「原発ゼロ」が嫌なら、原発を進めるとハッキリさせて、新党と連携しなければいい。魂を売る必要はないと思えてならない。
■「原発ゼロ」という表現を使わない?
立憲民主党と国民民主党の合流、新党結成について「連合の神津会長は立憲民主党の枝野代表と会談し、新党の綱領案に「原発ゼロ」の実現が明記されていることに労働組合が反発していることを踏まえ、今後の政策論議などでは「原発ゼロ」という表現を使わないよう求めました』という(NHK 連合神津会長 「原発ゼロ」の表現 使わないよう求める 2020年8月27日)。
「原発ゼロ」は、立憲民主党の一丁目一番地の政策だ。旧民主党が福島第一原発事故当時の政権を担っていた政党であるのにも関わらず「原発ゼロ」を明確にできず2030年代というあいまいな表現で原発への態度を明確にできなかった。このことで国民からの支持を失っていたことは明白だ。
その後、民主党から衣替えした民進党の前原誠司代表(当時)は、民進党を解党し希望の党への合流を決めたところ、希望の党代表(当時)の小池百合子東京都知事が「全員を受け入れることはさらさらない」「排除いたします」と発言。排除された側の枝野幸男衆議院議員らが立憲民主党を立ち上げ、原発ゼロを明確に打ち出し、国民からの支持を取り戻してきた経緯がある。
神津連合会長は、小池都知事と前原代表と会談し、支援を要請された当事者であり、この経緯は十分に承知している立場だろう。何よりも、すでに政党の魂でもあり、合流する両党で協議し決めた綱領に書かれていることへ注文を出すのは理解ができない。
立憲民主党のサイトでは、『現実的なエネルギー政策を強く求めたい。「原発ゼロ」という表現などについて、一人歩きさせないように十分な配慮を求めたい』とあり、報道にある『「原発ゼロ」という表現を使わないよう求めました』とは書かれていなかった。会談の議事録がないので、どちらの表現が正しいのか判断はできないが懸念材料であることは確かだ。
おそらく、懸念している傘下の組合への配慮だと思うし、今の段階で真意を知ることはできないが、もしも本当に「原発ゼロ」の表現を使うなというのなら、一緒にならなければいい、支援をしなければいいと思えてならない。
民主党では、原発政策を協議する場にはゼロ反対派の議員が参加しゼロを明確にできなかったとの話を複数の国会議員から聞いてきている。合流した新党で同じようなことを繰り返せば民主党の二の舞になるのは言うまでもない。失敗を繰り返してはならないのだ。
■純国産エネルギーは原発も入る?
8月27日に立憲民主党自治体議員に、『連合・立憲・国民『共有する「理念」について』と題したメールが党本部から送られてきた。
ここには、「かねてより協議を行っておりました、連合・立憲民主党・国民民主党3者によるポストコロナの社会像に関する意見交換会によって、添付書面をとりまとめました」とあり、その書面にあるエネルギーについての記載は下記となっている。
-----------------------------------
・株主のみならず、従業員、消費者、取引先、地域社会など多様なステークホルダー(利害関係者)への利益の公正な分配、経済と生活における安全保障という視点にもとづく国内供給体制や純国産エネルギーの確保など、一人ひとりの命とくらしを支え合う経済システムや低廉で安定かつ低炭素なエネルギーシステムを確立する。その際には二項対立的思考に陥ることなく、科学的知見に依拠するとともに、雇用の公正な移行を維持する。
-------------------------------------
あまりにも高尚な文章なので何を言いたいのか分からないが、「純国産エネルギー」とは何だろう?
日本原子力研究開発機構のサイトにある解説に『エネルギーは大別して輸入エネルギーと国産エネルギーに分類されるが、原子力に関してはウラン輸入の費用が発電費用に占める比率がきわめて小さく、また、一度輸入すれば燃料リサイクルにより長く使用できることから、準国産エネルギーとも呼ばれる。エネルギーの輸入依存度を評価する際に、通常は輸入ウランを用いる原子力も輸入エネルギーに含める。しかし、供給リスクに係る実態をより的確に表すために、原子力を準国産エネルギーとみなした場合の輸入依存度も併記することがある。将来的に、高速増殖炉の本格利用が実現して軽水炉がすべて置換され、輸入ウランへの依存がなくなれば、原子力は国産エネルギーと分類することが妥当である』と書かれていた。
高速増殖炉の本格利用が実現して輸入ウランの依存がなくなれば、の前提だが、ご存知のように2016年に高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉が決定している。核廃棄物の最終処分場のめどもついていない。となれば、原発は純国産エネルギーではなく再エネを進めていくとなるのだが、「原発ゼロ」の表現を使うなということと矛盾してきてしまう。科学的知見に依拠してフルコストを考えても原発を進めるとはならないはずだ。
なお、この解説は「>純<国産エネルギー」ではなく、「>準<国産エネルギー」として解説している、つまり、原発は純国産エネルギーではないことになるが、この文章で示されている「純国産エネルギー」って何のことだろう?
■原発ゼロか推進か。ハッキリすべき
「原発ゼロ」は、原発で働く人たちの仕事をなくせということではない。廃炉事業、再エネ事業など事業転換し仕事内容を変えればいいだけのことだ。企業としても事業内容を変更していくのは、どの時代でも行われてきたこと。そうでなければ、企業は生き残れないのは当然のことだ。
それでも原発が必要なら、必要で推進すると自民党のようにハッキリ示すべきだ。国会議員であれば、新党に合流しなければいい。労働組合も同じだろう。選ぶのは国民だから、選択を任せればいいだけのことだ。
一丁目一番地の魂がぐらついてしまえば、政党としての意義はない。今回の合流で「原発ゼロ」を綱領に入れたことで、新党に合流してもいいかな、と思っている身には、ここだけははっきりさせてほしい。アヤフヤになれば支持しない国民が増え、合流しない議員も増えるに違いない。
【参考】
立憲民主党 枝野代表が連合の神津会長と会談
※写真は福島第一原発事故による帰宅困難区域。この現実を知っていて「原発ゼロ」を言ってはならないか?
