市長の多選自粛を市長自らではなく、議会から求めるべきだろうか?


 
 武蔵野市議会は、市長任期を3期12年までにする「武蔵野市長の在任期間に関する条例」(案)を審議、9月7日の本会議で賛成少数により否決した。

 条例案は、会派、むさしの志民会議に所属する3人の議員から提案されたもの。武蔵野市議会の定数は26名のため、3人以上で議案提案権はある。

 条例案は下記をご参照いただきたいが、審議のポイントは、自粛は努力義務とはいえ、なぜ3期12年なのか? なぜ市長が自らではなく議会が任期を定めるのか。多選の具体的な弊害は何かだった。

 
 審議では提出した議員にこのような質問が投げかけられたが(議員提案なので答弁は議員が行う)、疑問を解消できる明確な答弁はなかった。そればかりか、「四選でもいい」といった答弁や「現職は新人と比べ知名度があり当選しやすい。選挙で勝ったからそれは民意があるとは一概に考えられない」といった選挙制度の正当性を否定しているかのような答弁もあった。
 
 多選を禁止する条例は、これまでにも他の自治体ではあるが、日本国憲法で保障されている職業選択の自由を奪うことや基本的人権の保障とならないなど問題点がある。そのため、市長や知事など首長が自らの任期に限った条例で、それも努力義務として提案することがほとんどだ。議員が議員の任期を限定する条例ならまだ分からないでもないが、首長の任期を議員が決める例は聞いたことがない。というより、提案すべきではないだろう。

 
 結局、条例を制定する明確な理屈はなく、意義もないような状態で、提案した3人以外のすべての会派の賛成はなく、否決となった。

 議員提案による条例は、政策を議会がつくることにつながり、私は必要であり、もっと活発にするべきだと考えている。
 しかし、提出だけが目的化しては、議会そのものが何かとなってしまう。必要なら議会内で熟議をする。そのためには、具体的な課題を示さないと議論ができないからだ。

 また、この条例案が提出されたのは邑上市長が勇退を公表する前だ。四選目に挑むと考えて何らかしらの対抗手段と考えての提案であれば、政治的なゲームに利用したのかとも思えてしまう。条例は、市の法律でもある。安易に考えてはならない。





 武蔵野市長の在任期間に関する条例(案)

(目的)
第1条 この条例は、時代の変化が激しくなる中、幅広い権限が集中する長の地位に1人の者が長期にわたり就くことにより生じるおそれのある弊害を防止するため、武蔵野市長(以下「市長」という。)の在任期間について定め、もって清新で活力に満ちた市政運営を確保し、その硬直化を防ぐことを目的とする。

(在任期間)
第2条 市長の職にある者は、その職に連続して3任期(地方自治法(昭和22年法律第67号)第140条第1項の規定による任期を1任期として算定する。)を超えて在任することのないよう努めるものとする。この場合において、各任期における在任期間が4年に満たない場合は、これを1任期とみなす。

2 市長の職の退職を申し出た者が、当該退職の申立てがあったことにより告示された当該市長の選挙において当選人となり引き続き市長の職に就くこととなる場合においては、当該退職の申立てに係る選挙の直前及び直後の任期を併せて1任期とみなして前項の規定を適用する。

付則
この条例は、公布の日から施行する。

(提案理由)
幅広い権限が集中する長の地位に1人の者が長期にわたり就くことにより生じるおそれのある弊害を防止するため、制定するものである。