2018年6月から「民泊」が解禁され、空き家対策やホテル不足を補うビジネスとして期待される一方で規制を行う自治体が増えてきている。現状について、「民泊」大手のAirbnb (エアビーアンドビー)の公共政策担当者にうかがった。

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■期待の一方でヤミ民泊も

「民泊」は、自宅の一室や使用していない家屋などを旅行者に一定期間、有償で貸し出すもの。安価で泊まれることやホテルなどではできない地域での生活を体験できることもあり特に外国人旅行者には人気となっている。さらにオリンピック・パラリンピックにむけてホテ不足もあり、東京では新たなビジネスにもなるとも期待されている。

 現状では、旅館業法に基づく「簡易宿泊所」の許可を得るか、国家戦略特区に指定され自治体に許可によって「民泊」により開業できるが、届出をしていない「ヤミ民泊」があることもあり、トラブルが起きている。

 例えば、知らない人が出入りすることやパーティを行うことでの騒音。外国人が多いことから環境悪化への懸念。セキュリティを重視してタワーマンションを購入したのに、民泊に利用され見知らぬ人が出入りすることでクレームになっている例や居住用として賃貸借契約されている賃貸マンションが「民泊」を始めてトラブルになる例もあるという。ごみだしのルールが守れないとの例もあるそうだ。

 この状況下、今年の6月からは住宅宿泊事業法(民泊新法)によりホテルや旅館ではなく、住宅でも宿泊施設にすることが可能となり、届けによって年間180日までの上限規定はあるものの自由に開業できることになった。
 そのため、トラブルがさらに多発するのではと考え、住居地域で平日の宿泊を禁止する(新宿区)ことや年間60日以内の開業(京都市)など条例で独自の規制をする動きが多くなっている。


■利用者のニーズ

 一方で実際に利用している側は、宿泊費の値段だけでなく、地域との関係を持ちたい、日常を知りたいとの思いから平日に複数日数泊まりたいとのニーズが高く、4泊以上の連泊が利用者の80%になるのだそうで、連泊することにより地域で食事や買い物をするなど経済的な効果もあるという。

 確かに旅行をする身として考えると駅前の交通が便利な場所に泊まるのはビジネスのときで、地域の姿や風土、人情に触れたいとなると画一化された駅前よりも、観光地や住宅地に近いところで泊まりたいとなるのも理解できる。
 実際、Airbnbを利用する外国人利用者が日本を訪問する目的は86%が休暇やレジャーで、「地元の人のように暮らしたい」と考えた人が90%、「あるエリアを深堀りしたい」が80%と高い比率になっており、この「民泊」を利用したことで再訪したいと考えている人は79%にのぼっているデータもある。

 このままでいくとニーズと条例が相反し、結局は旅行者が利用できなくなるか、あるいは、ヤミ事業者が横行してしまう懸念をいだいてしまう。


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■分りやすいルール

 Airbnb JAPAN株式会社の公共政策担当者は、貸し出す側(ホスト)が簡単に行政へ登録できるようにすること。地域のルールを分りやすく現実的にすること。家主不在型と家主居住型を明確に区別してルールをつくることを提案していた。
 
 確かに問題が起きるのは、管理する人がその場にいないことだ。自宅の一室を貸し出すような場合であれば、利用者とのニーズにも合うともいえる。全てを制限するのではなく、課題を整理しての規制が必要ではないだろうか。


■条例がつくれない自治体

 現在、民泊の規制は保健所が設置できる中核市(人口20万以上。都内では八王子市と町田市や政令指定都市、東京23区で可能となっている。武蔵野市などの市町村は東京都の条例が適用されるため、独自に規制強化をすることができないが、今後、このままでいいのかの疑問は残る。

 ひとつは、問題が起きるようであれば何らかの対応が必要になるが、独自条例ができないため、何ができるかだ。現状で問題を聞いていないので急ぐ必要はないとは思うが気がかりだ。

 もうひとつは、吉祥寺がある武蔵野市には海外からの旅行者が多く訪れている。画像にあるように、実際はすでに「民泊」が始まっているのが現状だ。(画像はAirbnbのサイトにある民泊先のマップ)

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 アニメ文化の影響もあると思うが、そのような旅行者が泊まれる施設が少ないことは観光面としていいのか? と考えなくてはならないことだ。
 地元経済への影響もあり、海外だけでなく国内も含めて宿泊してもらう手立て、政策が必要か、不要かを考える時期だと思うからだ。

 条例を制定することができない市町村にとっては蚊帳の外の民泊新法だが、武蔵野市のすぐお隣の杉並区では条例を検討している。このことを考えれば、他人事ではない。
 杉並区に条例があるから、武蔵野市で開業が多くなることも十分考えられる。となると問題が今後起きる可能性もあるわけだ。

 民泊新法は6月から。それまでに現状課題の整理と対応が可能か、検討が必要だろう。適正に管理し地域と揉め事が起きないような民泊施設ができないものかと思えてならない。


 ※写真はイメージ
(Airbnbには、民進党の区市町村研修会で12月5日に伺った)