クリア記念にゆめにっき派生「.flow」(ドットフロウ)感想と考察を書かせていただきます。クリアして「うおおすげえゲームだ!」というテンションで書きこんでいるので、若干乱文になっているのは申しわけないです。

重大なネタバレを含むため、必ずプレイ済の方のみ閲覧してください。



●感想
なぜ他の作品と比べて別格扱いされるのか、なぜ専用の攻略wikiが存在するほどやりこまれるのかプレイして改めて実感しました。

ゆめにっきにはあまりなかったストーリーをにおわせる演出を、世界観を壊さないよう細心の注意を払いながら盛りこんでいます。

鉄パイプを持った短髪の少女が異形だらけの錆びと血にまみれた世界を歩き回り、自分の過去や罪を象徴するモノと向き合っていくさま、そして重苦しいピアノの音やノイズの混じったBGMは、サイレントヒルを強く意識していると感じました。

全体を通して演出が素晴らしく、さびつきが犯した罪と自責の念、さびつきがまきこまれた不幸な過去、彼女を取りまく人々、そして救いのない末路を想起させるイベントに出会うたび、プレイヤーは精神をガリガリとけずられます。

終盤の展開も見事と言う他ありません。初めはゆめにっきを思わせるシンプルすぎるエンディングを見せ、身構えていたプレイヤーに肩透かしを食らわせます。一度拍子抜けさせておいて、「いや、これで終わりではないはず」と続けようとしたプレイヤーを驚かせるあのイベント。さらに凶悪になった新たな鳥人間的キャラクターが歩き回る世界を、何のエフェクトもない状態で歩かされます。

これだけでも心細いのに、さびつきの名前も「錆」に代わり、現実世界まで異変が起こります。ゆめにっき派生の主人公は大抵不幸ですが、ここまで執拗にいじめ抜かれる子はなかなかいないのではないでしょうか。

さすがにかわいそう、どうしてさびつきはこんな目に遭わなければならないのだろう、せめて真のエンディングに何か救いがあれば……と思わせておいてあの真エンディング。作中でさびつきが唯一笑顔を見せるシーンです(作者様自身はツイッターでさびつきを「最もお気に入りの自作キャラ」「娘みたいなもの」と語っています。お気に入りのキャラをここまでいじめ抜けるのはさすがだと思います)。

後味が悪く何の救いもないラストシーンですが、どこか救われたような開放感を感じました。

ゆめにっき派生好きだけでなく、単なるホラーゲーム好きにもプレイしていただきたい傑作です。


●考察
さびつき、カイブツたち、イレズミ兄は同じ学校の学生(さびつき、カイブツが同じ制服を着ているため。また、イレズミ兄が学生たちの輪に入っている描写から)。表の学校にはいじめを思わせる描写がないことから、さびつきは学校では特に問題を抱えていなかったと思われる。イレズミ兄は人気者の好青年であり、さびつきもあこがれていた(イレズミ兄がイレズミ妹を守ろうとする描写や、学生たちの輪の中心にイレズミ兄がいることから。また、屋上にいるイレズミ兄に話しかけるとイレズミが手に入り、さびつき自身もイレズミ兄と同じイレズミを入れられることから、イレズミ兄は好青年であると思われる)。

しかし、何らかの理由でさびつきやカイブツ(他の学生)たちは病院に収容される(病院のマップにいる患者はカイブツと髪型が同じ。また、小柄なさびつきが病室のベッドにいる描写から)。その病院は人体実験を行っており、多くの学生を実験に使った(医者の顔がモザイク状になっており、他の人型キャラクターと異なることや、医者に鉄パイプを向けるとイスから降りて後ずさるという珍しい逃げ方をすることから、人型キャラの中でも特に重要なポジションと思われる。この作品で鉄パイプを見て逃げ出すキャラクターは他にはほぼいない。これは、さびつきに復讐される覚えがあるため。また、病院のすぐ近くにあるマップはモルグで、近くでは拳銃も手に入るなど、病院自体があやしい場所にある。また、同室の看護婦も鉄パイプを見ると逃げだす)。人体実験実験の内容は分からないが、植物だらけのマップに患者がたくさんいたり、さびつきが「しょくぶつ」を使うと身体中から植物が生えたりすることから、植物を何らかの形で患者に使用したと思われる。

その結果多くの被験者(学生たち)が死んだ(病院のエレベーターが落下し、階数表示の部分に血か錆びで「parade」という文字が浮かびあがり、外に出ると大勢の患者が死んでいるシーンより。端役だが、病院にいた義足子も、死体が別のマップにあることから、この時死亡している?)。さびつきも瀕死になるが、青子から臓器提供、あるいは青子の身体を使う方法で蘇生される。そのせいで青子は死亡する(青子が肉塊になる描写が複数箇所で見られ、最初のエンディング後にも、青子が肉塊になり、肉塊からさびつきが出てくる描写があることから。また、青子のマップが子宮のような形をしていたり、青子の肉塊からさびつきが出てくる描写を見る限り、さびつきは青子から生まれるような状態で復活したのかもしれない)。青子がさびつきの母ということも考えられるが、さびつきと青子の親密性を感じる描写がない(オレ子にはあるにも関わらず)ので、さびつきと青子は特に親交はなく、ただ、自分のせいで青子が死んだという罪悪感から青子が度々作中に登場するのではないかと考える。

だが青子は学生たちから愛されている存在だった(青子の死体を学生たちが囲んでいるマップから)。また、人体実験により人ではない姿になってしまった学生も多く(発狂したカイブツたち)、さびつきは多くの学生たちのうらみを買ってしまう。裏学校マップで、カイブツに追いかけられ、突きあたりのイレズミ兄に殴り殺されるシーンから見る限り、この時イレズミ兄からも殺意に近いうらみを買ってしまっている。

孤立したさびつきの唯一の味方がオレ子だった(カイブツたちのいる地獄の迷路のマップから移動した先で、血だらけのさびつきとオレ子が手をつないでいるシーンがある。また、オレ子にのみ好感度が設定されており、話しかけたり殴ったりすると好感度が上下することから、さびつきにとって大切な存在であると思われる)。病院収容後のさびつきと友人になれる人物であり、特にカイブツ染みたところはなく、奇妙な機械を作り(海のマップ)、その奇妙な機械が地獄の迷路のマップへの入り口にもなっている(マイナスイメージの強いマップへ直通している)ことから、オレ子は病院サイドの人間と思われる(オレ子が培養機に入っている描写もあることから、オレ子も元は被験者?)。ゲームの描写を見る限りさびつきに対しては好意的だったが、病院への怒りからオレ子を殺してしまう(燃え盛る地獄のマップに入った時、オレ子を殺していると脱出不可能になることから。また、最初のエンディングのあと、地獄の迷路からオレ子が消えることから)。

さびつきは捕らえられ、病院側の人間であるガスマスクメイドに四肢を切断される(カフェの絵から行けるマップで、ガスマスクメイドの隣にチェーンソーがあり、だるまが手に入る。また、真のエンディングでガスマスクメイドがチェーンソーを構えてさびつきにせまる描写から)。その際、さびつきは抵抗するどころか自ら刃にあたりに行き、切られる(真のエンディングで、チェーンソーを持ったガスマスクメイドに向かってさびつきが笑いながら近づき、ガスマスクメイドが後ずさるにも関わらずさびつきの手足が切断される描写から。また、自室のエレベーターから行けるマップでぐちゃぐちゃになった自分自身を鉄パイプで何度も殴る描写から、自殺願望も感じられる。そして、燃え盛る地獄でオレ子を殺していると戻れないことから自責の念があったと思われる。また、最初のエンディング後、さびつきの名前が錆に代わり、さびつきが裏学校でカイブツと同じ姿になったり、現実世界で吐血することから、このまま生き続けても自分自身がまもなく周りの学生と同じようなカイブツになってしまうことに気づいていた)。ガスマスクメイド自体に四肢を切断するつもりはなかった(カフェで飲み物やケーキをふるまうなど、商売とはいえ好意的な描写。また、チェーンソーで威嚇しているのに近づいてくるさびつきにひるんでいた)。四肢を切断されたさびつきはガスマスクメイドによって牢獄に運ばれ(真のエンディングの描写から)、間もなく息を引き取った(牢獄のマップの死体からエフェクトの「したい」を入手でき、使用するとさびつき自身が死体になることから。また、エンディングで登場人物全員に見送られながら退場し、最後にガスマスクメイドに頭を下げられる描写から)。


●残された謎
①イレズミ兄は、なぜ鉄パイプで殴った時笑顔になるのか。また、学校のポスター、ラストシーンのさびつきなど、不気味な笑顔のモチーフが多いのはなぜか。

②オレ子が作っていた機械は何?

③医者は何をしたかった?

④青子の正体。青子のいるマップは子宮を彷彿とさせる形をしており、青子の肉塊からさびつきが生まれるシーンもある。青子がさびつきの母親である可能性はないか? また、青子はなぜ鬼子となるのか?

⑤鬼子とは何なのか? 元々カイブツがいたところに鬼子が出る点、エンディングを見たあと再度学校に行くとあちらこちらにいることから、カイブツの最終形態?


既出の内容が多いですが、以上が感想と考察です。何とも謎が多いゲームですが、絶対的な正解はないゲームなのではと思います。