強い議会を支えるために議会図書室に司書を配置した呉市議会の報告を聞いた。議会図書室は法律で設置が義務となっているが、実際は物置化している例が多い。呉市議会の実践は、せっかくある議会図書室を活性する先例となりそうだ。
 
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■かつては物置
 
 呉市議会は、議会基本条例を制定し、議会図書室の機能強化に努めると規定したまでは良かったが、実際には物置状態で使えない資料が山積み。携帯電話を変えるか密談の場所となっており、図書購入費は年間2万円という状態だったのだそうだ。
 
 その議会図書室を改革しようと議員と事務局職員の思いが一致したこと。新庁舎が建設されることもあり、新たな議会図書室を考えることになった。
 先例市を視察することや国立国会図書館からの研修を受けたことで、図書館機能とは何か。貸出しだけでなく、機能として重要なのは情報収集機能や調査を行うレファレンス機能にあることに気づく。そして、図書購入費を年額30万円に増額するだけでなく、平成28年4月から常駐の司書を配置するようにしたことで大きく改革が動き出した。

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■司書を常駐に
 
 常駐の司書がいることで新着の図書の紹介や子どもの貧困や働き改革など注目されている政策に関する図書を紹介し、一般質問に使えるようにすること。過去の議事録から議員が関心あるテーマを設定し、必要と考えられる情報を議員個人へメールで提供すること。そして、一般質問や政策形成、視察などの情報収集を司書が担い、公立図書館や専門図書館、大学図書館などと連携し調査を行うことを始めている。
 
 その結果として、一般質問をした議員の約半数が議会図書室のレファレンスを利用し、委員会での議員の質疑や委員会の調査でも活用するようになる。司書を配置した後では、32名の議員のうち、29名が議会図書室を活用するようになり、物置から議会図書室が議員の知的拠点となっているとされていた。
 

■課題
 
 一方で、司書のスキルをどのように上げていくのか。高度な専門性が必要場場合の連携先の開拓。議員が頼りにすればするほど司書の業務が増えてしまうことも課題だとされていた。
 常設で配置されているとはいえ、1名のみ。嘱託職員であるため安定し継続した雇用ができないこと。給与の昇給はないことからモチベーションを保っていけるのかの疑問も残った。
 
 
■司書の本当の能力

 呉市議会からの報告は、私が事務総長をしているローカルマニフェスト推進地方議員連盟の勉強会で行ってもらったもの。議会図書室改革を目的に行っている勉強会の4回目に、2016年マニフェスト大賞優秀成果賞を受賞していることもあり、東京へ来ていただいた。
 
 議会図書室に司書、あるいは専任の職員を配置しているのは都道府県議会ではあるが、市レベルで1%しか配置されていない現状がある(図参照:LM地議連/マニフェスト研究所 2015年議会図書室調査より)。とかく人を減らすことが改革と考える人は多いが、必要な機能のためには必要な人材と費用をかけて、効果を出すことこそ、本当の改革ではないだろうか。

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 勉強会の当日に一般質問などで使うために公立図書館の司書にレファレンスを頼み資料を探してもらったことがあるかと参加者に聞いてみたところ皆無の状況だった。私も活用しているが、必要以上の情報を探し出してきてくれる調査能力を持つのが司書でもある。しかも無料だ。使わない手はないだろう。

 議会事務局に調査係をおく議会はあるが、図書館司書は調査係とは異なった視点やネットワークから情報を見つけ出してくる。事務局と司書とタッグを組んで議会や議員の調査能力を向上させれば、より強い議会、より機能する議会へとつながる。議会改革として、武蔵野市議会も含めて多くの議会で参考にして欲しい。
 
 
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▼写真(上から)
・呉市議会の司書、重森貴菜さんとコメンテーターとして参加した江藤俊昭山梨学院大教授
・会場の様子
・勉強会のコーディネーターであり後半のディスカッションを担当した川名