イマイ(バンダイ・アオシマ)サンダーバードのプラモデル
ということで今回はジェットブルドーザーのお話です。
今回のブログを書くために写真を撮っていて、初めて商品名がサンダーバードブルドーザーだということに気づきました。
53年間サンダーバードジェットブルドーザーだと思ってた(;'∀')
実は本編中に一般的に知られる救助メカの名前が語れることはほとんどないのです。
ジェットモグラはモグラーと呼ばれるし磁力牽引車は牽引車1号無線操縦2号と言われます。
その中で唯一ジェットブルドーザーだけはその名前が語られるのです。
バージル:「凄い!焼け付くような熱さだよ!」
スコット :「ジェットブルドーザー持つかな」
バージル:「まあともかくやってみるさ。行くぞ!」
わずか3つの台詞で状況の厳しさとあえて気楽な言い回しに続く気合がバージルの決意を表す名シーンだと思っています。
そしてこの後の燃え盛る瓦礫の中を突き進むジェットブルドーザーとジェットモグラのパワフルさは圧倒的な迫力を見せ、サンダーバード全話の中でも屈指の名シーンとなります。
そりゃこんなん見せられたらジェットブルドーザーの名前を脳裏に刻み込まれても当然ですね。

今井科学 サンダーバードミニブルドーザー
昭和43年8月発売です。
ミニシリーズは昭和43年春に2号、モグラ、4号が発売されました。
低価格なので子供のお小遣いで買えることから好評だったのでしょう。
8月にゼロエックス号、磁力牽引車と共にジェットブルドーザーがラインナップに加えられました。


箱側面です。
ミニXカーは9月発売だそうです。


箱の中の状態と梱包物。
ミニブルドーザーのどこにも宇宙科学シリーズの表記はありません。
さて、69年に会社更生法を申請した今井科学は71年からプラモデルの生産を再開します。
ミニブルドーザーも71年に再販されました。

71年版サンダーバードブルドーザーです。
この時からミニ表記がなくなりました。
これはバンダイにスタンダードサイズの2号4号モグラの金型が売却されミニシリーズを標準サイズとしたためだと思います。


再販の箱側面。
他の製品紹介がなくなり側面上下とも同じデザインになっています。

再販の梱包内容。
デカールがなくなっています。
懸賞葉書からこの製品が71年後半の物だとわかります。


上の2枚の写真の左右が入れ替わってますが(;'∀')
成形色は本体は初版の方が黄色が強く再販は少し橙色っぽいです。
パーツ部は初版の方が少し茶色が濃い感じです。
この二つを比較して気がいたのはミニゼンマイが両方ともプラギアだということです。

以前ミニ磁力牽引車をとりあげた時に、旧イマイ時代にプラギアのミニゼンマイがあるなら生産時期は相当短かったはずだと書きました。
今井科学 ミニ磁力牽引車 初版と再版の比較
気になったので証紙を確認したところ、磁力牽引車はITP証紙ですがミニブルドーザーは東北新社証紙でした。
また手持ちのミニ強力装甲車はITP証紙で金属ギア、ミニパトロール車が東北新社証紙でプラギアでした。
キャプテンスカーレットシリーズが放送終了の年明けまで生産していたとは思えないので、8月発売の時期はまだ金属ギアだけど年末年始頃には東北新社証紙でプラギアに替わっていたのではと思います。
すぐに出てこなかったのですが年末発売のスカイシップ1の証紙を確認しなきゃですね。
ところでイマイは1968年よりサンダーバードシリーズについては低価格商品へとシフトします。
その中心になったのがミニシリーズと2号のコンテナでした。
ジェットブルドーザーはこの商品化により、同時発売された磁力牽引車と共に以降救助メカ御三家として扱われるようになります。
しかしモグラのような電動模型ではジェットブルドーザーも磁力牽引車も発売されませんでした。
Xカーなんかをわざわざ電動模型で発売するくらいならどちらかを商品化すればいいのに、とは誰もが思ったことでしょう。
2006年に出版されたサンダーバードプラモデル大全によればイマイはモグラに続き電動ジェットブルドーザーの開発をしていたそうです。
なぜか発売には至らずその図面等は後にメーカーオリジナルSF戦車ジグラートとして商品化されました。
確かにジグラートの車体前部はミニブルドーザーそっくりですね。

双葉社
サンダーバードプラモデル大全
p137より
なぜ電動ジェットブルドーザーが発売されなかったのかはわかりません。
ただ多くの方が感じているであろう、イマイのジェットブルドーザーって形が変じゃね?というのは電動ジェットブルドーザーの図面でも共通です。
思ったのですが電動ジェットブルドーザーの図面が流用されたのはジグラートだけでなく、ミニブルドーザー製品化の際にもこの図面がほぼそのまま使われたのではないでしょうか。
僕にはそれくらいそっくりに見えます。
例えば初期に開発された5号などは資料がテレビしかない中、当時としては驚くほどディティールまで再現されています。
同じ救助メカであるジェットモグラも当時としてはプロポーションもディティールも緻密に再現されています。
いくらビデオなどもなかったとはいえ、磁力牽引車はそこまでプロポーションは悪くないし小松崎さんのボックスアートも車輪の数はおかしいとはいえ車体の形はきちんと描かれていることを見てもなんでこんな形になったのかわからないですねー。
イマイのサンダーバードシリーズを近年出来が悪いと非難する人の格好のターゲットになっている大きな要因がジェットブルドーザーなので悲しいです。
磁力牽引車を新規開発したアオシマさんにジェットブルドーザーもお願いしたかったところですが、すでにこのシリーズの新規開発は中断となっているので期待はできないです。
いつかジグラートのジャンクを入手して、イマイ電動ジェットブルドーザーっぽいものを再現してみたいです。