住民参加には、議論を重ね提案をしても何も変わらない。結局は行政のアリバイ作りとの批判は少なくない。香川県三木町では、住民から提案されたものには予算を付けて実行する仕組みがあった。住民参加のあり方として参考にしたい。

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■コストも含めた提案

 三木町では、無作為抽出で選ばれた50人の市民による「百眼百考会議」が設置されている。この会議は、筒井敏明三木町長の「まちづくりは人づくり」の理念のもと、住民から政策提案をしてもらうことが目的だ。
 会議は4つのテーマごとの分科会に分かれ、4月から議論をはじめ、10月に政策提案をまとめ、町の幹部に行うべき施策のプレゼンを行う流れとなっている。

 特徴なのは、提案には、現状の課題と施策の内容だけでなく施策を実施することによる効果と具体的なコストも計算されていることだ。多くの場合、何か充実させてほしいなど理念的な内容になるが、コストまで提案する例は聞いたことがない。

提案書(安らぎづくり) (1)_ページ_3


 例えば、画像にあるのは、コンポストの普及促進に対してのコストだ。この提案書には、生ごみの減量化を目的としてコンポストの補助金を提案しているのだが、個人だけでなく自治会にも奨励金を出して普及させようとしている。さらに、継続して使用することに意味があるため、自治会への奨励金は使用した後に写真つきの報告書を提出してもらってから払う(後払い)方式としていた。
 補助金を出すだけではなく、使用を続けることまで見越している施策ともいえる。

 コストを含めてのここまで作りこんだ施策は、住民だけでは算定できないため職員がサポートをするとしているが、そこまでやる理由は何か?


■経営感覚

 町長は、予算まで考えないとコスト感覚のない提案ばかりになってしまう。町民にも経営感覚を持ってほしいからだと説明されていた。

 確かに、コストを考えないと、あれも欲しい、これも欲しいとのウイッシュリストになりがちなのは住民参加の課題でもある。その先には財政破綻もあるだろう。税収が増えていかないこれからの時代には、コスト感覚を持ってもらうことも大切だ。

 また、コストが考えられていないため具体策にならず、住民からの提言が実現されないことにもなる。結果として、ガス抜き、形だけの参加と参加者からの批判につながることにもなる。コストは現実性を持たせるには必要な要素だろう。


■予算も用意

 三木町では、プレゼンで優れた提案と判断された場合、翌年の予算に盛り込むとしている。その額は、町の一般会計予算の約1%、約1億円だ。町も予算を確保し、提案にこたえようとしていることも特徴だ。

 1%といえば、市川市の1%支援制度が有名だ。市に入る個人住民税の1%相当額を地域づくりの主体であるボランティア団体やNPOなどの活動に対して支援するもので、支援先は住民が決める、住民が税金の使い方を直接決める仕組みで、いわば住民自治の分かりやすい仕組みでもあった(現在は市民活動団体事業補助金制度へ変っている)

 山形県遊佐町には、少年議会がある。子どもが議員となって市長などに質問をする制度だが、ここの特徴は少年議会に予算枠があり提案から実際に事業が行われることもあることだ。

 言葉だけの提案だけでなく、実際に予算が付き、事業となり動きだすことで、参加のリアリティがでてくる事例だろう。


■現実性を考える

 アリバイ作りのための市民参加とはよく言われる言葉だ。そこには、行政の思惑もあるだろうが、現実的な、具体的な提案がないことから実現できない。絵空事だから、現実に結びつかないこともあるように思えてならない。

 コストという現実を考え、本当に住民のためになる政策を提案し、実現することで、参加意欲も高まり、意義もより高くなる。コストを計算することは、不要な施策や非効率的な施策を行わないことにもつながることになる。
 さらに、住民参加による成果として事業を行うために予算を持つことで、参加意識をより高めることになるのだ。

 コストを考えることで経営感覚を持った人づくりになり、それがまちの未来を考える人を増やし、その結果がまちの元気力になる。三木町の取り組みは多くの自治体で参考になると思えてならなかった。

 三木町では、実施しただけで終わらず、その進捗状況も報告している。今後は、提案した住民による評価をして改善していくPDCAをまわすことも必要ではないだろうか。このことも参考にしたい。

※内容は、私が事務総長をしているローカルマニフェスト推進地方議員連盟が開催した四国勉強会で伺った。

【参考】
三木町 百眼百考会議

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