消費税増税対応として幼児教育・保育無償化がスタートするが、まだまだ課題が残っている。

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 保育料無償化には給食副食費(以下給食費)が含まれていないため公定価格から減額される。そのため、多くの自治体では新たに給食費を10月から保護者から徴収する予定で、そのための条例改正の議案が各議会で審議されている。
 武蔵野市議会では9月10日の市議会文教委員会で審議が行われた。


■月額680円の負担増

 武蔵野市の場合は、以前に書いたように給食は食育として保育の一部として考え給食費を徴収せず、本当の保育料無償化とするためゼロ円にする条例改正だが、これは少数派のようで多くの自治体では徴収するための条例改正を行っている。

 このことは各自治体の判断になるのだが、さらに給食費以外にも負担が増えることが分かった。
 
 それは、物価調整費で月額680円。

 保育園(認可)には、国の基準に合わせて国が保育園へ支払う補助金額を定める公定価格がある。国がこの公定価格を補助金として自治体に支払い、自治体から保育園事業者に自治体の上乗せ分を含めて補助金を支払い各保育園の運営費となっている。

 今回、保育料の無償化を実施するにあたって給食費は保育料に含まれないと判断され月額4500円の給食費相当額が公定価格から削除、保育園事業者には支払われなくなる。そのため、保護者に給食費を徴収することになるのだが、この給食費には、物価上昇があることからさらに上乗せされた補助金として物調整費が設けられていた。

 給食費が削除されるのだから、給食費の物価上昇分に対応した補助金である物価調整費も削除されることになったのだ。


■あと出しジャンケン

 削除されるだろうとのことは昨年11月の第39回子ども・子育て会議資料で知られることになっていたが、実際のその額が明確になったのは、今年の8月29日の子ども・子育て会議の席上で、しかも口頭での説明だという。10日の文教委員会で質問したところ、自治体には8月という直前で通知されたとの答弁だった。

 10月から改正直前、条例などを審議している最中に、じつは給食費以外にも公定価格が下げられることになる。あと出しジャンケンのようだ。

 保護者は、給食費を支払うが(武蔵野市の場合は無償)、この680円分はどうするか分からない。680円は、100名規模の保育園であれば月額60万円ほど運営費が削減されることになるという。この680円を保護者に負担を求めるのか、保育園事業者が負担するのか、自治体が補助するかは現時点では分からないが、保育園にとっては大きな影響が出てしまうかもしれない。

 国が保育料無償化と決めたのだから、給食負も物価調整費も国が負担するのが筋ではないだろうか。しかも、10月スタートの直前で分かるとはあまりにもおかしい。


■内閣府令 80箇所も間違え

 10月からの無償化で対象になる施設の運営基準などを定める内閣府令に80箇所の間違いがあることを9月6日の閣議後会見で宮腰光寛少子化対策担当大臣が明らかにした。
 この間違いの中には、無償化の対象を「満3歳以上」とすべきところを「満3歳未満」にしていたなど初歩的なミスもあった。内閣府令に基づき条例を作成するため自治体への影響は少なくない。

 お役所仕事といえば、時間はかかるが確実に作業を進めると思ってしまうが、今回のケースではまったく当てはまらないことになる。

 10日の文教委員会では、無償化の条例改正の審議のさいにこのことが担当課長から説明があり、上記の間違いは条例作成の時に気がつき市で修正したので今回の条例には大きく影響はないとしていた。武蔵野市では問題とはならないだろうが、他の自治体ではどうなのか、不安が残る。

 多少の間違いはこれまでにもあったようだが、これほど多いのはなく、前代未聞の事態と言える。細かいツメをする間もなく官邸主導で進めたことが原因なのか? それとも本来は厚労省がやるべきことを管轄とは程遠い内閣府がやったからか? 理由は分からないが、物価調整費を含めてこんな状況で今後も大丈夫なのか不安が残ってしまう。

 大丈夫か政府?


【参考】
朝日新聞 内閣府令に80カ所誤り 幼保無償化の基準、自治体指摘(2019年9月6日)
日本共産党 田村智子活動報告 保育園に打撃 副食費を実費徴収化
全私保連ニュース(令和9月3日発行) 

保育無償化に伴う給食費  武蔵野市は無償に(2019年08月29日)