武蔵野市教育委員会は、市立小中学校での課題の解決のために学校教育計画を策定している。教員へのアンケート結果の速報版を見ると、子どもの貧困への対応に課題が残るように思えた


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■「まあまあ取り組めている」がほとんど

 学校教育計画は、第一期(平成22年〜平成26年)、第二期(平成27年〜平成31年)があり、現在、再来年から始まる第三期の計画へ向けて策定が進められている。
 その策定過程として、小中の校長、副校長、常勤と非常勤の教員、計499名へアンケートを行い、その速報版が公表されている(回答率93.7%)。

 アンケート内容は、言語活動の充実、理科教育の充実などに対して、「十分に取り組めている」「まあまあ取り組めている」「あまり取り組めていない」「分からない」で回答するもの。武蔵野市の教育理念への取り組み状況を把握するもので、具体的な基準から測るものではなく感覚的に答えるものだ。

 それぞれの回答を見ると、「まあまあ取り組めている」が5割から7割程度のとなっており、日本人の特性として「十分に取り組めている」とは回答しないことが多いと考えれば、おおむね、教育理念への対応ができていると考えられる。


■取り組めていないこと

 その一方で「あまり取り組めていない」「分からない」が比較的多い項目があった。
 この二つの回答を加えた割合で多いほう5つを抽出してみると下記となる。


  子どもの能力・可能性を伸長する新たな連携体制の構築 42.1
  市民性を高める教育の推進 39.9
  早期からの一貫した相談、支援の充実 35.2%
  多様な学びの場の整備と学校間連携の推進 33.9
  特別支援教育を充実させるための教職員の専門性の向上 31.3%


 策定委員会でどのような判断をするかは、現状では分からないが、これらの項目をより教育委員会として支援することでよりよい教育環境になるのではないだろうか。


■子どもの貧困対応

-2 これらのことよりも、最も印象深かったのは、社会的な問題となっている子どもの貧困(養育困難家庭)対応として。平成30年4月に全教員に配布した「子どもの家庭生活 気づきのチェックリスト」の活用状況についての返答だった。
 チェックリストで確認してみることは評価できることだが、65.3%の教員が「使ったことはない」と回答していた。

 使ったことがない理由として、「支援してくれる組織があるから」「すでにSSWと連携している」「気づいた段階で周囲の教員等に相談している」「直接カウンセラーや管理職に相談して解決している」など解決方法により対策をしている例は良いとしても、「マニュアルでは対応ができない」「存在自体を知らない」「業務の余裕がなかった」チェックリストへの懐疑的な意見があることや知らなかったことがあったことは注目したい理由だ。改善が必要だろう。
 また、「専科の教員だから」「担任ではないため」という意見もあり、教員がチームとして取り組める状況なのかの再確認も必要と思えたところもあった。


■いきいきプロジェクトはどうか?

 そもそも対応できない理由として、忙しすぎることもある。そのため、武蔵野市教育委員会の「働き方改革」として「先生いきいきプロジェクト」が行われているが、自由記載欄に下記の意見もあった。

・教員のすべき仕事を精選して、やるべき仕事内容を明確にしていく。
・提出書類の作成を減らすなど、事務仕事を減らすこと。印刷などの作業に対応できる事務補助員を増員すること。
・プール指導については、外部委託などの見直しをすること。
・学校行事の見直しに関すること。
・ICT 環境の充実による業務負担の軽減などに関すること。
・部活動顧問の負担軽減のため、外部指導員を増やすなど地域人材の発掘を行うこと。
・特別支援教室の教員の業務改善や制度の見直しに関すること。
・1学級あたりの児童・生徒を減らすこと(30人学級など)。

 これらは、これまでにも指摘されていたこと。費用がかかることや国や都の動向(30人学級)によりけりでもあるが、一つでも進めていくことが必要だ。ICT機器の導入は、教員の事務負担を減らすことが目的の一つでもあった。実際にできているかの検証が必要だろう。


 いずれにせよ、速報版のためクロス集計など詳細は今後となるのだろう。おおむね良い方向とはなっているが、課題をなくしていくことで、よりよい教育になる。今後の議論に期待したい

 
【参考】
第三期武蔵野市学校教育計画(仮称)策定委員会
第三期武蔵野市学校教育計画(仮称)に関する教員アンケート(速報版)