レガシーでのGPT京都を3回開催しましたが、
このGPT京都では「トスしてください」すなわち試合をせずに投了してほしい
依頼されるプレイヤーがいつもより多く感じています。

たとえば某プレイヤーさんは「(同じイベントで)3人からトスしてくれと言われた」
ということもあったそうです。
つまり6回戦+プレイオフのうち3マッチもトスしてくれと言われたということです。
そんなトーナメントはさすがにどうかと思いますが、
これは色々な背景があるのではないかと考えてみました。

今回はGPT京都でトス申し出が多発した背景についてまとめたいと思います。

まず、大前提のこととしてルールを確認しておきます。

↓公式サイト
競技用ルール

ルール上の解釈
・応じても、応じなくても特にルール違反ではありません。
・しつこく誘うと度合に応じた反則が適用されるのでジャッジを呼びましょう。
・もし「金品や賞品の分配」「お礼にパックにあげる」などを伴った場合はジャッジを呼ばないと双方失格になります。すぐにジャッジを呼べば、持ちかけたプレイヤーのみが失格になります。
・決勝戦においてのみ、賞品の分配を伴ったどちらかのドロップ(イベント退出)が認められていますが、このルールは少し詳細なルールになるので、ヘッドジャッジに確認しましょう。

なぜこの申し出が多いのか
(1)レガシープレイヤーはPWPを持っていないのでBYEがないことが多い
(2)競技プレイヤーはBYEを持っている
(3)両者が当たるとレガシープレイヤーは優勝してBYEが欲しいのでトスしてくれと申し出てくることがある

そのほかの背景
(4)GPTの魅力は、3倍のPWPと優勝者のBYEである
(5)レガシープレイヤーはBYEのみがほしく、PWPがいらない
(6)競技プレイヤーはPWPを集めて次シーズンのBYEを狙っている、優勝しなくてもPWPを貯めたい
(7)PWPはBYEを得る以外の利点がないに等しい
(8)GP京都は初のレガシーGPであり、想定されてない問題が多発している。これもその一つである。

私個人の考えを書けば、こういうのは友達同士程度か決勝戦のみで行ってほしいですし、
「(6)競技プレイヤーはPWPを集めて次シーズンのBYEを狙っている、優勝しなくてもPWPを貯めたい」
は強く言いたいと思います。

しかし、レガシープレイヤーの事情もわからなくはないです。

これらは背景を知ることが大事だと思います。
少し掘り下げたいと思います。
(1)レガシープレイヤーはPWPを持っていないのでBYEがないことが多い
レガシープレイヤー、すなわちレガシーだけをプレイするプレイヤーが今回は数多く参加されています。
今までレガシーの競技トーナメントが行われていなかったため、
彼らはPWP3倍であるGPT、5倍であるPTQ、8倍であるGPに参加しませんでした。
そのため、PWPは貯まるはずもありません

しかし、GP京都はレガシープレイヤーにとっては待望のビッグトーナメントです。
ぜひともここで実力を試したい人は多いはずです。

なのに、彼らはハンデを負っています。
競技プレイヤー、すなわちスタンダードとモダン、リミテッドをプレイし、
レガシーを触ったこともないようなプレイヤーがなぜか不戦勝を持っているのです。

それは「レガシー」という特殊フォーマットをプレイしているから仕方ないのかもしれません。
というか、レガシーだけをやってるからそうなってしまうのかもしれません。
しかし、スタンダードだけやってるプレイヤーは普通にGPもあり、PTQもあり、GPTもありました。
スタンダードプレイヤーはPWPが貯まるようにできていたのに、
レガシープレイヤーはPWPが貯まる下地がありませんでした。


これはウィザーズがレガシーをどのように位置づけているかを考えれば答えは出ます。
それはすなわち「スタンダード」がその名のとおりスタンダードな遊び方なので
その遊び方を元としてトーナメントの仕組みを考えているのです。
しかし、レガシーは想定外に人気で「レガシープレイヤー」が誕生しています。
ここでひずみが出ているのです。


(2)競技プレイヤーはBYEを持っている
一方で競技プレイヤーはBYEを持っています。
競技プレイヤーとはすなわち、普段から色々な大会に参加するプレイヤーです。
FNMも出ますし、GPTも出ますし、PTQもGPも出ます。
GPTは各ショップで毎月1回行われ、PTQも電車を使えば月に何度も出ることができます。
GPも年に2、3回出ます。

このようなプレイヤーにとって2BYEの年間2250点というラインは
「継続して試合に出れば達成できる」ラインであり、
昨年継続して試合に出たプレイヤーは2BYEを持っています。


(3)両者が当たるとレガシープレイヤーは優勝してBYEが欲しいのでトスしてくれと申し出てくることがある
さて、レガシープレイヤーと競技プレイヤーがGPTで当たるとどうなるか。
「2BYE持ってるんだったら投了してください、僕持ってないんです。
 今回はまたとないチャンスなんです、お願いします!」
となるわけです。

(4)GPTの魅力は、3倍のPWPと優勝者のBYEである
では、GPTの魅力を改めて振り返ります。
GPTはトーナメントとして普段よりレベルが高いということももちろんありますが、特典的なことは2つです。

・優勝者はGPのBYEがもらえる
・PWP3倍がもらえる


この2つが魅力となります。
この2つは今まではほとんどの場合繋がっていました。

「運よく優勝できたらいいけど、優勝できなくても3倍のPWPが貯まるからいいや」

という仕組みだったわけです。
しかし、今回のGPT京都ではそれが崩壊しているのです。


(5)レガシープレイヤーはBYEのみがほしく、PWPがいらない
レガシープレイヤーはPWPがいらないのです。
それはなぜかと言うと

「PWPは貯まらない」
「PWPを貯めてもレガシー以外のグランプリに出ない」

この2点に尽きます。
レガシー以外の大会に出ないからBYEのライン(1300点)まで貯まらないですし、
仮に貯まったとしてもレガシー以外のGPに出ないのでBYEがあっても意味がないのです。
だから彼らはPWPがいらないのです。


(6)競技プレイヤーはPWPを集めて次シーズンのBYEを狙っている、優勝しなくてもPWPを貯めたい
しかし、頼まれた方である競技プレイヤーはPWPを貯めたいのです。
GPTは3倍のPWPをもらえるトーナメントであり、それが魅力の一つでもあります。
「トスしてくれ」と平気で言われても、この勝利には9点(3倍なので3勝分)のPWPがかかり、
そしてプレイオフに残ればさらに点数を得るチャンスがあります。
もちろん上位の賞品も欲しいです。
だから「何が何でもBYEがほしい。BYEだけが欲しい」プレイヤーとは状況がまるで違います。


(7)PWPはBYEを得る以外の利点がないに等しい
さて、この問題についてはPWPという制度上の問題も触れておいた方がよいでしょう。
PWPはBYEを得る以外の利点がない。
これがやはり大きな問題となっているのではないかと思います。

利点がないので、「優勝以外は意味がない」というプレイヤーも出てきます。
俗に言う「3没」とか「2没」とかどこで負けたかを強調する言葉が流行するのも
意識が高くて結構ですが、あまり聴いていて嬉しいものではありません。
BYE以外にも何か利点が欲しいところです。


(8)GP京都は初のレガシーGPであり、想定されてない問題が多発している。これもその一つである
そして最後に、このことがあります。
日本でレガシートーナメントが行われるのは初ですし、
想定されていない問題もたくさんあるのではないかと思います。

DCIはそんなにすべてを想定した組織でもなく、
割とトライアンドエラーすなわち「やってみてうまくいかなかったら変えるよ!」という
風潮があります。

今回の日本レガシーGP自体がそのトライでもあるということですので
何か問題があっても、「やらないよりはやろう!」という前向きな気持ちで開催してると思います。


最後に
僕としては大会は試合をするものだと思いますが、
目的は人それぞれで、欲しいものも人それぞれです。
ルールがすべてを決めていて、
それが意味を成していないからこういうことになっているとも思います。

BYEだけがほしいレガシープレイヤーの方もいれば
そうでなくレガシーの大会が単純に増えて嬉しいレガシープレイヤーも多いと思います。
そして、レガシー初挑戦のプレイヤーも今回楽しんでる方も多いと思います。

皆様の事情があり、今回僕もなぜこうなっているのかを考えてみました。
ほかにもたくさんの事情があるとは思いますが、皆様にご協力いただき
充実した大会を運営していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。


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