日本初のエネルギーの地産地消都市としてグッドデザイン賞(2005年)を受賞した福岡県みやま市を市議会厚生委員会で視察した。環境に恵まれている利点が大きいとはいえ、地域経済に着目している手法は参考になる。

IMG_8439


■市が出資した会社で再エネ

 みやま市での地産地消の取り組みは、市が株式の55%を出資し「みやまスマートエネルギー株式会社」を設立。市内にあるメガソーラーや家庭の屋根にある太陽光発電による電力などを購入し、市内の公共施設や民間事業所、家庭に売電。利益を市民サービスの向上に向けるとともに地域雇用を増やすのが事業の概要だ。

 事業のきっかけは、みやま市では少子高齢化が進み若者の定住策が求められていること。そのためには地域の産業を活性化させ雇用を増やさなくてはならないという課題解決のために考え出された。再生可能エネルギーを生み出すことが目的ではなく、再生可能エネルギーによる地域の活性化が目的となっている。

 再生可能エネルギーの調達や売電は、民間事業者に任せることができるが、それでは、地域外にお金が出て行くことから市内で会社を設立し、市内でお金が回るように考えている。


■地域雇用など成果は?

 とはいえ、自治体だけでは電力会社の運営ノウハウがない。そのため、民間事業者で経験のある人を会社の幹部に迎え入れてのスタート。会社の設立から今年で3年目になるが、今年から黒字化になったと説明の担当者は話されていた。

 市が行っているのは資本金の提供と公報程度で運営費への補助はしていない。武蔵野市などでは外郭団体などに職員を派遣することがあるが、みやま市では派遣していない。株主としてのチェックや提案は行い議会への報告も行っているが、基本的には事業者に任せている。とかく経営感覚が低い行政意識のままで運営し赤字体質となる三セクが多いなか、任せるものは任せるとした手法は参考になる。

 そして、成果として低圧電力(家庭用)で計算すると市内の家庭用電力の9割ほどを市内で発電、供給できるようになり、42名の雇用を生み出している。

 住民サービスは、家庭の電力を見える化するHEMSの実証実験を国の負担で実施しており、その時に配布されたタブレットを使い、高齢者の見守りや買い物支援を行うものだ。

IMG_8427


■地の利

 みやま市は、平地が多く山の標高は低いため太陽光発電に適している地域特性がある。また、炭鉱の跡地が市有地となっており、この場所にメガソーラーを設置できたという好条件が重なっている。

 この条件に加え、市内で太陽光による発電した電気を他の電力会社よりも1kwあたり1円高く購入することによって市内での電力を確保。夜間や電力の不足に備えて他の電力会社から電力の購入も行うことも業務としている。


■課題

 一方で課題となるのは、市内の一戸建て住宅約14,000戸に対して太陽光発電装置の設置数が1000となっており、もっと増やすことだろう。設置率8.9%は全国平均の5.6%よりも多いのだが、市内で経済を回すとなればもっと広がってもいいはずだ。設置補助金はあるとはいえ、市民が電力を自ら作ろうとの意識がもっと高まることが必要と思えた。
 また、料金がより安い新電力会社が出てきたときに対抗できるのか? もある。市民サービスを行うことはその分のコストが必要になるため競争できるかとの課題だ。格安の電力会社よりも、市民サービスがあるからと市民が選んでくれるかが分かれ目となりそうだ。


IMG_8431■日本が進むべき姿

 みやまスマートエネルギー株式会社は、会社のある土地に地元の食材を使ったレストランと物品販売、環境教育や子ども食堂を行う施設「さくらテラス」を開設している。これは地方創成が目的であるための事業展開だという。

 再生可能エネルギーを作るだけなら、大手企業に任せればいい。海外に燃料を頼れば経済は海外へ流出する。そのようなエネルギーでは利益は地域に回らず経済はよくならない。だから、地域で会社を作り地域に回す。さらに、農産品の販売も含めた地域創生事業も行う。再生可能エネルギーが地域を元気にしていく好例だろう。

 武蔵野市など都市部でどこまで発電できるかは課題になるが、地域の特性に合わせてエネルギーをつくることが日本の経済成長に必要だと、あらためて確信した視察だった。


IMG_8432