武蔵野市議会は、12月18日の本会議で「放課後児童クラブの職員の職員配置基準等の堅持及び放課後児童支援員等の処遇改善を求める意見書」を賛成多数で可決した。

 竹内まさおり議員のみ反対で、所属する会派で賛否が分かれていた。他の議員は全員賛成だった。

 以下は、意見書の内容と川名が所属する民主生活者ネットの会派を代表して蔵野恵美子議員が行った討論内容だ。


■意見書

 放課後児童クラブの職員の職員配置基準等の堅持及び放課後児童支援員等の処遇改善を求める意見書

処遇改善を求める意見書_ページ_1 放課後児童クラブは、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に、放課後等に安全で安心して過ごせるための遊び及び生活の場を提供し、その健全な育成を図るものである。
 児童の安全確保には、児童を見守る職員体制の確保が必要である。それゆえ、突発的な事故等が生じた場合に対応する職員のほか、それ以外の児童に対応する者が必要となる等の理由から、職員を複数配置することとしている。これらの職員配置等については国が基準を定め、市町村が条例を定める際に従うべき基準とされている。
 一方、地方分権改革の提案募集において、全国的に児童クラブ職員、特に有資格者の人材不足が深刻化し、運営に支障が生じているとして、従うべき 基準の規制緩和を求める提案が地方から国に提出された。これを受け、国は、当該従うべき基準を参酌化することについて、地方分権の場で検討させる方 向で議論している。
 人口減少が進む地方の実情は理解するものの、「従うべき基準」での職員配置基準を緩和して職員が 1 人で多くの児童を受け持つことになった場合には、安全性の低下が懸念される。放課後児童クラプの運営にとって最優先すべきことは児童の安全の確保であり、このための最低基準として当該従うべき基準が定められたものである。これを単に職員確保が難しいという理由から緩和すべきではない。
 放課後児童クラプにおける児童の安全を確保するためには、支援員の量の確保と質の向上が不可欠である。そのため、国においては経験等に応じた処遇改善を進めるための事業を始めたが、その要件が厳しいことから事業の活ー用が進んでおらず、放課後児童支援員等の処遇の改善はいまだ不十分な状態である。
 よって、武蔵野市議会は、貴職に対し下記の措置を講ずるよう強く求める。


    記


1 放課後児童クラプの職員の職員配置基準等に係る従うべき基準について、児童の安全が確保されるよう堅持すること。
2 放課後児童支援員等について、給与等の処遇の改善を推進すること。

 以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

  平成30年12月18日

【追記】
意見書のPDF(武蔵野市議会HPへのリンク)



■賛成討論

 陳受30第14号『国に対して、「放課後児童クラブの職員の職員配置基準等の堅持、及び放課後児童支援員等の処遇改善を求める意見書」の提出を求めることに関する陳情』に会派を代表して賛成討論を行います。

学童クラブ(放課後児童クラブ)は、就労等の理由により日中、家庭に保護者のいない子どもが、放課後および学校休業日に安全に安心して過ごすことのできる「生活の場」「第二の家庭」として、保護者と指導員、そして、自治体の努力により拡充が進められてきました。
 学童クラブが始まった当初は法的根拠がありませんでしたが、1997年に法制化され、児童福祉法に根拠をもつ公的な事業となり、国の予算が拡充されてきました。
特に2015年には、厚生労働省令による「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」と「放課後児童クラブ運営指針」が策定され、武蔵野市など多くの自治体でガイドラインを作成し、質を保つための最低基準を盛り込んだ条例が作られました。

 そこには、有資格者である放課後児童支援員を「40人の支援の単位」ごとに原則2人以上とする配置基準を設け、放課後児童支援員の資格を取得するためには、保育士や社会福祉士、教諭などが都道府県による研修を受講し、修了した者とする「従うべき基準」として定められました。

 しかし、2018年11月19日、内閣府の第35回地方分権改革有識者会議・第88回提案募集検討専門部会合同会議において、地方分権改革の名の元に、放課後児童支援員の要件が緩和されるだけでなく、配置基準を義務である「従うべき基準」から任意である「参酌すべき基準」にする方針が示されました。

 私たち会派は、厚労省の「省令基準」が定められ、その検証も行わず、わずか4年で緩和をしてしまうこと。それも基準を作成した厚生労働省ではなく、内閣府主導で行う緩和に大いに疑問を持っております。
「参酌すべき基準」にすることは、放課後児童支援員を1つの支援の単位ごとに2名以上を配置することから1名だけもでも可能とするもので、しかも、有資格者でなくとも良いとなります。このことは、子どもの生活を守ろう、安心安全な環境のために質を保とう、上げていこうとしてきたこれまでの流れと逆行することになります。

 例えば、複数人の子どもを保育しているさい、一人の子どもが怪我をして病院にいかなくてはならない場合を想像すれば分かります。もし、一人しかいない放課後支援員が病院に連れて行くとしたら、残った子どもの安全は誰が見るのでしょうか。これは例え40人でも数人の児童の保育であっても、あってはならない環境です。つまり過疎地であっても都心であっても、支援員の1名配置はあってはならないのです。
また、1名のみ支援員配置は、児童の安全のみならず、支援員の労働環境においても看過できない環境であります。

 今回の基準緩和の意見は、支援員のなり手不足の対策として、地方から意見が出されたと説明がありました。
その地方とは、全国知事会、全国市長会、全国町村会の三団体からによるもので、地方六団体のうち、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会の三団体からは出されていません。つまり、住民代表である議会からの意見は出されていない、地方全体としての意見とは言えないと考えます。
 
 また、国会議員の間でもこの問題が議論されており、超党派の国会議員で構成されている「公的責任における放課後児童クラブ(学童クラブ)の抜本的拡充を目指す議員連盟」では、なり手不足は処遇の問題と指摘する意見があります。
 さらに自由民主党の国会議員で構成されている自由民主党学童保育(学童クラブ)推進議員の会が『放課後児童クラブの「従うべき基準」の維持を求める決議』を2018年6月19日に行ったように、国会議員の間でも問題視されており、国政においても議員サイドから規制緩和を求める意見を聞くことはないのであります。

 今回の陳情は、基準緩和を不安に思う保護者から出されたもので、私たち会派も同じ思いを持ちます。
陳情にもある懸念事項に対する本市の対応について、陳情審査中に以下確認させていただきました点を評価したいと思います。

 〆2鵑竜制緩和に関して市長会の中で、賛成と反対があるが、武蔵野市では配置基準を緩和させないと市長より明確に答弁を頂いたこと。

 ∈8緇蔑瓠覆靴腓Δ譴ぁ砲出され、配置基準が緩和あるいはなくなるとした場合、正規の指導員を配置しなくても良くなり、支援の単位に2名以上の配置が、1名でも良くなることに対し、本市では子ども協会の仕様の中で、必ず1つのクラブにおいて2名以上の配置を定めている、また、1名は正規職員かつ2名とも支援員の有資格者と定めており、今後も遵守していきたいとの答弁があったこと。

 今回の基準緩和の流れのなかで、学童クラブ指導員の資格要件として、年間1000時間の勤務実態を、2年間で1000時間に緩和する提案が全国市長会から出されていることに対して、武蔵野市では、5年間5000時間の判断基準を変えるつもりはないという答弁を頂いたこと。
以上3点について本市の対応について明確な方針をいただいたことを評価いたします。

 一方で他の自治体で、規制緩和が行われることは見過ごせません。
また、根本的な課題は、基準緩和ではなく、放課後児童支援員のなり手不足にあり、その処遇を改善しなければ解決にはならないと考えます。
よって、基準緩和を行うべきではないこと、国が最低基準を厳守し、財政的措置を率先して行うことが必要と判断していることから、後の意見書案を含めて、陳情に対し賛成討論とします。


【参考】
武蔵野市議会 学童保育職員の配置基準堅持を求める陳情を可決(2018年12月11日)