皆さんは、新しい本の情報をどこで入手していますか?

 足繁く書店に通われている方は、店内のポスターやのぼりでお気に入り作家さんが新刊をだすことを知るかもしれません。また、書店のレジ横や棚に配置されている出版社や取次等が出している広報誌を通じて興味ある本を知る人もいるでしょう。新聞をご覧になる方は、紙面の下にある広告欄で仕事に直結する本を発見するかもしれません。ただ、これらの方法で知ることができる人は、そもそもそういう本に興味があったからなのかもしれません。

 普段の生活に本との接点が少ない人にとって、今どんな本が出ているかなんてあまり興味がないことのような気がします。ただ、そういう人でも、視聴しているテレビやラジオ、好きな雑誌のコーナーで紹介されていたら、書店やアマゾンを覗いてみよう、という気になるんですよね。きっかけって重要ですよね。

今日ご紹介する本は、そんな本との出会いのきっかけを人知れず、仕込んでいらっしゃる、奥村知花さんが書かれた『進む、書籍PR! たくさんの人に読んでほしい本があります 』です。

 
みんなにとっての一本道をみつけたい!

最終的な目標は、この本の存在をもっと広げて、いろんな人にこの本との出合いを増やして売っていきたいと、みんな一致しているわけだから、みんなで盛り上がって一致団結するのが良いに決まっているのです。そんなとき、チームの一員ではあるけども、会社の同僚ではない異邦人としての外注パブリシストは、そのチームのつなげ屋として機能するのです。

(本書pg 66&67より)

■内容


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(週末のとある大型書店のレジ周りの光景)

 新刊書籍について、書店や出版社界隈で話題のものだったとしても、世間一般では全く知られていないケースが多々あります。そして、多くの知らない人たちが書店へ足を運ぶことがなければ、いくらその新刊が名作だったとしても売り上げは伸びず、重版することもなく、いつの間にか棚から消え去ってしまいます。その本が、いつまでも書店の棚に残るためには広く世間に認知してもらうことが必要なんです。

 そして、世間に広くアピールすることができる最良のツールがメディアです。ここでいうメディアというのはテレビ、ラジオ、雑誌、新聞等のいわゆるマスメディアのことを指します。

 彼ら、マスメディアはその作品をどのような切り口でお茶の間に訴えれば響くかを知っています。彼らに、もしその本の良さを伝えることができ、彼らが自らその本の良さを広めてくれたら、少なくない反応があるはずです。

 ただ、マスメディアに属する人たちが、商材となりうる本を、年がら年中追える立場にはありません。本を読む時間は限られているでしょうし、同時並行に沢山のプロジェクトを抱えて、多忙にしているでしょう。仮に本に対してアンテナを張っていたとしても、番組や紙面のコーナーに取りあげられるような、ストーリーや素材は思いつかないかもしれません。

 そんな時、番組や紙面に取りあげられるよう、そしてその雰囲気にあうよう、マスメディアに対して、企画として売り込むのが奥村さんら、『パブリシスト』という職業なんです。
 
 この本には、『パブリシスト』という職業がどんなもので、どんな素養や素質が大事になってくるかについて書かれています。また、奥村さんが
どういう経緯でこの仕事を始め、どんな本のPRに携わったのか、それらの成功や失敗、果ては契約期間や金額等のディテールまで、びっしり詰まっているんです。

 この本は、本のマスメディア向けPRに関するものですので、その業界に興味を持っている方たちにはもちろんお勧めの一冊ですが、プロジェクトを進める際の出来事は非常に普遍的で、本質的なものだと思います。そのため、プロジェクトに携わる多くの人たちにもお勧めできる一冊だと思います。  

■感想


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 王様のブランチや書評番組を漠然と見ていた側としては目から鱗な、本でした。こんなニッチで興味深い職業があるんだなと。

 番組内で紹介される書籍がどのようにピックアップされたのか。番組スタッフが番組編成の企画会議で協議やコンペしあった結果でしょう。では、スタッフはどうやって会議にかける本をセレクトをしたんでしょう。彼らが独自で見つけるものもあれば、提案をうけることもあるでしょう。今回はその後者、この提案をする職業とする方のお話なんです。
  
 面白かったのは奥村さんがこの仕事に就いたのは偶然だったということ。奥村さんは過去にレストラン運営会社に在籍してそこで広報のお仕事をされていたそうです。その際に行っていたレストランPRやその時代に仕掛けた小冊子の企画を知れば、凄い素地があったんだろうなと思いますし、周りの人たちもそう見込まれたからこそ、奥村さんにやってみないかと、声をかけたんでしょう。ただ、その声がけや以前の仕事をやめるに至ったのは偶然が重なって、でもそれが重なるのは運命だったのかもしれませんね。

 そして、ご自身のやる気と周りのサポートで仕事を着実にこなし、実績を積み上げ、今では博報堂をパートナーに仕事をしているほど。そんな歴戦の奥村さんがこの本で明かしている、仕事で重視していることは、いずれの仕事にも役に立つことばかり。

 日程の調整、許認可の取得、その他ロジや工程表、クライアント等との情報共有まで、些細なことが数多く出てきましたが、関係者が多くなればなるほど、面倒だけど、誰かがやらないといけない仕事。それに気づき、差配もしくはできる人は案外少ない気がします。

そういうふうなのを、他業種と思いつつ気軽に読むことができ、でも自分の仕事でもおろそかにしちゃいけないと再度確認ができる、面白い本でした~。

 ちなみに、この本の中でいくつかの担当された本が紹介されていますが、私たちは知らず知らずのうちに、奥村さんが提案した作品を『王様のブランチ』だったり、『あさイチ』等で見ているんだなぁと、改めて思いました。なんかそう思うと週末の本紹介番組等も、また違う角度から楽しめますね♪


■雑な閑話休題



さて、この本を読んだら出版社の組織体制について気になりました。でとりあえず"出版社 組織"で検索して出てきたのが小学館リクルートページ。
無題
(小学館2017採用ページ、
http://jinji.shogakukan.co.jp/2017_teiki/department/

 このページでは営業の役割として宣伝・広告・制作・販売があり、そのうちの一つである宣伝からの矢印として、書店、読者、そしてテレビ局・配給会社に向かっています。組織表等はこのサイトにはなかったのですが、小学館では営業部がパブリシストとしての役割を兼ねるんでしょうか。それとも部内に専門人員がいるんでしょうか。いずれにせよ、矢印はあるのでマスメディア向けPRは一つの軸として行っているに違いありませんね。

ちなみに、個人的には上の図で青とオレンジの縁のところには名称があるのに、緑のところ(ミドルオフィス的な役割を持っている部隊)に名称がついていないのが、、、気になりました・・・(笑)(細かくてすみませんねぇーーー)。

 ただ、すべての出版社がこういう営業にリソースをさけるかというと難しいですよね。通常のルート営業に新規開拓等をするだけで手一杯になりそう。そこに着目するのはやっぱり非常に面白い。しかも最初はノウハウの蓄積がないだけに外部委託もするでしょうし、書かれているコストであれば、外部委託のほうが理にかなっていそうですしね。。。(もちろん、ノウハウの蓄積に応じてフィーは高くなっていくんでしょうけど・・・)。

こういうニッチな職種をみると出版業界のみならず、いろんなニーズって存在するんだろうなと思えます。そこに活路を見出していくのもおもしろいのかもしれませんね~。


■著者に関する参考情報
・奥村知花さん facebook:https://www.facebook.com/chicachicao
・twitter account:@chicachicao

普段の活動はtwitterで知ることができます。中目黒にあるカウブックスの店主さんとの対談記事は読みごたえがありました~(リンク)。

■今回の本をだした出版社
PHP研究所:https://www.php.co.jp/



最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

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