人口が密集する武蔵野市でさえ問題視されているのが公共交通の空白地域だ。地方であればなおさらだろう。京都府京丹後市を訪れ、その解決策のヒントを得てきた。

P2190458

 
 京丹後市は、公共交通の問題を以前から抱えており、上限が200円の乗り合いバス、乗り合いタクシー、スマホのアプリ「ウーバー」を利用した運行も行っている。いわば、公共交通空白対策のオールスターがそろっている自治体でもある。今回は200円バスの視察報告だ。


■1150⇒200円に値下げ

 乗り合いバスは、民間のバス会社が運行し赤字が続き、京丹後市からの補助金で続いているような状況だった。運賃は最高で1150円。合併により市域面積が広くなり、さらに人口が減っていくこともあり経営は悪化。市からの補助金も増える一方だった。

 このままでは、バスを廃止するしかないとなっていたが、ここで逆転の発想があった。利用者から意見を聞くと200円ならもっと乗ることが分り、利用料を200円にすることで乗客を増やし利益を上げようとしたことだ(回数券ならより安くなる)。

P2190469



■コミュニティバスにはしない

 自治体による公共交通というと、ムーバスに代表されるコミュニティバスが一般的だが、バスを購入する初期投資が必要なこと。運行を担う民間事業者がいないこと。バスをコミュニティバスに使う小型のタイプにしても運行コストはさほど変わらないだけでなく、乗り心地は大型のほうが良いことなどがあり、京丹後市の場合は、現状の路線バスへの支援を見直すことにした。

 それが運賃を下げることだが、普通に考えると値上げや便数を減らすことなどとなるが、いったい、いくらならもっとバスに乗るか。もっと乗りたくなるためには何かを調査している。


■ニーズにあっているか

 この調査で浮かび上がったのが、利用したい時間帯にバスがない。行きたい場所へ運行していない。鉄道との接続が悪い。すべてのバス停の時刻表が周知されていないため、自宅近くのバス停に何時バスが来るか分らないなどの課題が多いことに気がつく。

 市も担当課だけでなく、所管を超えた横断的なプロジェクトチームを発足させ、地域を知る職員だからこそ分る移動のニーズも考え、また自らバスに乗りどうしたら乗客が増えるかの対策を検討した。

 その結果が、ルートの見直しや便数などの課題を解決したうえで、運賃上限を200円にすることだった。

 バス会社もこの値下げに驚いたが、市職員との関係も深まったことや赤字が増えた場合は市が負担する(一部京都府)ことで説得、実際の運行が始まった。


P2190453


■成果は

 その結果は、最低の利用者数だった平成18年の17万4000人(年間)から平成22年には36万5000人と倍に増え、利益も25%向上した。また、学生の通学定期代が最大で72,620円だったのが17,780円(33ヶ月)へと安くなり、さらに乗車する学生が増えたことや便利になったことからマイカーをやめた高齢者も増えたというメリットもでてきている。

 市からの補助金は、平成18年の年間約8700万円から平成24年で約6900万円と微減している。200円バスを導入していないとすると、平成24年で1億円ほどの補助金になっていたと推計されていることを考えれば、公共交通を"救った"対策であったことも分る。

 バスは赤字。だから700円の乗客を2人にするのではなく、200円の乗客を7人するという発想の転換が功を成したともいえる。

 一方で課題は、日中の乗客が少ないこと。ジオパークを回る路線バスなので観光客に乗車してもらいたいが宣伝が届いていないことがある。

 課題解決はこれからとして、コストがかかるからコストカットではなく、ニーズを探り利用者を増やすこと。これも行政改革の好例だといえる。参考にしたい。

P2190461

    ◆

 
 ちなみに、京丹後市では、公共交通の背骨が路線バス。その背骨へ出るための公共交通としてコミュニティバスや乗り合いタクシーも導入している。その中でも最も興味深いのはスマホを使ったタクシーの配車アプリ「ウーバー」を使った公共交通だ。これは次回に。