高齢化は国の20年先を行っているという福岡県大牟田市では都市部では進まない小規模多機能型居宅介護施設の整備が進められていた。理由は何か。

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 大牟田市は、炭鉱があったことで栄え、1960年には約21万人の人口となった。たが、エネルギー政策の転換や大手事業所の合理化などがあり人口は減少、2017年4月には約11万7000人となっている。高齢化率(65歳以上の人口率)は、35.1%だ。

 全国平均の高齢化率は、26.7%(2016年10月)。武蔵野市の高齢化率は22%(2017年4月)で30年後に33%を超えると推計されているように、大牟田市は武蔵野市をはじめ、都市部の多くの自治体の未来の姿とも言われている。


■小規模多機能型施設を整備

 大牟田市の高齢者施策の特徴のひとつには、小規模多機能型居宅介護施設(以下、小規模多機能)を進めていることがある。小規模多機能は、通所と必要に応じた宿泊(ショートステイ)を行い、周辺地域への訪問も行う。定員は25名以下とされるように小規模で通所、宿泊、訪問など多機能な事業を行うもので特養などの大型の入居施設と居宅の中間の存在となる施設事業だ。

 いわば地域密着型の介護サービスで、国も武蔵野市も進めようとは考えている。しかし、事業用地の確保や事業の収益性の問題などありなかなか広がっていないのが実情だ。武蔵野市の場合、応募事業者がなく整備が進まない実例がある。

 しかし、大牟田市では、日常生活圏域である小学校区に一事業を整備する方針を掲げて整備を進め、現在では、20の小学校区に対して小規模多機能施設は、25箇所が整備され、さらに介護予防拠点・地域交流施設が45箇所も整備されていた。      


■地域交流施設がポイント

 この地域交流施設は、公民館、あるいはコミセン的な事業ができる場所で筋力アップ体操や地域のサークル活動などが行われている。この施設を併設している理由は、介護予防などを進めるだけでなく事業者が地域との接点を持てることで、利用者の普段の様子が分ること。事業を行う人材が同じことから隣接する小規模多機能施設への理解が進み、結果として利用者を増やすことへつなげている。

 小規模多機能施設は、サービスが多様にあるものの事業規模が小規模なため、利用者が多くのサービスを使わないと経営的に難しくなる課題があるが、その前に、利用してもらわないと話しにならないという根本的な課題もあるため、入り口を広めるこのような地域交流施設を併設することは参考になる。

 このような施設を併設する場合、自治体から補助金を出して誘導することが良くあるケースだが大牟田市の場合は、施設整備や運営費補助は行っていないとの説明だった。理由は、上記のように利用者を増やせる営業的なメリットが事業者にあるからだそうだ。


■都市部でも可能か

 このことを考えると武蔵野市をはじめとする都市部でも同じように行えないかと考えてしまう。だが、土地代が違うことを考えると、交流施設を作る場合の投資額を回収できず難しそうだ。また、以前は栄えていたことから病院が多く経営する医療法人の生き残り策としてやらざるを得ないという地域事情も背景にはあった。

 となると参考にはなるが都市部では現実的ではないのかもしれない。しかし、地域交流施設と連携することで事業者にメリットがあるとなると、コミセンなどで行われている健康事業などを連携、もしくは、病院や診療所など医療機関と連携することで小規模多機能の経営的なデメリットを少なくし、施設が整備できるのではとも思えた。ヒントのひとつだろう。参考にしたい。



 ※写真はイメージ