井の頭池の湧水を復活させるため、武蔵野市が水道用として汲み上げている地下水の減量を求める陳情が市議会で審査され、2月6日に採決があった。

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■武蔵野市の水道が湧水を涸らした

 陳情文によると、これまで湧水が枯渇したのは、1963年に池の西側に建てられたマンション工事の影響で地下水脈が切られたとされてきたが、地下水の専門家によると、その影響ではないとされている。

 守田優芝浦工業大学教授が指摘しているように、武蔵野市の水道は地下250mの深井戸から地下水を汲み上げて使用しているが、この深い層の地下水が長年のくみ上げて減り、井の頭池の湧水の源と考えられている浅い水脈から深い層へと地下水が漏れて湧水が枯渇してしまったのではないか、と湧水枯渇の原因を想定している。


■突出する武蔵野市

 また、東京都地下水揚水量調査報告書(平成27年)には、平成21年に調布市内の水道水源井(深井戸)が一時期停止したさい、三鷹第1、練馬第2、上赤塚第1、戸田橋第1の観測井の順に少しずつタイミングが遅れながら地下水位が上昇したことから、多摩地域での揚水が、井戸から離れた区部の地下水位にも影響を及ぼすことがわかってきた、と書かれている。
 
 さらに同報告書には、武蔵野市の地下水のくみ上げ量を市の面積で割った「単位面積当たりの揚水量」があるが、これを見ると、武蔵野市が突出して多いことが明らかだ。

地下水揚水の実態


 地下水のくみ上げによって武蔵野市の水道事業は成り立ってきたが、貴重な水環境に多大な悪影響を及ぼしてしまった事実を認めて、根本的に改めるべきだ。
 地下水依存の水道事業から極力地下水依存度を下げ、地下水保護を第一に考え、井の頭池の湧き水復活に達するまで地下水のくみ上げ量を減量して欲しい」と陳情文には書かれていた。


■判断ができない。陳情は否決

 この陳情を審査していた建設委員会では、委員会で調べたいとして昨年の9月から継続審査を続けてきたが、地下水がどのように流れているか。地下水くみ上げとの関係を明確に判断できる材料がなく、くみ上げを止めるまでは判断できない。減らすとなると水道料金が上がる(※)こともあり現段階で判断できないなどの意見が述べられ、2月6日の委員会では賛成者なく不採択(否決)となった。


     ◆

 井の頭池の湧水の湧水復活への思いは同じだが、武蔵野市の水道が地下水汲み上げを止めると確実に復活するなどの確証がないと現実的に地下水のくみ上げを減らすことは難しいと私も考える。

実態-2


 調布市内の水道水源井が一部停止して地下水量(折れ線グラフ)が増えてはいるが、その後の現在では停止していた時以上に増えていることを考えると、井戸だけが原因とは考えにくい。
 地下水の研究は続けるとしても、市が現在進めている雨水浸透桝などの設置により、降った雨を下水に流すのではなく、地下水に戻し、地下水を増やすこと施策をさらに拡充することがまずは必要だ。



d53_s※武蔵野市の水道水は約8割が地下水を使っている。地下水を使わないとなると、水道料金の高い都から水道水を購入することになるため

※図は「地下水揚水量調査報告書」より


【参考】
武蔵野市水道部の地下水くみ上げ減量に関する陳情

都内の地下水揚水の実態(地下水揚水量調査報告書)平成29年3月 東京都環境局地下水対策のページより