かつては栄えたが、時代とともに衰退。しかし、道路をつくるのではなく景観優先のまちづくりで来街者が校回復した犬山城周辺のまちづくりを視察した。


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ローカルマニフェスト推進地方議員連盟主催の犬山勉強会で1月24日に山田拓郎犬山市長から概要を伺い、25日に現地を訪れてみた。

 犬山城は、日本最古と言われている天守があり国宝指定されている。このため犬山城周辺への観光客は多く、古くから栄えていた訪れる観光客は、昭和48年には53万人のピークを迎えたが、減少に転じ平成16年には18万9000人と底をうつ。その後のまちづくりで平成29年度の観光客が54万人と復活している(画像は、山田市長の講演資料より。左端が昭和48年)。

M犬山研修会資料



■道路よりも景観

 その理由は、当初は道路を拡幅する計画があったものの凍結して見直す。その代わりに、電線は地中化することや助成金により城下町であった雰囲気の街並みを残すなど景観を重視したこと。空き店舗には、市外から人に来てもらい喫茶店などで開業すること。まちの中に市民活動の支援拠点をつくるなど市民の力を発揮してもらったこと。何よりも友好都市の酒にこだわるイベントや吉本興業とのコラボなどで話題を作り注目してもらうこと続けてきたことが大きいとされていた。

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IMG_0679 実際の街並みは、地元住民のガイドさんに案内していただいた。かつての城下町の通りが今も残っていることなどを歩きながら解説し、歴史を実感できる内容となっていた。道路が作られかつての街並みとのギャップができてしまうとこのような体験はできないのだろう。まちの「強み」を考えた結果ともいえる。

 街歩きでは景観重視がよく分かる。街並の保全や雰囲気を生み出すことだけでなく、施設で城が見えなくしていた体育館を解体し広場に作りかえていることや老朽化している福祉会館は、まちの雰囲気に合わないため取り壊すことも考えているというからだ。

 確かに遠くから見ると、福祉会館が異質な雰囲気となっていた。どこかに移設して機能は続けるのだと思うが、まちの魅力は何か。来街者は何を目的に来ているのかを分かっての考えなのだろう。


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■経済効果と税収

 これらの取り組みに加えて、犬山城前にある三光稲荷神社がハート形の絵馬を作ったことやイチゴ味や夏ミカン味などカラフルな団子を出す店ができたことで「インスタ映え」すると若い女性たちに評判となったこと。市内にある明治村なども回れるセット入場券も売り出し、市内を周遊できるようにしたことも大きいそうだ。

 このV字回復により、観光での経済効果は約141億8000万円。経済波及効果は約84億8000万円になり、観光による市税は約3億1000万円になると試算されている(平成28年度・市観光交流課調査。画像参照)。

 このような数字が分かるとまちづくり成果は分かりやすい。どこまで正確かは別としても税金を投入する意義が分かりやすい。結局、何のためになったか分からない事業が少なくないだけにここも参考になった。


KEIZAI



■まちづくりのタイミング

 とはいえ、衰退していく中、国の補助金が得られからなど「甘い誘惑」になぜ負けなかったのかの疑問が出てくる。この疑問にたいしては、かつて栄えていたことでの財力がまだ残っていたことが大きいのはないかとガイドの方は話していた。

P2270166 犬山で行われる祭りには、ユネスコ無形文化遺産に登録された「山・鉾・屋台行事」のひとつである車山が奉納されるが、この山車は三層になっており、からくり人形を備えていることや夜になると365個の提灯を灯すなどかなり豪華な姿となっている。このような山車は、一定の財力がまちにないと続けていけないと思うとナルホドと思えた。

 言い換えれば、来街者が減り続けても最悪な状況になる前にまちづくり再生の手を打ったことで、今の賑わいができたともいえる。

 山田市長は、賑わいを見せているまちづくりについて、自分一代の市長でできたものではなく、歴代の市長のもとに市が進めてきたことであり、中心は市民であったことも強調されていた。話を聞いていて、まちづくりには時間がかかること。そして、タイミングをみて修正をすることが重要であることがよく分かる。これはどこのまちでも同じことが言えるだろう。山田市長はピンチをチャンスに変えたと話していたが、変えるタイミングが重要ということだ。

P2270022P2270136P2270057 駐車場の拡充や公衆トイレも足りない。若い人が多いと客単価が低くなるなど課題もあるそうだが、取り組みは参考にしたい。


■吉祥寺も

 武蔵野市では、これからの吉祥寺のまちづくりを今後の検討する予定だ。
 そのさい、あらためて強みは何か。来街者が何を目的に来るのか。商業者や行政目線だけでない視点も入れていくことが、まちの魅力をさらに高めていくことになることを再認識した視察だった。





写真(上から)
・犬山城。かつては体育館がありこの姿は望めなかった
・ガイドさんに案内してもらう。後方に見えるのが犬山城。城に向かってまっすぐ道が伸びているのが特徴
・ジオラマでかつての街並みをみる。上記のガイドさんがいる場所が、城からまっずぐに伸びている道にいることが良くわかる(お堀のすぐ下あたり)
・犬山城から城下町を見ると福祉会館が景観を阻害していることが良くわかる(釜飯の看板の裏手)
・犬山祭りの山車。これが13輌もある
・民家を改装したレストラン
・民家を改装してカフェ&みやげ物店
・一般住宅も景観を大切にしている。エアコンの室外機にもかばをかけていた