2017年衆議院議員選挙、東京18区(武蔵野市、小金井市、府中市)は、菅直人氏が1046票という僅差で勝利した。菅直人選対の一員としてみた今回の選挙と安倍政権が本当に支持されているのか、18区の得票から考えてみた。


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 18区で立候補した菅直人氏(立憲民主党)、土屋正忠氏(自由民主党)、ときた敦氏(希望の党)の武蔵野市、小金井市、府中市ごとの得票数と当選した1位の菅氏と2位の土屋氏の得票差が下記だ。

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 これを見ると、保守層が強いといわれる府中市で土屋氏が3900票多く得たものの、武蔵野市で1946票、小金井市で3000票、菅氏が多く得票したことで辛くも菅氏が当選となった。
 投票した人全員にヒアリングすることはできないので、あくまでも想像だが、共産党が候補者をおろし、菅氏の支援を決めたことから共産党候補へ流れる票が菅氏に乗せられたことが勝利へ大きく結びついたといえるだろう。

 さらに、武蔵野市議会では26名中13名、小金井市会議では24命中13名の市議会議員が菅氏の支援を表明したこと。市議会議員だけでなく、幅広い市民からの支援の広がりもあり、このような支援はこれまでになかったことで、選挙での大きな力になっていた。

 また、今回の選挙ではネット、特にツイッターを使った戦略も菅氏の勝利に結びついたように思えている。イメージ動画の作成や街頭で訴えた内容を文字や動画で流すことで拡散されていたからだ。それも、若い人が対象となると考え、若者に作成を任せていたことで、選挙慣れした感性とは異なった雰囲気となっていた。
 この流れにネットを使ったボランティア募集も行われ、多くの人、特に若者が駆けつけ、選挙の支援を行っていた。これもこれまでにないことだった。



■立憲民主党への期待

 もうひとつの大きな勝因は、結党して一ヶ月もたっていない立憲民主党への期待感だ。一時期は民進党から希望の党へ合流するのか? と不安と不信の意見を多くの市民の方々から聞いていたが、立憲民主党が立ち上がったことで不安と不信の想いが逆バネになったかのように爆発的もいえる風へとつながったように思えている。

 街頭での反応もよく、これまでに多くあった菅氏への批判が吹き飛ぶくらいの風になっていた。それこそ、「リセット」された感があった。
 各マスコミの調査では、選挙戦終盤まで土屋氏にリードを許していたが、最終版になってやっと追いついてきたとの印象を持ち、風が止まるどころか、ますます強くなっていくなかで開票を迎えることになったのだ。

 立憲民主党への期待と風は、「排除」されたことでの「判官贔屓(ほうがんびいき)」があったとは思うが、自民党とは異なる立場からの政治スタンスが明確であることが、最も期待と風につながったと思う。

 民進党の印象は、立場がハッキリしない。自民党に擦り寄りたいのか、との印象を持つ人は多く、民進党が割れて立憲民主党になり主義主張がハッキリしたからだ。

 そう考えてみると、前原代表に感謝したほうがいいのかもしれない。民進党をハッキリさせたからだ。小池都知事とともに排除したつもりが、逆に国民の反感となり、立憲民主党への風を作ってくれた「恩人」となるからだ。これからはどうなるかは分らないが…


Book2_ページ_1■政権は信任されたのか?

 東京では立憲民進党への追い風は強風となり、菅氏だけでなく小選挙区で勝つ候補が多く生まれ、比例復活でも多くの議員が誕生した。

 そこで、武蔵野市、小金井市、府中市ごとの政党別得票数をまとめてみた。この数をみれば、武蔵野市、小金井市では立憲民主党が第一党となるほどの票数だった。この期待感が菅氏への当選へと結びついたことが分る。



 とはいえ、全国的には自民党の圧勝だ。立憲民主党への票を考えると、なぜ? と思ってしまう。本当に自公政権が信任されているのだろうか?

 そこで、政党別比例票を、自由民主党、公明党の政権政党と政権に近いと考えられる日本維新の会を与党側の票数として数え、立憲民主党、日本共産党、社会民主党(社民党)、それに、野党として希望の党を加えた野党側に分けた票数を集計してみた(【ケースA】。

 すると図のように、野党側の票数が多いことが分る。武蔵野市、小金井市、府中市だけの集計だが、これでは信任はされていないとなる。

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 一方で希望の党は自民党の補完勢力との指摘もあるため、与党側にして集計してみた(ケースB)。すると、与党側の票数が多くなってしまう。

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 希望の党が、今後どのようなスタンスになるのが分らないが、前原代表が当初表明していたように、一部の議員を排除しないで希望の党と民進党が合流し、自民党と対峙する政党となれば、今回の選挙で日本の政治が大きく変わったかもしれないことを伺わせる数字だろう。
 今後、憲法改正などで自民党の補完勢力となれば、今以上の力を政権が持つことになる。そのときに日本がどうなるか…。希望の党の今後も注目したい。


■草の根

 話は元に戻る。

 菅氏の勝利は、ひとつの政党や会派だけでない市議会議員の支援、何よりも幅広い市民の支援が勝因といえる。政治の新しいスタイルだ。

 今後、この枠組みをどのように経常的な動きにできるか。活動を続け、力を増すことができるか。政党が決めて市民がついていくのではなく、市民が主体になる。それこそ、草の根からの政治がつくれるか。上からではなく下からの民主主義ができるかが、菅氏だけでなく立憲民主党の今後を大きく左右することになるのは言うまでもない。
 
 そこへ私は関わるつもりだが、その前に民進党が解体されるのか、あるいは、存続するのを含めて流動的な状況で、今後、大騒ぎになりそうだ。気がめいるが、前向きに取組んでみたい。今後は続報予定。