77%の家庭で何らかの被害を受けていた…。外環道ルート上で起きた陥没した地域への調査結果が示していた。そして、今回の陥没事故は、決して「想定外」ではなとも指摘されている。
■陥没した地域での調査
調査は、外環道の沿線住民で組織されている「外環被害住民連絡会・調布」が調布市つつじヶ丘2丁目と若葉町1丁目の陥没した地域周辺の戸建て住宅を対象に個別訪問し行ったもの。調査対象は308軒。回答件数は132件で回答率は42.8%だった。
立憲民主党東京都連政策調査会で同連絡会から2月11日にオンラインでヒアリングしたさい資料をいただき知ったもの。
▼44%に構造物被害
被害の内容は、構造物の被害あるとした回答が58件(44%)だった。
主な被害内容は、室内(クロス)のヒビ:15件、ドア・床の傾き:19件、基礎部分の 亀裂:7件、塀・タイルの変状:17件、コンクリートのひび割れ:17件、段差の拡がり:6件、門扉の開閉不具合:5件など
同連絡会では、「ない」と答えた方の中には、もとからあったヒビなのかは工事との因果関係は不明との回答があることや高齢の一人暮らしの方も多く実被害についての認識は難しい場合もあることから、実際の被害件数は もっと多いものと考えられ、今後の増加も予想されるとコメントしている。
▼体感的被害が77%
騒音や振動、低周波音などの被害があったとの回答は102件(77%)あった。内訳は騒音:72件、振動:95件、低周波音:51件。この件数は、複数回答も「1」としてカウントしている。
構造物被害、体感的被害ともに、今回の陥没現場に近接している住宅ほど高い結果となっていた。、陥没現場から約1km離れた場所でも被害が複数確認されているため、調査範囲を広げると被害は今回の地域に限ったことではない可能性があるとも指摘している。
発生時期は、住民の記憶によるため正確性には欠けるが、騒音・振動・低周波音などの被害の多くは8月、9月、10月に発生し、特に9月が多い。そのため同連絡会は、この時期に発生していたシールドマシントラブルとの相関関係が顕著だと指摘している。
■同様の陥没が起きていた。人災の可能性
同連絡会は、類似の地層がある他の工事でも起きていたことから今回のことが起きる危険性を指摘し続けてきた。直近では、類似の地層がある新横浜トンネル工事(※)で2020年6月に道路陥没が起きていることを指摘していたという。
さらに、同連絡会は、「事業者はこの地域の地盤の特殊性を強調し、問題を矮小化しようとしているが、今後の掘削予定地にも似たような地盤、様々な地層が交互にある互層はあることがわかっている。今回の問題は、ルート上に適地があったにもかかわらず、追加ボーリング調査を行わず、問題となった礫層が詳細に把握できていなかった」と指摘している。
このことが確かであれば、陥没が起きる可能性のある地層があることを知っていただけでなく、ルート上にボーリングできる適地があるのにも関わらず、ルート上でボーリング調査をしていなかったことになり、人災の可能性も出てくることになる。
陥没の後に詳細にボーリング調査をしているが、工事前にやっておくべきことではなかったか、と思えてならない(上図)。
その結果が、今回の陥没であり、周辺地域に被害が出てしまったことになる。今後の大きな論点となりそうだ。
■忘れられてしまう事前調査
この調査では、「トンネルがどこを通るか事前に知っていたか?」の設問があり、知らなかった29件あったことも報告されている。「知っていた」と回答した人でも正確なルートまで知らなかった、2本通るとは知らなかった(上下で2本のトンネル工事があり、今回は1本目)人もあり詳細を知らない住民も多数いることが分かったとしている。
さらに、2015年に家屋事前調査を行っているが、工事の遅れもあり調査から5年が経過しているため、調査を受けたか不明との回答が21件あり、転居してきた人には家屋調査の存在を知らない人や調査報告書を保管していない人が複数いることも分かったとしている。
もし、工事が再開されるとトンネル工事は武蔵野市の下も通ることになり、同様のことが起きないようにすることが必要だ。
■原因究明と再発防止が急務
同連絡会では、工事の再開について、既に地盤沈下した地域を、さらにもう1本の北行シールドマシンが掘削していけば、一層深刻な被害を生む恐れがあり、周辺住民にとっては恐怖以外の何物でもない。陥没・空洞はもとより、騒音・振動、家屋被害を含む一切の被害を地上の住民に与えないと約束できるだけの十分な再発防止策を立て、周辺住民の了解を得たうえでなければ工事の再開はあり得ないとしている。
今回の陥没による十分な補償だけでなく、原因の究明と再発防止策が求められているのは言うまでもない。これがなければ再開はあり得ない。
今後の東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会による調査に注目したいが、自ら安全としてきた委員会が原因究明や対策を作れるかには疑問が残るため、第三者機関による調査と対策も必要だろう。
■補償と賠償
外環道については、工事の中止を求める意見もあるが、川名が所属している立憲民主党東京都連では、10月22日に緊急要請を行い、原因究明と再発防止策が講じられるまでは工事の再開を見合わせることを求め、工事の中止までは現状では求めていない。
このことは、民主党政権時に外環道が動き出したこともあるが、何よりも被害者への補償の問題とも関係してくるからだ。
よく被害者の救済として「補償」と「賠償」の言葉を使うことが多いが、「賠償」は、違法な行為によって生じた損害を補填するもので、被害者が違法であることやどのように被害になったのか立証しなくてはならい。多くの時間と手間、裁判になれば費用が必要になる。「補償」は、適法な行為によって生じた損害を補填するもので、被害者が立証する必要はなく工事事業者の判断で行える。
似たような言葉ではあるが、被害を受けられた方にとって今何が最優先か重要かで判断することも必要だろう。
※ 相鉄・東急直通線で起きた陥没事故。
参考:東洋経済オンライン 相鉄・東急直通線工事、判明した「陥没」の要因 トンネル掘削時に土砂を過剰に取り込んだ(2020/07/29)
※図は、東京外かく環状道路工事現場付近での陥没事象等に関する説明会資料より
【参考】
外環道トンネル上の道路陥没へ 立憲民主党 東京都連から国などへ要請文提出(2020年10月23日)
ただちに影響はない? 外環道路ルート上の空洞(2020年11月06日)
調査は、外環道の沿線住民で組織されている「外環被害住民連絡会・調布」が調布市つつじヶ丘2丁目と若葉町1丁目の陥没した地域周辺の戸建て住宅を対象に個別訪問し行ったもの。調査対象は308軒。回答件数は132件で回答率は42.8%だった。
立憲民主党東京都連政策調査会で同連絡会から2月11日にオンラインでヒアリングしたさい資料をいただき知ったもの。
▼44%に構造物被害
被害の内容は、構造物の被害あるとした回答が58件(44%)だった。
主な被害内容は、室内(クロス)のヒビ:15件、ドア・床の傾き:19件、基礎部分の 亀裂:7件、塀・タイルの変状:17件、コンクリートのひび割れ:17件、段差の拡がり:6件、門扉の開閉不具合:5件など
同連絡会では、「ない」と答えた方の中には、もとからあったヒビなのかは工事との因果関係は不明との回答があることや高齢の一人暮らしの方も多く実被害についての認識は難しい場合もあることから、実際の被害件数は もっと多いものと考えられ、今後の増加も予想されるとコメントしている。
▼体感的被害が77%
騒音や振動、低周波音などの被害があったとの回答は102件(77%)あった。内訳は騒音:72件、振動:95件、低周波音:51件。この件数は、複数回答も「1」としてカウントしている。
構造物被害、体感的被害ともに、今回の陥没現場に近接している住宅ほど高い結果となっていた。、陥没現場から約1km離れた場所でも被害が複数確認されているため、調査範囲を広げると被害は今回の地域に限ったことではない可能性があるとも指摘している。
発生時期は、住民の記憶によるため正確性には欠けるが、騒音・振動・低周波音などの被害の多くは8月、9月、10月に発生し、特に9月が多い。そのため同連絡会は、この時期に発生していたシールドマシントラブルとの相関関係が顕著だと指摘している。
■同様の陥没が起きていた。人災の可能性
同連絡会は、類似の地層がある他の工事でも起きていたことから今回のことが起きる危険性を指摘し続けてきた。直近では、類似の地層がある新横浜トンネル工事(※)で2020年6月に道路陥没が起きていることを指摘していたという。
さらに、同連絡会は、「事業者はこの地域の地盤の特殊性を強調し、問題を矮小化しようとしているが、今後の掘削予定地にも似たような地盤、様々な地層が交互にある互層はあることがわかっている。今回の問題は、ルート上に適地があったにもかかわらず、追加ボーリング調査を行わず、問題となった礫層が詳細に把握できていなかった」と指摘している。
このことが確かであれば、陥没が起きる可能性のある地層があることを知っていただけでなく、ルート上にボーリングできる適地があるのにも関わらず、ルート上でボーリング調査をしていなかったことになり、人災の可能性も出てくることになる。
陥没の後に詳細にボーリング調査をしているが、工事前にやっておくべきことではなかったか、と思えてならない(上図)。
その結果が、今回の陥没であり、周辺地域に被害が出てしまったことになる。今後の大きな論点となりそうだ。
■忘れられてしまう事前調査
この調査では、「トンネルがどこを通るか事前に知っていたか?」の設問があり、知らなかった29件あったことも報告されている。「知っていた」と回答した人でも正確なルートまで知らなかった、2本通るとは知らなかった(上下で2本のトンネル工事があり、今回は1本目)人もあり詳細を知らない住民も多数いることが分かったとしている。
さらに、2015年に家屋事前調査を行っているが、工事の遅れもあり調査から5年が経過しているため、調査を受けたか不明との回答が21件あり、転居してきた人には家屋調査の存在を知らない人や調査報告書を保管していない人が複数いることも分かったとしている。
もし、工事が再開されるとトンネル工事は武蔵野市の下も通ることになり、同様のことが起きないようにすることが必要だ。
■原因究明と再発防止が急務
同連絡会では、工事の再開について、既に地盤沈下した地域を、さらにもう1本の北行シールドマシンが掘削していけば、一層深刻な被害を生む恐れがあり、周辺住民にとっては恐怖以外の何物でもない。陥没・空洞はもとより、騒音・振動、家屋被害を含む一切の被害を地上の住民に与えないと約束できるだけの十分な再発防止策を立て、周辺住民の了解を得たうえでなければ工事の再開はあり得ないとしている。
今回の陥没による十分な補償だけでなく、原因の究明と再発防止策が求められているのは言うまでもない。これがなければ再開はあり得ない。
今後の東京外環トンネル施工等検討委員会有識者委員会による調査に注目したいが、自ら安全としてきた委員会が原因究明や対策を作れるかには疑問が残るため、第三者機関による調査と対策も必要だろう。
(↑補償対象地域)
■補償と賠償
外環道については、工事の中止を求める意見もあるが、川名が所属している立憲民主党東京都連では、10月22日に緊急要請を行い、原因究明と再発防止策が講じられるまでは工事の再開を見合わせることを求め、工事の中止までは現状では求めていない。
このことは、民主党政権時に外環道が動き出したこともあるが、何よりも被害者への補償の問題とも関係してくるからだ。
よく被害者の救済として「補償」と「賠償」の言葉を使うことが多いが、「賠償」は、違法な行為によって生じた損害を補填するもので、被害者が違法であることやどのように被害になったのか立証しなくてはならい。多くの時間と手間、裁判になれば費用が必要になる。「補償」は、適法な行為によって生じた損害を補填するもので、被害者が立証する必要はなく工事事業者の判断で行える。
似たような言葉ではあるが、被害を受けられた方にとって今何が最優先か重要かで判断することも必要だろう。
※ 相鉄・東急直通線で起きた陥没事故。
参考:東洋経済オンライン 相鉄・東急直通線工事、判明した「陥没」の要因 トンネル掘削時に土砂を過剰に取り込んだ(2020/07/29)
※図は、東京外かく環状道路工事現場付近での陥没事象等に関する説明会資料より
【参考】
外環道トンネル上の道路陥没へ 立憲民主党 東京都連から国などへ要請文提出(2020年10月23日)
ただちに影響はない? 外環道路ルート上の空洞(2020年11月06日)


