最近、急激に姿を変えている中野駅周辺のまちづくりについて視察した。民間との連携、タイミングを活かすことがまちづくりには重要であると同時に高さをどう考えるか課題となりそうだ。
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■警察大学校の跡地利用から始まる

 武蔵野市都市計画審議会の視察で伺ったもの。
 現在、中野区役所周辺にオフィスビル・商用ビルと明治大学、帝京平成大学、早稲田大学、東京警察病院などの高層施設が建ち、間に防災機能を持つ公園が設けられ中野駅周辺のイメージを一新している。
 この地域以外にも中央線に近い地域や南口の再開発も進められ、今後はさらに中野といえばすぐに思い浮かべる「中野サンプラザ」と区役所の移転・建替えも行われるという巨大プロジェクトが続く。


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 このプロジェクトが始まったのは平成15年からで、全てが完成するのは、10年は先となる長期間にわたるまちづくりでもある。

 この開発は、この地にあった警察大学校が移転することになり、跡地に清掃関連施設を中野区が建設するとして財務省に土地処分を要望した平成13年から始まる。
 当時は、区ごとに清掃工場などを建設することになっていたためだが、ごみ減量の社会状況もあり平成15年に23区の区長会が新たに清掃工場を建設しないことを決定。そのために中野区に新設する必要がなくなり、この土地をつかった新たな開発が必要となってしまった。

 そこに浮上してきたのが現在続けられているまちづくりだ。用途は変わったが、そこで立ち止まらず、中野区の課題を解決するためにこのまちづくりが進められた経緯があった。


■まちづくりが進まなかった

 中野区は新宿まで5分ほどと近く、区内に13も駅があり便利なこともあり以前から都心のベットタウンとして発展しきた。しかし、その歴史が古いこともあり木密住宅が多く道路が狭いため防災上の課題を抱えるまちともなっていた。
しかし、人口密度は23区で2番目(ということは国内2位)というほど密集していることもあり、再開発をしたくてもできない。というよりも、本気で考えられない状況が続いていたという。

 その状況で、この広大な土地の開発、まちづくりとなったわけだ。当初は反対運動などが激しかったそうだが、現在は、その動きは落ち着いているという。現在の姿になり、まちづくりが一定の評価を得るようになったのかもしれない。

この話を伺い、ポイントだと思えたのは、タイミングを考え進める決断をしたことではないか。都内のまち同士の競争は激しくなっている今、立ち止まってしまうことでまちの評価が落ち、取り返しが付かなくなる可能性がある。まちの姿が急変し、まちの評価が高い現在も中野を思うと、この決断は大きな意味を持っていたと思えてならない。




■民間連携と23区制度

 このまちづくりの最も大きなポイントは、民間との連携にある。区は公園と主要道路の整備を行うが、施設はつくらず、どのようなエリアにするか。容積率などどこまで許容するかを決める(地区計画)を主導し、開発自体は民間事業者が担っているからだ。

 とはいえ、分かりにくい面もある。それは、視察のさい、この事業の総事業費と区の投資額はいくらぐらいですか? と質問したところ、「分からない」との返答だったからだ。理由は、警察学校の土地は国のものであり、売却価格は民間事業者の間で決められるので区は分からからだという。

 また、区が整備するところに必要な財源は国や都の交付金でまかない、残りは区債(借金)でまかなうが、財政調整基金(財調)で補填されるので、一般財源からの支出はほとんどないためでもあるという。
 この話だけを聞くと、区民の税金を使わない開発となるが、財調の元は税金。23区という特殊な制度の元なので、どう理解すれば良いのか戸惑ってしまった。

 区市町村の場合は、基金を貯めたり、一般財源(住民の税金)から市債を返すために支出したりするなど自治体の負担額が大きな問題になり、予算を決める議会の責任は大きくなるのだが、23区の場合はどうなのだろう? と別の疑問は残ってしまった。

 話は戻り、民間との連携がポイントになるのだが、そこには、民間が事業として成り立つ施設が作れるかが重要になる。そのため、当初から容積率や用途を決めず、事業者と調整しながら決めたことで可能ともなっていた。土地の所有者が国だけあることから可能となったことで、他の地域とは事情が異なり、同じようなことが武蔵野市など他の自治体でできるかといえば、難しそうだが、参考にはなりそうだ。


IMG_0770■高層化への考え方

 開発が進む中野駅の北東部分(中野4丁目)付近には、115mのNTTドコモビルや110mの商業ビルが建ち並ぶ。日陰が課題となる構造ビルの北側には、新設された公園や集会・防災施設が居住地域への影響が少ないように配置されている。

 商業施設の一階にはカフェがあり、公園近くまでテーブルを置くことができるテラス席があり、公園と一体となった雰囲気のもとで飲食が可能となっている。
 夏の夜や春、秋にはとてもいい雰囲気になることもあり、これまでに何回か利用したことがあるのだが、見上げると、そこには巨大なビルが公園を覗き込むようにそびえたっているエリアでもある。

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 中野駅周辺のまちづくりは、民間活用だけでなく、高層化により地上面の空間を生み出したことにもポイントがある。高層化で生み出されたこのような空間をどのように判断すればいいのだろうか。

 住宅地や近接地での再開発では、施設の高さに批判が集まりやすい。高さだけでなく、どのような空間を生み出すまちづくりなのかも考えて、まずは考えることも大切ではないか、と思えてならない。

 武蔵野市には、三鷹駅のすぐ近くに市が持つ土地に駐輪場があるが、この土地利用にはもったいないとの意見を数多く聞く。開発するとなると、どこまでの高さ、容積にするのか、用途は何にすべきか。そろそろ考える時期になっているとも思えてならなかった視察だった。

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【参考】
中野区 中野駅周辺まちづくりに係る意見交換会・説明会等の開催状況
(図は、説明資料より)

写真は、上から
移転建て替えが予定されている中野サンプラザと区役所(左)
まちづくりの概念図
中野駅から高層ビルと合間に見える公園(動画)
新設された公園。ウッドデッキは商業施設のエリアになりテーブルをおき飲食可能
公園から高層ビルを望む
区役所から中野駅周辺の風景。駅近くの空地に駅ビルなどの開発がこれから始まる