学童クラブの運営基準が緩和される動きがあるなか、武蔵野市は「市長が特に認めるもの」の基準を5,000時間勤務していること基本とすること明らかにした。


21100cf0ab_s■条例改正で質低下の懸念

 学童クラブ(学童保育、放課後児童健全育成事業)の運営基準の緩和は省令が出されたことから各自治体で条例改正の議案が提出され、審議が行われている最中だ。武蔵野市議会では、『武蔵野市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例 』が提案され6月20日の文教委員会で審議が行われた。

 運営基準の緩和は、これまで学童クラブ指導員(放課後児童支援員)の条件として、保育士や教員免許などを取得していることを条件としてきたが、「5年以上放課後児童健全育成事業(学童クラブのこと)に従事した者であって、市長が適当と認めるもの」との条文が追加されることで、これらの条件がなくとも市長が認めると誰でも指導員になることが可能となり、保育の質の低下が懸念されることから保護者や指導員から反対の声が上がっている。

 特に5年の基準があいまいなのが大きな問題だった。


■要綱で5000時間

 詳しくは『学童クラブ条例改正案 現状では納得できない』の記事をご参照いただきたい。この記事を読んだかどうか分からないが、条例改正案が審議された6月20日の文教委員会では、かなり踏み込んだ答弁が行われた。

 そのひとつは、不明確だった5年以上を5000時間以上の勤務時間と明確化したことだ。

 一年間を52週として計算すると週=19.23時間。週5日勤務とすれば一日あたり3.8時間以上勤務となる。短期の勤務は対象外となる基準で理解できる数値といえる(※)。
 これまで明確な数字を示した例を聞いたことがないため、かなり踏み込んだ答弁と言え、他の自治体のひとつの指標となりそうだ。

 答弁ではこの数字を要綱などにしたいとしていた。要綱は、議会の議決が必要はないため、市の都合で変更することが可能となる課題は残るが、明文化することは評価したい。


■提案理由は民間対応。配置基準緩和は?

 指導員の条件を緩和する条例を提出した理由については、民間の事業者から資格はないがアルバイトなどで長期間働いている適切な人を指導員にしたい場合、省令が出されている以上、拒むことができないためであること。市が行う学童クラブ事業では、資格を緩和する考えは現状ではない。
 また、現状で資格を持つ人が指導員となっており、条例が改正されても変わりはないと答弁していた。

 さらに、40人の支援の単位後ごとに2名の指導員の配置基準についても緩和される動きがあるが、市として緩和は考えてない旨の答弁していた。

 平成26年厚生労働省令第63号 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準では、学童クラブの支援の単位(40名ほど)ごとに2名以上の指導員を配置することと定めているが、そのうちの1名のみが有資格者であれば他は資格がない者でも可能としている。

 武蔵野市の場合は、国基準を上回り有資格者を支援の単位ごとに2名を配置しており、質を高める努力をしてきている。この緩和を国として今後行われるかもしれないことを考えれば、この点も踏み込んだ答弁といえる。


■質を高めるのが市の役目

 同基準の第3条は以下のように定めている。

『市町村長は、(中略)その監督に属する放課後児童健全育成事業を行う者(以下「放課後児童健全育成事業者」という。)に対し、最低基準を超えて、その設備及び運営を向上させるように勧告することができる。
2 市町村は、最低基準を常に向上させるように努めるものとする。』

 つまり、市は質向上を民間事業者に勧告することが可能で、市の事業としても質向上(最低基準の向上)を求めているのだ。国基準よりも質を高めることが自治体の役目と考えれば国が基準を緩和したからといって、条例を改正しなくてもいいのではないか、と思えてならない。

 条例改正の議案は、全会一致で可決された。答弁内容を考えれば市として質を守ろうとしていることが明確化されたため改正は致し方がないと思うが、委員会での踏み込んだ答弁を考えていたのであれば、少なくとも条例提案時に示すべきではなかったのか。さらに言えば、国の動きだけでなく、保護者の意見、国会での動きを見てから改正を提案すべきではなかったのか、と疑問は残る。

 武蔵野市としての市政は明らかになり評価はするが、そもそもで考えれば、この改正は必要ないと今でも思えている。




※子ども協会に委託される前の武蔵野市の指導員は、嘱託職員であったため週35時間。正規雇用となると週40時間が基本となる。 

※写真はイメージ


【参考】
地方分権で質低下? 学童クラブ(2017年07月13日)
学童クラブの質低下? 国が基準の緩和を検討へ(2018年04月21日)
学童クラブ条例改正案 現状では納得できない(2018年06月15日)