裁判で考えれば検察が起訴したものはすべて有罪にするのか? 裁判官はみんなで相談し、弁護士などの話を聞き決めているのに議会はどうか。決定機関であるなら決定した責任を考えるべきと指摘された。今の多くの議会はこの問に答えられるか?


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 8月1日の開催された「全国地方議会サミット2019」で講演した片山善博早稲田大学教授(元鳥取県知事、元総務大臣) からの言葉だった。


■裁判所のイメージ
 
 片山教授は、本来は傍聴席の市民に向かって議場を作るべきだが、議会は決定機関であり、裁判所のイメージで考えればよく分かる。

 首長提案の議案をすべて可決するのは、検察官が起訴したのはすべて有罪にするようなもの。反対に全部無罪でも困る。何でも反対の人もいても困る。何でも賛成、何でも反対は、首長とべったり、あるいは反目で首長とつながっていて同じようなもの。
 
 まずは人の意見を聞く、特に関係者、嫌だと思う人の意見を聞くことが必要。値上げするさいには、当事者。待機児で困っている場合は保育園が増えていない予算は適切かを考える。議会として公聴会を開くべきだ。

 決めるのは議会。必要な時は修正をすべき。鳥取県知事の時は、事前の根回しはせず、修正となったことがあった、結果的にはいい修正となっていたと話されていた。


■責任を持つ

 また、議会は、決定したら責任を議会は持つべき。予算を決定したら、なぜこの予算かと聞かれて執行部が決めたと答えてはならない。
 民間企業の取締役会と同じで、企業の業績が悪くなったら責任を取らされると考えるべきだ。議会には金銭賠償などはないが、決めた議会は自覚と責任を持つべきと指摘されていた。

 例えば、学校でいじめがなくならない、教職員の多忙化も解決していないとしたら誰の責任なのか。改善するのは取締役会である教育委員会の責任で、いじめや多忙化がなくならいのなら教育員会委員が機能していないことになる。

 その教育委員を選んだの誰か。
 
 教員を首長が提案したとしても、同意して決定したのは議会だ。議会が教育委員会の品質管理をできていないことになる。何よりも教育委員を吟味、審議をしないで決めていのかと指摘されていた。

 議決した責任を持てということだ。

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■異なる機能 
 
 首長が登壇した他のセッションでも指摘されていたが、議員一人ひとりが質問や提案をしていても、それだけでは力にならない。首長から検討します、研究しますと答弁されておしまいになってしまう。

 議員が賛成、反対だけを言い合うのではなく、議員個人ではなく議会として市民から意見を聞き、議員同士でメリットデメリットなどを議論し最善策を議会として意思決定(議決)する。それが自治体としての意思になり、執行されていくようにすべきではないか。そのことが、このサミットのテーマである「チーム議会」だ。議員の個人プレーでは、権限も責任も断たせなくなってしまう。

 執行部の長である首長が決めても議会が認めないと執行できない。それだけの権限の強さが議会にはある。その重さを認識するとともに責任を持たなくてはならないことを改めて認識した講演だった。