京丹後市ではスマートフォン・アプリを活用した配車アプリ、UBER(ウーバー)を使い住民同士で公共交通の空白を埋める「ささえ合い交通」が行われている。交通空白地域解消の切り札になるか? 実際に訪れ乗ってみた。

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■ウーバーとは

 ウーバーは、スマートフォン・アプリからGPSを利用し自分の位置と目的地を指定すると、近くにいるドライバーが車を運転し利用者の元に訪れ、目的地まで走るというもの。
 アメリカで開発され、世界70カ国、450以上の地域で使われている。都市であればタクシーの配車に使うことができるが、海外では、一般の人が自分の車で利用者を運ぶことも行われている。時間に余裕がある人の小遣い稼ぎや自家用車として眠っている車の活用となり、利用者側にもすぐに車が来てくれることやドライバーを評価するシステムがあることから、気分よくタクシーに乗車きるなどメリットが評価されている。

 海外では普及していると聞くが、国内では「白タク」となるため現状では認められていないが、京丹後市の丹後町地域だけでは認められている。
 その理由は、民間のタクシーが撤退してしまったタクシー空白地域であるからだ。

 京丹後市では、先に紹介した200円バスなど公共交通の維持を続けているが、細かな路地や幹線道路から離れたところまでは届かない。そのため家からバスのある幹線道路へでるため公共交通がないことが課題となっていた。特にマイカーを運転できない高齢者が多く、さらに都市部とは違い広域な範囲に点在して住んでいる地域では切実な願いともなっていた。

 そこで着目したのがこのウーバーだった。


■住民同士で支えあう

 「ささえ合い交通」で「タクシー」となるのは、地域に住む人と住民の車だ。必要な人がウーバーに入力すると連絡が入り同じ地域の人が自らの迎えに来て、目的地へ連れて行ってくれる。運賃はタクシーの約半額で設定されており、乗車できるのは丹後町地域のみ。目的地は同地区と京丹後市内(逆は不可)のみとして、他の地域のタクシー会社と競合しないように配慮している。

 運行するのはNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」でドライバーを管理することが主な業務となる。料金の一部からウーバーのシステム利料が支払われ、あとはドライバーとNPOへ一定額が入る仕組みだ。

P2190475 行政からの支援は運行する車には法的な整備が必要となることから、初期投資となるこの整備への補助をすることと、後ほど紹介する利用促進の案内業務のみで運行経費には補助をしていない。200円バスなどを含めた公共交通の利用促進のパンフレットを作ったり、広報をしたりするなどの側面支援のみとなっていた。


P2190481■利用は簡単 ドライバーに手取り額を聞く

 実際に運用している地域へでかけ、道の駅でアプリをスマホにいれ、その場で目的地をいれ車を呼んでみた。すると5分もかからず車が到着し、目的地まで最短距離で行くことができた。

 道すがらドライバーの方に聞くと、近隣に住んでおり時間があるときにドライバーをしている。利用者からの連絡が届くタブレットを常に携帯している必要はあるが、ドライバーができないときには対応しないので気は楽。利用者はドライバーの評価を入れることができるのと同じようにドライバーも利用者への評価を入れることが可能で、悪質な利用者に出会うこともないので、安心してできる。

 一方で利用者はスマホやタブレットで地図アプリを見ているので、最短距離を走行しないと苦情になるので注意は必要ですね、と話されていた。

 気になるのはドライバーの手取りだが、熱心にやるかどうかで変わってしまうので一概に言えないとされ、推測だが多くでも数万円レベルが実態のようだった。

 車の整備を常にしておく必要はあるとしても、時間に余裕があるときに対応すればいいのだから、正業ではなく副業と考えれば、魅力はあり、タクシー空白地域には効果的な事業と思えた。


■課題もあった

 順風で進むかと思えたウーバーだが、想定では考えられなかった課題があった。

 今回利用してみて、ウーバーの利用料はクレジットカード払いなので、その場での現金の受け渡しはいらない。アプリで呼んで、目的地に着いたらそのまま歩き出すことができるので時間の短縮になり便利だと思ったが、年齢やICT機器への慣れがないとできないという課題になったのだという。

 スマホやタブレットを使ったことがない。クレジットカードも使ったことがない高齢者が多く、ウーバーを使いたくでも機器を操作できないで利用ができなかったのだ。

 そこで、利用から電話で場所と目的地を聞くサービスをはじめ、支払いも現金でできるようにしたところ、利用率が上がった。この電話サービスも上記のNPOが行っている。この課題を考えても、同じような問題を抱える地域でも広がる可能性を感じた視察だった。

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■都市部では

 武蔵野市のような都市部でも公共交通の空白、といより不便地域があり対応策を求められることがある。武蔵野市では、コミュニティバス(ムーバス)の他に高齢者や障がい者を対象に、住民がドライバーとなり小型車を使い移動サービスを行う「レモンキャブ」が行われている。
 空白地域対策というよりは移動支援との考え方で事業目的は異なるのだが、住民が主体となるのは同じだ。違うのは行政が車両購入費を支援するなど京丹後市よりも手厚い補助をしていることだ。

 武蔵野市だけでないが、今後高齢化が進み移動支援がより必要になり、現状より費用がかかることは明らかだ。
「ささえあい交通」のようにICT機器を使い、住民同士が自らの車で支援しあうことも考える必要がありそうだ。