自由民主党国会議員で組織される自由民主党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会は、「従うべき基準」の維持を求める決議を行い、7月4日に加藤勝信厚生労働大臣へ、申し入れた。


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■質低下の省令

「従うべき基準」とは、国が義務付けている基準だが、昨年の12月26日に閣議決定が行われ、放課後児童支援員(学童クラブ指導員)の資格要件を緩和する省令を各自治体に出し、武蔵野市のなど多くの自治体で、この6月議会で条例改正が行われている。

 緩和の内容は、放課後児童支援員の条件として、保育士や教員免許などを取得していることを条件としてきたが、「5年以上放課後児童健全育成事業(学童クラブのこと)に従事した者であって、市長が適当と認めるもの」との条文が追加されることで、市長が認めると誰でも指導員になることが可能となり、保育の質の低下が懸念されている。
 さらに、40人に対して2名の放課後児童支援員の配置基準を緩和することも考えられていることから保護者や指導員から反対の声が上がり、「従うべき基準」を守ることを求める国会への請願署名が行われ約20万筆の署名が集められている。

 この状況下で、政府与党の自民党国会議員が「従うべき基準」の維持を求める決議を行い、厚労大臣に申し入れたのだ。


■利用者の声を聞くことも求めている

 決議の内容は以下のとおりだが(画像参照)、今回の緩和についての検討を求めており、学童クラブ運営者や利用者の声も聴取するように求めている。武蔵野市の条例改正では、当事者となる学童クラブ利用者(児童とその保護者)の意見を聞いていない問題点を指摘してきているが、同じことを指摘していることは意味深い。

 また、そもそもの指導員のなり手不足は、雇用条件の問題であることから制度面や財政面での措置を講じることや「従う基準」の安易な見直しを行わないことも求めていた。

 同議員の会の事務局長である大塚たかし衆議院議員のサイトには、『「従うべき基準」とは放課後児童指導員の資格及び人員配置について必要不可欠なものです。子どもの命と安全を守るうえで欠かせない学童保育の全国的な一定水準の質を確保するために従うべき基準は堅持しなければなりません』と書かれており、多くの学童クラブ関係者と同じ考えであることが分かる。


■自治体の意識改革が必要

 一度出した省令が覆るかは分からないが、この動きの意義は大きい。
 国が拙速に省令を出したことがそもそもの問題点だが、省令に何の疑いを持たず、現場の実態を調べることなく条例を国に言われるがままに改正した自治体の対応にも大きな問題点が残されている。

 地方分権とは国と地方自治体が対等の立場になったことを意味している。実際には財源などでまっとうに対等とはいえないが、自治体が自ら対等であると意識しない限り、国に言いなりの状態が今後も続くことになるに違いない。今回の学童クラブ条例の改正で明らかになったことは、質低下の懸念だけでなく、自治体のそのもの考え方だ。改めるべきだ。



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 放課後児童クラブの「従うべき基準」の維持を求める決議

める決議 放課後児童クラブの「従うべき基準」に関する「平成29年の他方からの提案等に関する基本方針」(平成29年12月26日閣議決定)への対応について、下記の事項を政府に対して要望する。
 政府においては、これを真拳に受け止め、当該事案について、適切な対応をお取り頂くよう強く求める。

    記

1 放課後児童クラブにおける「従うべき基準」とされている資格及び人数要件は、いずれも、児童の安全確保、放課後児童クラブにおける育成文設の内容の質の向上という観点から必要なものであることを踏まえたうえで、地方分権提案への対応について検討をされたいこと。

2 1の検討にあたっては、自治体のみならず、放課後児童クラブの運営者や利用者の戸も聴取すること。

3 地域により放課後児童クラブの継続が困難となる事例の検証を行い、いかなる場所でも放課後児童クラブが安定的に継続して運営されるよう、制度面、財政面から適切な措置を講ずること。

4 1から3に掲げた事項のほか、「従うべき基準」が策定された経緯や放課後児童クラブの多様性にも留意し、「従うべき基準」の安易な見直しを行わないこと。


 平成30年6月19日
  自由民主党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会
   代表 吉川 貴盛 他一同



※写真は、6月19日に開催された自由民主党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会の総会に出席した神田公司熊本県学童保育連絡協議会会長提供


【参考】
学童クラブの質低下? 国が基準の緩和を検討へ(2018年04月21日)
学童クラブ条例改正案 現状では納得できない(2018年06月15日)
市長が認めるは5,000時間。武蔵野市が基準を明確化 学童クラブ条例改正で(2018年06月22日)