武蔵野市教育委員会は、教員の多忙化を軽減するためにパソコンを導入したが、結果として軽減になっていない。さらに忙しくなっている実情が見えてきた。多忙化への抜本的な対策が必要だ。


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■多忙感は減っていない

 1月21日に市民団体による「教育カフェ」の定例会が開催され、このなかで「長時間労働」を中心とした武蔵野市の教職員を対象としたアンケートの中間集計結果の報告があった。

 アンケートは、東京都教職員組合(都教組)北多摩支部武蔵野地区協議会が行ったもの。実施時期は、平成29年(2017年)12月から30年1月で回答数は83人、武蔵野市の教職員の約18%から中間集計での報告だった。最終集計ではないが、大筋の傾向が分かるものだった。

 特に注目したいのは、設問のなかに仕事量についての質問項目があり、「仕事量が多過ぎる」と感じる人の割合は、強く感じる=53%、感じる=31.3%と返答となっており、84.3%の教職員が仕事量を多いと感じていたことだ。

 また、「教材研究や子どもと関わる時間が十分とれていない」の項目には、強く感じる=54.2%、感じる=25.3%で合計76.5%が取れていないと答えている。

 新聞でも報道されているように武蔵野市の教職員の多忙化がかなり深刻であることが伺える。

教職員アンケート中間報告



■パソコンばかりに向かう教員

 武蔵野市教育委員会では、平成22年度からは教員1人1台の校務用パソコンを導入している。導入したさいの議会への説明は、教員の多忙化の軽減と子どもたちと向き合う時間が少ないことへの改善のためとしていた。さらに、平成27年度(2016年度)からは、「先生いきいきプロジェクト」が始まり教職員の多忙化の軽減を目指している。

 しかし、このアンケート結果を見れば、効果が出ていないと思えてならない。
 
 この日に参加した教職員や関係者に聞くと、この多忙化は武蔵野市に限ったものではなくどの自治体も同じようなもの。パソコン導入は多忙化の軽減が目的だったのになぜ変わらないかを聞くと、報告書の作成などは負担軽減になっているが、授業計画や各種の調査などが簡単に作れてしまうので入力するフォーマットの数が増えてしまっている。特に事故が起きないように配慮すべき項目のチェックが増え、結果的に仕事量が増えてしまっている。

 このことから職員室での教員は、パソコンに向かっているばかりで職員同士の会話が少なくなっている。ある子どもからは、(パソコンばかりに向かっていて)先生が話を聞いてくれないと言われたというショッキングな話もあった。

 ある参加者からは、今年は学校に教職員が夜まで残っていないようだとの話があったが、それは、強制的に帰らされているから。自宅での持ち帰り仕事になっているだけ、との話も聞いた。

 あくまでも聞いた話であって全体を定量的に把握している内容ではない。だが、現実はこのようなものではないだろうか。


■多忙感にならない仕事に

 参加している教員からは、意味のないことをやらされていると感じるから多忙感になる。教材作成など意味があることであれば、たとえ同じ時間でも多忙感にはならないとの指摘があったことは意味深い。

 市教育委員会も多忙化の軽減を考え、労働安全衛生委員会を設置し改善をしようとしていることは参加者からも評価は高かった。
 となれば、具体的に何が多忙に結びついているのか。削減すべきことは何か。最も大切な子どものためになっているのかの視点で業務内容を早急に仕分けしていく必要がありそうだ。

 また、教員同士の会話がないということは、たとえ小中一貫教育校ができ、同じ職員室に小中の教員がいたとしても、肝心の会話ができないことになり、一貫教育の意味がないことになってしまう。小中一貫教育校を「やる」、「やらない」の前に、大至急やらなくてはならないのが、この多忙化軽減ではないか、とも思えてならない。


画像は、アンケートの中間集計結果から。最終集計が出た段階で再検証してみたい

写真はイメージ