ミッドレンジ同士の戦いは「《軍族童の突発》に対して《胆汁病》」「《エレボスの鞭》に対して《消去》」など専用カードによる対策合戦になる。

《胆汁病》《消去》

《消去》なんてエンチャントがなければ何の役にも立たないし、もちろん自分のデッキテーマに合うわけもないのに《エレボスの鞭》が致命的すぎるので入れざるを得ない。

こうやって、相手に合わせて色々なカードを入れて戦う様相を見て「これってナポレオンとかが使ってたオーダーミックスだよなー」と思ったので、今日はそのことについて知ってることを紹介。

(1)オーダーミックスって何?
(2)相手に合わせるって当たり前じゃないの???
(3)ミッドレンジデッキに見るオーダーミックス
(4)MTGに於いてオーダーミックスは当たり前ではなかった
(5)オーダーミックスが必要な時代とは
(6)オーダーミックスが必要な時代は複雑化する

なお、単なる雑学だったり、正確でない表記もあるかもしれないので読み物としてお読みください。
(1)オーダーミックスって何?

オーダーミックスというのはナポレオンとかアレクサンドロスとかの戦術とかを調べていくと出てくる言葉で、要は混成軍団の運用という意味であり、相手に必要な様々な兵種を揃えて運用するということだ。

いい感じにまとめているサイトを見つけたので紹介しときます。
オーダーにミックスよる軍団運用
20070420225247
オーダーミックスによるアレクサンドロス軍の用兵

(引用)

「Art of War」では、重装歩兵の特徴を次のように述べています。
  • 軽装歩兵は重装歩兵に対し攻的優越である
  • 重装騎兵は軽装歩兵に対し攻的優越である
  • 軽装歩兵は軽装騎兵に対し防的優越である

 軽装歩兵は重装歩兵とは直接戦闘を行わず遠距離攻撃を行うので、攻的優越です。一方、重装騎兵に対しては逃走不可能。軽装騎兵に対しては両者とも決定打を欠く(歩兵の方が防御的には優位)ということです。

(引用ここまで)

わからない人は置いてけぼりで進めていくと、軍隊に於いて「重装歩兵」「軽装歩兵」「重装騎兵」「軽装騎兵」というのはそれぞれ相性があり、
「重装歩兵みたいな重くて動けんやつは、軽装歩兵の弓でアウトレンジから矢の雨で倒せるよね」
「でも軽装歩兵は足の速い重装騎兵が目の前にやってくると、軽装対重装になってボコボコにされるね」

と、まあこんな話の感じの話。兵種により相性があるので、戦術の天才であるアレクサンドロスやナポレオンはこれらの兵種を混合した軍を作り、相手を選んで最適な兵種で戦うことで有利を作っていた。この混合した軍オーダーミックスである。


(2)相手に合わせるって当たり前じゃないの???


で、こんな話をすると「そんなん当たり前じゃないの?」と思うかもしれない。しかし、恐ろしいことに戦争の歴史を見ていくと

「○○帝国の重装歩兵密集陣、レギオンは無敵である」
と、とりあえず鎧の兵士を並べておけば誰にでも勝てると思ってる軍隊があったり

「騎馬隊が突っ込めば鉄砲なんざ一網打尽じゃあ!!」
と、鉄砲に向かってとびこんでいく最強騎馬隊があったりと各時代に最強と謳われる戦術、兵種を偏重して大敗を喫した例はゴマンとある。

紀元前350年ごろにアレクサンドロス大王がせっかくオーダーミックスによる用兵を確立したのに、結局1800年のナポレオンの時代まで(数人の天才を除いて)その理論がなかなか復活しなかったのも戦争が割と単純な構成で行われていた現れだと言える。

(3)ミッドレンジデッキに見るオーダーミックス

それでは、話をMTGに戻そう。MTGに於いて、ミッドレンジデッキはオーダーミックスという考え方が非常に重要になる。例として世界選手権準優勝のパトリックチャピン選手のデッキを見てみよう。

アブザンミッドレンジ Patrick Chapin
4:《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4:《疾病の神殿/Temple of Malady》
3:《静寂の神殿/Temple of Silence》
1:《豊潤の神殿/Temple of Plenty》
4:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
2:《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
2:《森/Forest》
2:《平地/Plains》
25 lands

4:《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
2:《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
4:《包囲サイ/Siege Rhino》
1:《風番いのロック/Wingmate Roc》

15 creatures
2:《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor》
1:《英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor of Heroes》
2:《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
4:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《骨読み/Read the Bones》
4:《英雄の破滅/Hero's Downfall》
4:《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
1:《完全なる終わり/Utter End》
1:《残忍な切断/Murderous Cut》
20 other spells

1:《完全なる終わり/Utter End》
1:《残忍な切断/Murderous Cut》
2:《骨読み/Read the Bones》
3:《胆汁病/Bile Blight》
1:《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
2:《対立の終結/End Hostilities》
1:《異端の輝き/Glare of Heresy》
1:《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
1:《砂塵破/Duneblast》
2:《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost》
15 sideboard cards

《英雄の破滅》《完全なる終わり》《残忍な切断》がメインデッキであり、サイドボードには《胆汁病》や《対立の終結》《砂塵破》、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》《先頭に立つもの、アナフェンザ》などが入っている。

それぞれのカードは対抗するデッキを想定して入れられたものだ。メインデッキは割とどんなクリーチャーでも倒せる除去を揃えているが、トークン戦術には不利なので《胆汁病》をサイドに取っている。

メインデッキの除去で足りない相手には《対立の終結》《砂塵破》が入る。これらは緑単信心系デッキなどとにかく大量のクリーチャーを相手にした場合に必要になる。

そして、除去が要らない相手には《先頭に立つもの、アナフェンザ》《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を入れて攻撃的な動きをすることになる。

それぞれ、用途のまったく異なるカードがたくさん入っているが、それらのカードを《クルフィックスの狩猟者》《包囲サイ》などのエースカードと共に使用し、相手に合わせて戦っていくのがミッドレンジの戦い方である。

(4)MTGに於いてオーダーミックスは当たり前ではなかった


こんな話をすると

「いや、それも当たり前だろ?相手に合わせて戦うというのはMTGの基本だ」

と思うかもしれない。しかし、MTGの歴史を見て、今ほど「相手に合わせて戦うことが必要になる」時代はそうなかったのではないだろうか?

たとえばミラージュ時代の代表的なデッキを2つほど見ていこう。

デッドガイレッド:使用者:David Price
メインデッキ (60)
クリーチャー (26)
4 ジャッカルの仔/Jackal Pup
4 モグの徴集兵部隊/Mogg Conscripts
4 モグの狂信者/Mogg Fanatic
4 モグの略奪者/Mogg Raider
4 峡谷の山猫/Canyon Wildcat
4 投火師/Fireslinger
2 ラースのドラゴン/Rathi Dragon
呪文 (14)
4 焚きつけ/Kindle
4 巨人の力/Giant Strength
4 呪われた巻物/Cursed Scroll
2 煮沸ばさみ/Scalding Tongs
土地 (20)
16 山/Mountain
4 不毛の大地/Wasteland
サイドボード
1 ラースのドラゴン/Rathi Dragon
1 黙示録/Apocalypse
2 凶運の彫像/Jinxed Idol
2 煮沸ばさみ/Scalding Tongs
4 粉砕/Shatter
4 石の雨/Stone Rain
1 拷問室/Torture Chamber


プロスブルーム:使用者 石田格
メインデッキ (60)
クリーチャー (0)
呪文 (38)
1 生命吸収/Drain Life
4 冥府の契約/Infernal Contract
4 自然の均衡/Natural Balance
3 繁栄/Prosperity
2 記憶の欠落/Memory Lapse
3 魔力消沈/Power Sink
4 衝動/Impulse
3 吸血の教示者/Vampiric Tutor
2 中断/Abeyance
4 瞑想/Meditate
4 資源の浪費/Squandered Resources
4 死体の花/Cadaverous Bloom
土地 (22)
4 森/Forest
5 島/Island
1 平地/Plains
4 沼/Swamp
4 真鍮の都/City of Brass
4 宝石鉱山/Gemstone Mine
サイドボード
3 寒け/Chill
2 エレファント・グラス/Elephant Grass
4 紅蓮破/Pyroblast
2 エメラルドの魔除け/Emerald Charm
2 中断/Abeyance
2 沸騰/Boil

どちらもデッキ名がついている。
そう、デッキ名がついているのだ!!

「赤単は攻撃したい」
「プロスブルームはコンボを決めたい」

目的を持ったデッキなのだ。どちらもたしかにサイドボードに相手に対抗するカードが入ってる。特に《石の雨/Stone Rain》などはデッキテーマを土地破壊デッキに変えてしまうほどのインパクトがあるが、それでも相手にしてみたら

「このデッキは赤単だから攻めてくる」
「このデッキはプロスブルームだからコンボだ」

といった主となる戦法に変化はないし、妨害カードよりも主戦力の方が印象に残っていたはずだ。

しかし、今のスタンダードにはどのデッキもこれほどの主張がデッキからは感じられない。だからどのデッキも○○ミッドレンジなどと呼ばれ、色しか印象に残らないデッキ名に困る状態になっている。

(5)オーダーミックスが必要な時代とは

デッキ名が印象に残らないミッドレンジデッキばかりのデッキになった経緯は、現在はカードパワーが高く、コンボだったりスライ理論だったりと、デッキそのものを特化しなくても単体のカードパワーで勝負を決められるようになったからだ。

《クルフィックスの狩猟者》《包囲サイ》

《クルフィックスの狩猟者》《包囲サイ》があれば、あとは妨害カードだらけでも勝負を決められる。デッキそのものの構成によって「どのように攻撃するか」考えなくても、相手に合わせたカードをどれだけ用意するかで万全の勝利体制を築くことが必要になる。

そんなときにたとえば「緑単信心」のようなクリーチャー特化デッキや「ジェスカイトークン」のようなトークン特化デッキなどに当たった場合、専用のカードを使って追い返す必要が出てくる。

ミッドレンジは様々なカードを用意して、相手に合わせて戦わねばならない。相手に合わせて必要なカードを使用する、オーダーミックスの考え方が非常に重要になる。

(6)オーダーミックスが必要な時代は複雑化する

そして、相手に合わせた戦術が必要でありながら相手もミッドレンジ、つまりオーダーミックスであるということは複雑を極めるということを意味する。相手はどのようにサイドボードしてくるか、そもそもメインデッキの速度はどれぐらいなのか?正確に読み取らなければならず、すべてのマッチで非常に難解なマッチが待ち受けることになる。

過去の赤単対コンボの時代はこれほど複雑さを極めることもなく、ただどちらが先に相手を倒すかのレースだった。

カウンターデッキ対カウンターデッキの対決は、どちらがカードを多く引くかのレースだった。

今のミッドレンジ対ミッドレンジのマッチは《アブザンの魔除け》を回避する《嵐の息吹のドラゴン》のために《英雄の破滅》を用意し、それらを3枚使わせようと《軍族童の突発》を撃ってくる相手に《胆汁病》を撃つ戦いなのだ。

「これが必勝の戦術!!」と言いながらお気に入りの75枚を持って試合に行ける日が何日あるだろうか。相手の表情を伺いながらルーチン化しない60枚にあなたはちゃんとサイドチェンジできるだろうか。

たしかに必勝の戦術に身を委ねたくなった英雄たちの気持ちが今わかる気がする。毎回相手に合わせた用兵を取るのは複雑で気が遠くなりそうだ。

ナポレオンだって晩年は作戦の失敗で大敗を喫した。何もかも用意したつもりでも、用兵を失敗して役に立たないカードの束を作ってしまえば大敗することになるだろう。

突破力のないミッドレンジ戦は下手すると全敗するカモにされてしまうかもしれない。それでも相手に合わせて最適な戦術を取れる自信があるならば、ぜひともミッドレンジを使ってみよう。すべての状況に対応し、すべてを想定したものだけが、ミッドレンジ戦の勝利を収めることができるのだ。


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