たとえば海底大戦争スティングレイは少年マガジン、
サンダーバードは学年誌や幼年誌、月刊誌、TBSコミックス
キャプテンスカーレットも学年誌、幼年誌、少年サンデーや小学館コミックス、少年ブック
ジョー90は月刊ぼくら、たのしい幼稚園で
漫画連載されました。
しかし続くロンドン指令Xはテレビ放送もすぐに終わり
日本ではほとんど話題にもなりませんでした。

謎の円盤UFOはドラマ自体が大人向けであり
四季出版新社から発売されていたテレビジョンエイジでの特集が
雑誌展開の中心となっていました。
かつてのサンダーバードなどの中心世代は
講談社のぼくらマガジンの写真劇画がその対象となっており
それまでのメインフィールドであった少年漫画誌での
漫画連載はありませんでした。

しかし少年漫画誌よりもさらに低年齢向け雑誌である
講談社のたのしい幼稚園において
ジョー90に続いて漫画連載されたのです。

学年誌をもつ小学館の幼稚園めばえなどでスカーレットが連載された時には
ストーリーそのものをいかにも幼児向けに作っており
テレビのストーリーとはほぼ関係ないお話が展開されました。

しかし幼年誌である、たのしい幼稚園(たの幼)は
どんなコミカライズや過去の名作漫画を掲載する際にも
ストーリーなどでも手をぬいていません。
それは小さな子供であっても
テレビの追体験としてコミカライズを受け止めているのだから
内容も準じなければならないとする姿勢か来るものでした。

とはいえ謎の円盤UFOです。
とてもじゃないけどあれを子供向けにリライトするなんて
無茶としか言いようがありません。

しかし、大人向けの難しいストーリーを
わずか4ページで、
しかも未就学児童向けに
見事にコミカライズした漫画家がいました。

いうまでもなく
コミカライズの帝王、一峰大二さんです。

漫画の感想は後で書くとして
まずは「なぞのえんばんUFO」第1話です。
なぞのえんばんUFO1-1なぞのえんばんUFO1-2なぞのえんばんUFO1-3なぞのえんばんUFO1-4









テレビ第1話「宇宙人捕虜第1号」をコミカライズしてます。
初めて読んだとき、本当に衝撃を受けました。
たの幼を読むのは小学校にも行っていない幼児です。
その幼児向けに、テレビ第1話を実にわかりやすく構成しています。
臓器入手という目的を心臓を奪うために人を殺すという
わかりやすい解釈に変えており
また番組の売りであるメカニックも派手に描かれています。

一峰さんは、スペクトルマンに代表されるコミカライズでは
独特の表現方法を使っており
それが人気でもあります。

しかしわずか4ページという制約の中で
一切の独自表現を排除し
幼児にわかりやすく、ストーリーも理解できるように描くという難題を
(上手な似顔絵とともに)やり遂げています。

僕は以前は一峰さんはヘタウマだと思っていたのと
独特なストーリー展開や表現があまりいいとは思えず
それほど上手な漫画家ではないと思っていました。

しかし、なぞのえんばんUFOを読んで
それらの表現は読者が楽しめるように工夫された
エンターテイメントであったと(あたりまえですが)
いまさらながら気づいたのでした。

なぞのえんばんUFOはそれら独特の表現をすべて排除し
無駄をなくし、ただストーリーを読ませるということに徹し
そのうえできちんと漫画として成立させているという点において
一峰さんの漫画家としての技量に心から感嘆させられたのでした。

つづいて第2話です。
なぞのえんばんUFO2-1なぞのえんばんUFO2-2なぞのえんばんUFO2-3なぞのえんばんUFO2-4








テレビ第5話「惑星Xクローズアップ作戦」がもとになっています。
ラスト、衛星から送られたデータに距離が記録されておらず
役に立たなかったというのが子供にわかりずらいと思ったのでしょう
宇宙人によって衛星が破壊されています。

第3話
なぞのえんばんUFO3-1なぞのえんばんUFO3-2なぞのえんばんUFO3-3なぞのえんばんUFO3-4








テレビ第7話「スカイダイバー危機一髪」が元になっています。
テレビではUFOの撃破に成功するもののスカイダイバーが損傷を受け
その脱出がメインのお話です。
フリーマン大佐の機転でストレイカー司令官とニナ少尉が救出されるのですが
残念ながら漫画ではニナ少尉が省略されています。

第4話
なぞのえんばんUFO4-1なぞのえんばんUFO4-2なぞのえんばんUFO4-3なぞのえんばんUFO4-4








テレビ第11話「超能力!!UFO探知人間」がもとになっています。
ESPを持つマックスレイが宇宙人に操られて
ストレイカーとフリーマンを殺そうとするのですが
フォスターが後ろから近づいている事を知りながら
わざと殺されることを選ぶお話です。
全5話中、漫画にするのがたぶん一番難しかったストーリーだと思います。

第5話
なぞのえんばんUFO5-1なぞのえんばんUFO5-2

なぞのえんばんUFO5-3

なぞのえんばんUFO5-4








テレビ第9話「湖底にひそむUFO」をもとにしています。
最終回にして1ページ目がフルカラー!
結構人気があったのでしょうか。
探査宇宙船の陰に隠れて侵入するUFOや
フォスターの迎撃戦などをきちんと押さえています。
第4話までは放送順に漫画化されていましたが
第5話は遡っています。
たぶん派手なメカ戦を最後に持ってきたかったのではないでしょうか。

たのしい幼稚園 なぞのえんばんUFOグラビア





第1回の漫画の手前に掲載された
番組紹介ページです。
描いておられるのは遠藤昭吾さん。
少年マガジンで海底大戦争スティングレイの
絵物語を描いておられた方です。
宇宙人の顔が・・・


なんども繰り返して恐縮ですが
選別された5話すべてで一峰さんは
ストーリーの要素を取り出し
かつきちんとお話がわかるように再構成し
みごとな画力で描き切っています。

万人受けする漫画ではありませんが
対象読者層を考え、極端なページ制限があるなか
見事に謎の円盤UFOの世界を描き切った本作は
コミカライズの傑作だと思っています。

ちなみに70年代後半くらいから
特に小学館を中心に
単色の漫画原稿を印刷の過程で
一部赤をいれた二色ページにして雑誌に掲載することが増えましたが
この時期のたの幼に載った漫画はすべて
最初から黒、赤、青の三色で描かれていました。
表現するのが大変だったろうなあ、と思います。

コミックに収録されることはおそらくないと思うので
あえて全ページ掲載をしました。
ぜひ読んでみてください。