沖縄県立久米島高校魅力化プロジェクトについて視察した。子どもが減る中で、県外からの留学生を受け入れることで将来の島の担い手づくりや島内の活性化を目指す内容だ。東京からかなり離れているとはいえ、参考なることが多々あった。
 
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                    ▲じんぶん館
 

■園芸科がなくなると…
 
 魅力化プロジェクトは、生徒数の減少から久米島高校(学年で普通科2クラス、80名、園芸科1クラス、40名)の園芸科の生徒募集を平成26年度で止めると県教育委員会から提案を受けたことがきっかけだ。離島にとって、園芸科がなくなることは一つの科がなくなるだけでなく、基幹産業である農業の担い手不足に直結する問題であり、学ぶ場の選択肢は少なることで家族ごと沖縄本島などへの転住が増え、島の衰退にもつながる大問題と行政や議会、商工会、住民が考え、島ぐるみで始まった。
 

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                            ▲久米島高校

 その対応として考えられたのが、島外からの留学生を受け入れることだ。東京などで説明会を開催し、久米島をアピール。その結果として28年度で21人が島外からの生徒となっている。
 
 都会からの生徒が島の生活になじめるのかと心配してしまうが、ひとなつこい島の性格もあってか打ち解けることが早く、すぐになじむのだそうだ。人とのつながりだけでなく、豊かな自然に囲まれ伝統文化に親しむうちに自分を考えることにもなり、さらに日本や世界を考えられるようになるとの話も伺った。


■自然と時間
 
  考えてみれば繁華街と言われるようなところはないのだから、考える時間が多くなるのかもしれない。成長過程にあってこのような時間を得られることは大切なことだとも思う。
  
  そのことでなぜ大学を目指すのか。何をしたいのかを自分で考え学習意欲へと結びつく。あるいは、農業への関心が高まり島に住みたいと思う生徒もでてきるのだそうだ。都会ではなかなか難しいが、本来の学習の機会がここにはあるのではないかとも思えた。


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■地方創生
  
 島外からの生徒は、当初はホームステイで考えられていたが、国の補助金を使い建てられた宿舎「じんぶん館」で暮らす生徒が増えている(最大で32名が生活できる)。この「じんぶん館」は学習センターが設けられ、島内の子どもたちの塾の機能も備えており、講師は、国の補助金で東京などから来ている職員が担当しているという。
 その補助金は、いわゆる地方創生のために考えられたもので、職員は地域おこし協力隊だ。有効に使われている実感がこれまでにはなかったが、この様子をみると大いに意義があると思えてきた。ただし、職員への補助金は3年間までなので、その後はどうなるか分からない。意義があるので町の財政で続けたいと町の担当者は話されていたが、気になるところだ。


■外からの刺激
 
 また、島外から生徒が来ることで島内の生徒にもいい刺激になっているという。それは、子ども頃から島で育っているといつも同じ相手と話すことになり、島外の人と話すことが苦手になってしまう課題があるのだそうで、留学生がやってくることで、この壁がなくなってきているとの話も伺った。このことは、高校を卒業していくと島を出ることが多い生徒にとって、都会で暮らすことを見越しての教育につながっているのだそうだ。
 
 狭い世界、あるいは固定された世界は安心かもしれないが、その後により大きな壁にぶつかると超えられなくなってしまうのかもしれない。成長には刺激が必要で、それがより大きなステップになるとも思えた話だった。話が飛躍してしまうかもしれないが、小中一貫で9年間過ごすよりも、小学校から中学校へのギャップがあったほうが、より成長しないか、とも思えてしまった。

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■ないものねだりではなく 
 
 久米島は、深層海洋水を使った発電や養殖、化粧品の製造などにも取り組んでいる。「じんぶん館」で学ぶ生徒にはタブレットを貸出し、自宅でスタディアプリも使用しての学習もするのだそうだ。民間の塾がないからと諦めるのではなく、できることは何かを考えて実行していることになる。ないものねだりや人任せでいるだけでは何も進まないからだ。このことは、都会でもおなじだろう。ものにあふれていても、本当の効果的なことは何かを問い直すことが逆に必要だ。
 
 豊かな自然の中で最先端のことも含め多様な取り組みを行う。それも、島のメリットを活かすことでやろうとしているのが久米島町であり、その象徴ともいえるのが久米島高校魅力化プロジェクトに思えている。
 
 私がこれから高校生になるのだったら行ってみたい、あるいは今からでも遅くないか…、とないものねだりをしてしまいそうな魅力的なところだった。
 
 

P2170606(追記) 
 視察は、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟で行ったもの。久米島の魅力については、大田治雄久米島町長から昼と夜にたっぷり伺った。この場で恐縮だが感謝いたします。