都市化が進み農地が少ない武蔵野市だが、さらに農地が減る予定であることが分った。2022年問題は、武蔵野市でも考えないとならない。

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 武蔵野市議会建設委員会に都市計画生産緑地地区の変更が予定されていることが報告された。
 変更は生産緑地に指定される農地はあるものの、武蔵野市内の農地は約26.59ヘクタールから約25.41ヘクタールへと減ることになる。11月7日の武蔵野市都市計画審議会で承認されれば決まる。


IMG_8719■生産緑地

 生産緑地は、武蔵野市など都市化されたまちは、基本的に宅地化するとされており(市街化区域)、住宅並みに税金がかけられ、相続税も同様となっている。
 しかし、古くから農業を続けている農家があることや防災、緑化など必要性もあり、1991年に生産緑地法が改正され、市街化区域内で農地として続ける「生産緑地」と、それ以外の「宅地化農地」に分けられ、「生産緑地」は低額の税額となり相続税の納税猶予などがされることになり、「宅地化農地」は宅地並みの税金がかかられ、相続税の納税猶予ができないなど、二つの農地に分けられた。
 ちなみに「宅地化農地」の税額は『宅地並みに固定資産税が課されると10アール(約300坪)当たり数十万円の負担となる。一方、生産緑地に指定された場合は、一般農地並みの10アール当たり1000円未満に軽減されるという』(※1)


■2022年問題

「生産緑地」は、税金が安くなる代わりに30年間は農業を続けることが義務付けられている。しかし、30年がたつとそのまま「生産緑地」として、さらに30年続けるのか。それとも、農業が続けられないと判断し自治体に買い取りを申し出るかが法で定められており、自治体は時価で購入することとされている。

 買い取りとなれば自治体財政へ大きな影響が出る問題となる。現実的には、自治体の財政状況が良くないこともあり買い取りはできず「生産緑地」解除し、売却するかマンション経営など不動産経営に転換するしか道はなくなる。結果として、農地がなくなり住宅が増えることになる。全国の生産緑地のうち、約8割(※2)が法改正直後に指定されたため、2022年に30年の期限を向かえるため2022年とされ、都市部の農地では全国的な問題となっている。

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■武蔵野市の場合

 武蔵野市の場合は、農家の58.1%が30年経過後も生産緑地を継続するつもりとしているが、実際はどうだろうか。

 農業で利益が出ればまだしも、武蔵野市農業振興基本計画で示されている農業所得の目標が年収で300〜500万円(※3)。ひとつの農家での従事者は、およそ平均で2.5人だから、一人当たりの所得はこの三分の一となり農業だけで生活することは無理と考えられる状況だ。さらに、この額はあくまでも希望額。実際の農家が目標にしたい農業所得は100万円以下が最も多いことを考えれば、この目標数値になるかは疑わしいだろう。

 武蔵野市の農地は平成26年で34.48ヘクタール。このうち「生産緑地」は、31.11ヘクタールだ。計画では、37年で「生産緑地」を含む農地を28ヘクタール残したいとしているが、この報告にあるように、今回の変更ですでに約25.41ヘクタールへとなってしまうように農地の減少は計画の想定以上に早く進んでいるのだ。


1■空き家や道路へも影響 

 農地が宅地となった場合、若い世代が転入し人口が増えるかもしれない。学校整備をどうするかとの問題が出てくるが、これは嬉しい問題ともいえる。

 一方で武蔵野市の空き家は、14.1%。7軒に一軒が空き家という率で、都内3位。多摩地区では1位となるほど多いのが現状。新たな住宅が増えれば、空き家が増えることや古い住宅をどうして行くかの問題がさらに深刻化する懸念がある。

 また、今回解除が予定されている農地のうちひとつは、境2丁目の農地で東京都が優先整備路線としている「武3・4・24号 西調布境橋線」の予定もある。花の通学路にも影響する道路でもある。

 2022年問題は農地だけの問題ではないのだ。次期長期計画での大きな課題ともなりそうだ。

 画像は建設委員会に提出された資料より。pdfはこちら。




※1 毎日新聞2017年1月13日「都市農地 間近に迫る「2022年問題」
※2 LIFULL HOME'S PRESS「2022年問題」はどうなるのか? 
※3 武蔵野市農業振興基本計画(平成28年度〜平成37年度)


【参考】
武蔵野市の空家率 都内3位。多摩地区では1位
花の通学路、武蔵川公園が影響  道路整備計画案公表
花の通学路や武蔵川公園、桜野小に影響? 大規模土地開発が動き出す