だが、一回につき一分もかからない。おむつを替えるより短い。場所も洗面器が一つ置ければいい面積があればいいので、大きな問題はないとされていた。
 
 医療的ケア児は、発育が遅く知的にも遅れているように思われてしまうが、他の子どもと過ごすことで劇的に変わってくる。他の子どもと話したいと想うことや、同じのものを食べたいと思うようになりチューブを外し声を出すようになった例もあるそうだ。
 
 子どもは他の子どもと関わること、集団生活でより成長できる。このことは明らかなこと。医療的なケアの内容によりけりだが、子どもの育つ環境として保育園や幼稚園で対応できるようにすることが求められていると言える。
 
 
 
■武蔵野市の対応

 29年度予算審議で、法律が改正され努力義務ではあるが医療的ケア児の対応が必要となった。平成30年に認可園5園、認証3園の開園が急務であることは承知しているが、緊急待機児対策が一定のレベルに達した後には、このような子どもの受け入れを早期に検討すべきではないかと質問した。
 
 答弁では、どのような支援ができるか検討していきたいとしていた。
 
 武蔵野市の保育のガイドラインには、認可保育園の具体的役割5つ示しているが、その中に下記がある。
 
 『養育困難ケースの対応を行う保育施設としての役割』
 
  市の今後に期待するとともに、今後も調査をしてきたい。
 
 
 写真は、当事者の親子と法改正の元になった「永田町こどもみらい会議」について荒井議員から伺った地方議員の勉強会で
 

【参考】
全国医療的ケア児者支援協議会