小中一貫教育校に異議を示す人達が建設事業者から訴えられている杉並区の様子をうかがってきた。

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■スラップ訴訟とは 

 杉並区は施設一体型小中一貫校をすでに開校し、現在では高円寺でも建設が進められている。その工事に関連して住民が訴えられたもので、その内容は、反対運動の中止を求めるものだった。

 このことが、いわゆる、スラップ訴訟ではないかと指摘されている。

 スラップとは、Strategic Lawsuit Against Public Participationの略で恫喝訴訟、威圧訴訟などと呼ばれている。訴訟によって建設に反対する人たちを威嚇することが目的となるものだ。

 今回は訴えられた側からの意見を9月2日にあった集会で聞いた範囲のもので、行政や建設事業者からは話を聞いていない。そのため、訴訟を起こした側、起こされた側のどちらが正しいとは判断できないことは、まずはご理解いいただきたい。


■争点

 集会では、訴えられた側の弁護士から、今回の問題点が報告された。

 簡単にまとめてみると、訴えられたのは8人。工事現場に抗議に来ていた人は多数いたが、最も多く来ている人に絞ったのだろう。内訳は、男性2名、女性6名で年齢は、68歳〜71歳と話されていた。
 
 訴えた理由は、
 ‖臉爾鮠紊欧襪覆匹旅概長堝亜
 ¬腓料阿芭ちはだかる。
 M形力行使(工事関係者の作業用具を奪い取るなど)
 こ惺刺瀉脇發卜ち入った。

 などで妨害行為によって損害を被っている、あるいは、損害を被る恐れがあるので建築妨害の禁止の仮処分を求めたもの。

 仮処分とは、裁判の結果を待っていると不利益が出るので、工事を妨害しないように暫定的な措置を求めるものだ、

 
 訴えられた側は、内容が曖昧すぎる。具体的な被害が出ていない。そもそも小中一貫校は問題があり、住民は納得していないなどと反論した。

 しかし、5月に訴えのとおりに裁判所は、業務を行うことを妨害してはならない、との決定を行った。そのため、保全の申し立て(控訴)を7月24日に行った。そろそろ、その結果が出るだろうと話されていた。


■小中一貫は根深い問題

 保全の申し立てをしたさいに、裁判官は、「小中一貫校の問題は、ずいぶん前から反対の声が上がっており、根深い問題であることは分った。住民の皆さんの気持ちはよく分った。ただ、この裁判は妨害があったか、なかったかの裁判なので小中一貫校の是非にまでは立ち入れないのでご了承いただきたい。
 ただ、原決定は漫然としているところがあり、抗議行動に萎縮効果が生じるという懸念があるのは分かる。なので、記録をよく読み、原決定よりも限定した決定を出すつもりだ」(当日の資料より)と話したと担当弁護士は話されていた。

 この話からは、裁判所がどこまでの行動を制限するのか焦点になるように思えてくるが、興味深いのは、萎縮効果があることは裁判官が認めていることだ。


■反論

 弁護士によると、上記の主張に対して以下のように債務者(住民)反論しているという。

\爾鮠紊欧董嵜並区と話し合いをしているところだから工事をやめてくれないか」と要請しただけ。

¬腓料阿卜って要請をしたが、それでも入場しようとするなら拒まなかったし、拒むことも不可能だった(債務者と作業員の年齢差・体力差)。西門だけでなく東門や北門からも通行できる。

財務者の1人が作業員から用紙を受け取ったことはあるが、一度だけであり、反省をしているため二度と行っていない。極めて軽微な有形力の行為。権者の社員を怪我させたとの主張については、自作自演。

ず邏醗と話し合いをしましょうと話しかけるために、一度、数歩立ち入ってすぐに出た。

 
 また、百歩譲ってこれらが事実だとしても、このような抗議行動は、本件工事に対する意見を表明する行為の一環であり、目的が正当で、かつ方法(行為)が相当である以上、表現の自由として保障され「妨害」と言えないはずであるとしていた。


■他にも広がるか?

 冒頭に書いたように一方からの話なのでバイアスがかかってしまうと思うが、このような抗議行動はよくあるように思うし、もっと激しいことも行われていると思う。

 とすると、今後、今回の例を参考にスラップ訴訟として多発することになれば、いろいろな運動に影響が出てしまいそうに思えてしまった。

 どちらが正しいかは裁判所の判断を待つしかないが、気になる動きだ。


■ところで小中一貫は…

 この日の話を聞いていて気になったのは、小中一貫校の是非の話は少なく、行政の手法への不満が高いことだ。環七沿いになるので環境が良くない。敷地が狭くなり運動会ができないなど教育環境に問題があるとの話はあったが、説明不足や意見を取り入れても らえないなど他の政策も含めて批判意見が多く述べられていたことだ。

 また、小中一貫校の背景には公共施設の再編計画があるとの意見もあった。これは武蔵野市でも同じような意見があったことも興味深い。

 どこかにボタンの掛け違いがあったのだろうか? 


 区民ではないので、何かを言える立場ではないのだが、少なくとも武蔵野市で検討が進められている施設一体型小中一貫校が、もし、現実となった時には、スラップ訴訟が起きないような対応が必要だろう。というよりも、本当に教育的にいいのかを市民、行政、教育委員会が同じ結論になるようにするしかない。

杉並区の今後にも注目していきたい。



【参考】
東京新聞
 杉並の小中一貫校工事 業者が反対住民訴える 「妨害」中止の仮処分申請