病院の廃院や入院機能の停止で吉祥寺地区の病床が激減し、病院機能が大きな課題となっている。今のところ、解決策は見出させていないが、現状をまとめてみた。

IMG_6845



■3年間に134床が減る

 吉祥寺地域には災害時の拠点病院となる吉祥寺南病院をはじめ松井外科病院、水口病院、吉祥寺あさひ病院、森本病院が入院可能な病院がそろっていた。

 しかし、平成26年10月に松井外科病院が91床の入院機能をなくし、29年4月には水口病院が廃院したことで43床が減少。合計134床の病床が短期間でなくなる状況となっている。

 さらに、127床ある吉祥南病院と78床の森本病院は、耐震化も含めて施設の建て替えが必要な時期を向かえているが、法の規制では現地で同規模の施設を建替えられない課題が出てきている。吉祥寺あさひ病院は、人工透析など腎不全の治療を主体とした病院であるため吉祥寺地区の医療体制、特に入院機能に不安が出てきている状況だ。


■都の計画で増床ができない

 対応策として考えられるのは新規の病院の開設だが、病床数は東京都医療計画で医療圏ごとに基準病床数が定められており、これを上回る増床が認められない。吉祥寺を含む武蔵野市が属している北多摩南部医療圏は59床上回っているため新規や増築などができない状況となっている。

 この状況で28年11月に吉祥寺南病院と森本病院は、共同による新病院建設計画を公表した。両病院のサイトにある計画によると、吉祥寺南病院に隣接した旧前進座跡地に200床程度の病院を建設したいとしている。


■建替えも現状ではできない

 両病院の病床数とほぼ同じ数となるため、新病院には期待をしたいところだが、今後は法規制の課題がでてきている。都市計画の用途地域で、この地区では病院が建てられない規制がかかっているからだ。

 用途地域を変更することも法的には可能だが、吉祥寺の一病院のために変更していいのか。他の地区の病院も建て替えをしたいとなったら、同じように変更するとの課題も出てきている。用途地域を変更することは、資産価値が大きく変わることにもなる。

 病院だから公的な意義はあるとした場合、では他の場合はどうなるか。際限が効かない状況となってしまう危惧もでてきてしまう。


■陳情が提出される

 これらの課題もあり、市は対応を行っているとしてはいるが目に見える形とはなっていない。そのため、市議会には、「吉祥寺地区の医療と病院機能の維持に関する陳情」が提出され、現在、厚生委員会で継続審議中となっている。議会としても吉祥寺地区の医療を検討しなくてはならない状況だ。

 課題の対策には、用途地域を変更する。都計画の病床数の上限をクリアすると大きなハードルが待ち構えている。
 また、病床数の上限が決められている北多摩南部医療圏の地域は、武蔵野、三鷹、小金井、調布、狛江、府中の6市で構成されているが、武蔵野市民が狛江市の病院へ行くかと考えれば、この医療圏の考え方自体にも疑問は残る。

 このように吉祥寺地区の病院・医療は、大きな課題に直面しているが、現状で議会からの提案を含めて解決策は見えていない。次回の審議を含めて、進展があれば続報していきたい。まずは現状の確認まで。



写真は建設計画がある吉祥寺南病院の隣接地。現在はパーキングとなっている

【参考】
吉祥寺地区の医療と病院機能の維持に関する陳情

吉祥寺南病院
 吉祥寺地区の病床確保に向けた建替え計画について
森本病院
 新病院建設計画のご案内