花子の色々レビュー

小説メインに読んだものの備忘録と感想。 読んだら内容をあっというまに忘れてしまうことに気づいたので、ブログに残すことにしました。 32歳にして痴呆症が心配。 ジャニオタでもある。 コメントなんでも受付けます*

シャイロックの子供たち 池井戸潤

シャイロックの子供たち
池井戸 潤
文藝春秋
2013-08-02


内容(「BOOK」データベースより)

ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。


matanityweather:(ミステリーですが、細かい殺人描写などは無し)

読むのは2度目です。
最初に読んだ時も思いましたが、やっぱり…最高に面白い小説です!!!
「半沢直樹」で有名になった池井戸潤さんですが、半沢直樹シリーズは未読で、「下町ロケット」と「ようこそ我が家へ」と、「七つの会議」この「シャイロックの子供たち」などチョコチョコ読んでます。

初めて読んだ「下町ロケット」では、銀行モノでこんなに熱くて面白い作品があるんだ…っていう感想でした。感動した。ドラマ等は見てませんでした。
そしてこの「シャイロックの子供たち」では、こんな面白い銀行ミステリーがあるとは!!ってまた感動。
銀行内で起こる出来事ですが、全く業界のことを知らない私でも臨場感にワクワクしながら読めました。
そして読んだ後は、銀行に就職しなくてよかった…って私なんかは思います。笑

全10章からなる作品で、全て、東京第一銀行の異なる社員/パートが語り手となります。
一冊通してのザ・主人公、という人はおらず、それぞれの社員の視点で描かれる銀行の日常と、そこで起こった現金紛失事件についての記述。

第3話で現金紛失事件が起こり、ミステリーとして色濃くなって、どんどんぐんぐん面白くなっていくので、一日で読んでしまいました。

私は第7話が一番好きです。検査部と支店の争いというか、どんでん返しな感じがたまらないですね〜。

解説読んで知りましたが、登場人物が20人くらいいるらしいです。多いっ!
だけど決して情報が散乱するワケでもなく、主要な人についてちゃんと掘り下げられているので池井戸さんの小説家としての技術すごいなぁって。

読みながら書き出していきました。

続きではネタバレしています。

東京第一銀行
【長原支店】

九条馨(支店長):エリート採用で出世欲が強い。
古川一夫(副支店長):高卒「乙採用」のたたき上げ。<第1話主人公>

《業務課》
鹿島昇:課長。落ち込む遠藤を気遣う。<第4話主人公?>
滝野真:課長代理。成績優秀。<第9話主人公>
遠藤拓治:課長代理。明るい性格だが、成績が振るわない。<第4話主人公?>
三木哲夫:業務課次席。入行5年目。北川愛理の交際相手
坂下泰:業務課三席。
外口瞬:業務課末席。

《融資課》
松岡健造:融資課長
竹本直樹:課長代理 元野球少年。失踪した社員の代わりのポストに就く。<第6話主人公>
友野裕:融資課次席ベテラン社員。昇進と海外転勤が夢。<第2話主人公>
小山徹:入行三年目の生意気な社員。
田端洋司:融資課末席。転職を考えている。<第8話主人公>

根本信幸 庶務

《店頭グループ》
高島勲:課長
西木雅博:営業課相談グループ課長代理。<第5話主人公?>
水原係長(課長代理):女性管理職
北川愛理:堅実な事務社員。<第3話主人公>
戸田亜希子:入行7年目ベテラン事務社員。
中畑佳子:愛理の同期
所ヒカル:愛理の後輩
河野晴子:パート社員。<第10話主人公>

半田麻紀:融資課記帳係 哲夫の元カノ
谷川吉乃:融資課 愛理の先輩


【人事部】
坂井寛 :人事部次長 <第5話主人公?>

【企画部】
岸山諭
【赤坂支店】
羽仁清彦 
融資課長木原勤 

【検査部】
黒田道春<第7話主人公>
堂島俊介 仲本 続きを読む

いまさら翼といわれても 米澤穂信

いまさら翼といわれても
米澤 穂信
KADOKAWA
2016-11-30


内容(「BOOK」データベースより)

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘―折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)。奉太郎、える、里志、摩耶花―“古典部”4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇!
matanityweather:(青春物語)

古典部シリーズの最新作。
面白かったです!! 氷菓シリーズで一番良かったかも。
キャラクターの人物設定が細かいというか、よく考えられているんだなぁって思いました。
米澤穂信はすごい作家だと思います。

例のごとく短編集で、主人公たちは高校2年生になっています。
今回、たぶん初めて麻耶花視点の語りが2つ入ってて、その話がお気に入り。ホータロー視点よりスッと話に入れるというか。この著者さん、男視点で女を語るより女視点で女を語った方が上手い気がする。


以下、もしかしたらほんのりネタバレしてるかもしれませんが、各短編についてのあらすじと感想です。


「箱の中の欠落」
生徒会長選挙で起こった、生徒数より投票数の方が多いという謎を里志とホータローがときます。 


「鏡には映らない」
麻耶花視点で、中学時代の出来事を解明していく話。
この話で、彼女が最初、ホータローに良い印象を持っていなかった理由が明らかになります。
ホータローが中学卒業制作の鏡のレリーフを、元のデザインを完全に無視して適当に完成させたことにより、デザイン担当した女生徒がガチギレして最悪の雰囲気になったっていう事件があったらしいです。

確かに学生時代って、合唱コンクールとか文化祭とか、「ちょっとー男子!真面目にやってよ!」的なシチュエーションよくありますよね。男子ってサボりがち。最近の高校生はそうでも無いのかな〜。

麻耶花は、今から考えると、ホータローはただ面倒だからという理由でそんなことをするような男子では無いなと思い直し、なぜ彼が元デザインを無視して彫刻したのかを調査します。

アニメ版でもホータローと麻耶花が対面した時、すっごい嫌そうな顔を麻耶花がしてたのが印象的でした。
普通の同中の異性に対してあの表情はしない。笑 「俺に対して良い印象を持っていない」ってサラッとホータローのナレーションで流されてましたが、こういうことがあったからかー、と納得。
この話は最初から人物設定に含まれていたのかな?とか考えました。

さらに、その事件の真実も、いかにもホータローらしいストーリー。
絶対別の人をかばってるのは分かってましたけど、かっこいいですね〜。ホータローは本当かっこよくてムカつきますね。好きなタイプじゃないけど、一旦好きになったらとことん好きになってしまいそうだ。


「連峰は晴れているか」
中学時代の英語教師、小木が、ヘリコプター好きだったなぁとホータローが回想し、だけど里志たちとよく話し合ってみると、実は違うんじゃないかということから昔の新聞など調べていく。
謎やストーリー自体は大したことは無いんですが、なぜホータローがきちんと調べようという気になったか、その動機が素敵なことだと思います。「無神経になりたくない」「人の気も知らないでのんきに他人をジャッジしたくない」という。そこまでホータローが言ってるわけでは無いですが…
そういう性格なホータローに、千反田が「それって、とっても…」ともごもごするシーンが素晴らしいです。


「わたしたちの伝説の一冊」
また麻耶花の話。漫研の確執の話です。
なんで漫研内で「自分で描く派」と「読むだけ派」で派閥抗争があるのか、微妙にハァ?と思ってしまいますが、学生って、大所帯だと自然に派閥って出来ちゃいますよね。学生に限らずか。
大人からしたら些細なことで…って思っちゃいますが、内部にいると、ツラいなぁって思いながら読みました。

自分で描く派の麻耶花が、同じ派閥の浅沼という生徒から、漫研で同人誌を作ろうと誘われることから始まる漫研の分裂の話です。
浅沼は、同人誌を発行して、この学校の漫研は自分で漫画を描くクラブだと主張したい。
それに対して読むだけ派の生徒が怒って、どちらかの派閥が退部して新しい部を立ち上げるしかないという話に。
そんな時に、麻耶花が同人誌発行のために作成していた自分のネームノートが盗まれてしまう話でした。

ホータローが中学時代に書いたという、走れメロスの感想文が面白いです。
また、麻耶花視点だと、クールなホータローの顔が赤く見えた、だの、別の面が見られて面白い。


「長い休日」
ホータローの信条「やらなくても良いことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」のルーツが分かる話。

この話が読めて、私の中で氷菓シリーズの価値が高まった、?というか、おおーっって思いました。達成感というか満足感というか。もうこれが読めたら次回作あっても読まなくても良いかもしれない、というか。ホータローのスタンスを理解するための素晴らしい話です。

なんてことのない話ですが、こういう些細な出来事で人の行動基準とか、人格形成とか出来上がっていくんだろうなって。
そう思うと、自分が人に与えてきた影響って計り知れないものがあるのかも。もしかしたら他人に全く影響を与えずに生きているかもしれませんが。笑 知らず知らずのうちに、人を傷つけたり励ましたりしているんだろうと思います。いや〜、怖いですね。笑

話は小学校時代、花壇に水をやる係だったホータローの話。
そこで、同じ係だった女生徒のランドセルがある日なくなる。ランドセルはすぐ見つかるけど、ホータローはそこに別の真実を発見してしまう。

分かるよ〜!!というわけでも無いですが、ホータローは頭が良いから「人に使われていた」という印象がショックだったんですね。
本当に、無意識的に人は誰かをバカにしたり、良いように使ってしまったり、使われてしまったりするんですよね。
この話を読むとやっぱり学校の先生にはなれないなって思います。罪深い職業だと思うんだよな〜。聖人レベルじゃないと勤められないと思います。ピュアな子供を相手にする商売は、厳しい。

ホータローの全てを見透かしている姉が、「あんたはこれから長い休日に入るのね」と。
それを終わらせてくれた、千反田という存在。
氷菓はシリーズ全体で最高の青春物語ですね。


「いまさら翼といわれても」
市の合唱イベントでソロパートを歌うことになっていた千反田が、当日に姿を消した話。
出番までは時間があるけど、事前集合の時間に居ないこと自体が千反田らしくない。麻耶花から相談を受けたホータローが、千反田の居所を探す話。

標題でなんとなく察知できるんですが、千反田の進路についての葛藤みたいな話です。
「遠まわりする雛」からのこの話っていう感じですね。
豪農千反田家の跡取り娘は、いろんなものを抱えて育ってきたワケで。

ただ立場が全然違うので、千反田の気持ちに共感は出来ないので、ちょっといまいち。

私は親から何かを強制されたことがほぼ無くて、逆に、「そういう娘を望んでるんだったら、もっと早く厳しく教育してくれよ」って思ったことは何度もあります。笑
うちの親は本当に放置主義?というか習い事とかもあんまりせず、自由気ままにやらせてもらったのですが、私自身が元々小物というかハメはずせない性格なので、それなりの枠におさまって生きて来たワケです。
ただ、母親がカトリック信者で、私が結婚する時にカトリックの教会で挙式して欲しいと暗に言われた時に、「えっ、日曜日に教会に行ったことの無い私が?」となって、(カトリックの教会で挙式するって、事前に講座を受けなきゃいけなかったり、それが平日2時間3ヶ月とか、現代の東京を生きる社会人にとってはまあまあ負担になるような感じなんです)
そんな要望するんだったらもっとカトリック信者としてきちんと育ててよー!って言いました。笑
自分だって教会いかないじゃん!って。
まあ、面と向かって言える関係だし、全然良いんですけどね。

千反田ほど良い子ちゃんじゃないし、そういう縛られた環境に生きているわけでは無いですけど、今まで自分の道はこれだ、この家には自分が必要なんだと思っていたものが、ふと無くなってしまったら。
やっぱり少し戸惑うんだろうなぁ。
でも…ピチピチの高校生なんだから、目の前がパーっと開けたような感覚にならないだろうか。…ならないか。


冷たい校舎の時は止まる 辻村深月


内容(「BOOK」データベースより)

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう―。第31回メフィスト賞受賞作。


matanityweather:(性描写無し・自殺、殺人、ホラー的要素は有り。でもそんなに怖くない)

文庫本で上下巻。長いな…って思いましたがあっという間に読めました。
辻村深月さんのデビュー作のようで。
校舎に閉じ込められた8人の男女、それぞれの事情を掘り下げながら、自殺したクラスメイトについて思い出そうとしていく物語。
あくまでも、登場人物の深層心理が作り出した空間内での出来事なので、トリックを探すミステリーというよりは、ホラーテイスト叙述ミステリーという感じ。犯人は誰だー?みたいに思いながら読む小説では無いです。

面白く読めるんですが、読後感はモヤっと。
辻村さんの小説、何冊か読んでいるのですが、男女関係の描写が爽やか過ぎるんだよなぁ…
ちょっとラノベっぽいというか、妙に爽やかなんですよ。リアルじゃない、っていうか。
嫌いじゃないんですけど…どうも共感できないな〜ってモヤモヤしながら読み進めてしまう。
私の高校時代こんな爽やかな男女の人間関係じゃなかったよ〜〜って。ひがみですかね、ええひがみです。

まず主要キャラで一番最初に出てくるのが、「辻村深月」作者と同名!
だいぶ勇気ある名前付けだなぁって思いましたね。しかも、このキャラクターの好感度が私の場合非常に低くって。。
たぶん、同じクラスに居たら友達になれないタイプの女子なんですわ。。いじめたりはもちろん無いけど…

進学校に通う8人のクラスメイト。
担任の教師、榊クンはピアスを開けたホストのような型破りな先生。だけど皆に慕われている。
1人目:榊クンの従兄弟で鷹野という秀才男子。成績も人柄も文句無しな大人しめクールナイスガイ。
2人目:辻村深月は、鷹野と幼馴染のような間柄。いじめられたこともあって精神的に脆い面もある。
3人目:菅原はタバコで停学をくらった問題児だけど、地頭の良さと人情味は皆が認めている。
4人目:梨香は担任の榊くんのことが大好きなギャル。妹二人の面倒を見る影の苦労人。
5人目:景子は冷静沈着なしっかり者。口調が「ああ、そうだな」とか男性っぽい。(…のでこのキャラクターが突出してラノベっぽい。笑 というか、もうイメージは『氷菓』の女帝と呼ばれる入須先輩としかイメージできない!キャラも微妙にかぶってるような)
6人目:昭彦は、楽観主義者なナチュラルフェミニスト。つまり、自分にも他人にも全方位優しいタイプ。
7人目:清水あやめはA級特待生。進学校であるこの学校でも一番頭が良く、授業料を免除されている。絵も得意。
8人目:充は 梨香のことを好きな気弱で優しい男子。

この8人が、ある雪の日に登校したら自分たち以外に誰もおらず、担任の榊先生も不在。
そのまま学校に閉じ込められてしまう。
脱出を試みるも、鍵は開かないし窓も開かないし、三階建ての校舎のはずが五階建てになってたりする。
8人の共通点は、クラスメイトで学園祭を特に頑張った仲間であること。さらに担任の榊先生と仲が良いこと。
そして二ヶ月前、学園祭の最終日に起こったクラスメイトの飛び降り自殺事件について思い出そうとするも、どうしてもその生徒のことを思い出せない。
8人は、この世界はその自殺した生徒の精神世界で、ここから出るにはその生徒のことを思い出さなければならないと考える。 
そんな中、自殺事件が起こった5時53分がくると、一人ずつ消えていってしまう。 

この一人ずつ消えていくときの描写はめちゃくちゃホラー!で怖いです。
私は怖がりなので飛ばし読みしました。
一人ずつ消えていく感じ、アガサクリスティーっぽくていいですねー。 

一体、この世界は誰が作ったのか?
自殺はなぜ起こったのか?
キーパーソンなはずの榊先生はなぜここにいないのか?

続きではネタバレしています。 続きを読む
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