旅日記2014年冬:喜如嘉の芭蕉布と自然布ツアー 2日目(4)



シンポジウム「自然布の行方」では、
日本各地の自然布に携わっている方々が壇上に勢ぞろいした。
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自然布の定義の解説や
日本各地で伝統を守り続けている自然布に関わる方々から、
それぞれの特徴の説明がなされたり、
新しい取り組みや今後の展望についての事例などが紹介された。

中でも、日本になぜ多種の自然布があり現存しているかの解説は、
自分がこれまでに関心を持って少し首を突っ込んだ
環境教育やエコツーリズムなど別の分野からの視点と結び付いた。

・日本列島は南北に長いから様々な植物がある
・不便だからこそ残った

ということがシンポジストからの話であったが、
それをさらに具体的に言うとするならば、
南北に長いゆえにさまざまな気候帯があり、
また高山から平地まで様々な標高があり、
さらには地球上の雨が程よく降るところに位置し水に恵まれていることで、
日本は世界の中でもまれにみる
植物も含めた生態系の豊かな国であるということだ。

様々な植物・生き物の北限・南限が入り乱れているとも聞いたことがある。

  自然が豊かだとは認識していても、
  それが世界にまれにみることであるという点は、
  日本人自身にあまり知られていないことかもしれないと思う。

  日本そのものが貴重な生態系の宝庫であり、
  かつ、絶滅の危機にさらされているものも多いというホットスポットでもあるのだ。

だからこそ、その土地土地で、
そこの気候や標高に応じた植物が育ち、
人々は、その植物の特性をよく理解し、
それぞれの地域や暮らし・職業の特性に合わせた
民家や民具の材料として使ってきた。


衣類としても、同様に試行錯誤を続けてきた結果、
洗練された技術や製品として現在も残っているものが、
「自然布」あるいは古代布、原始布とも言われるものなのだろう。


草木染の染料もそうだ。

それぞれの地域で採取されるもので、様々な色を表現している。

八重山上布に使われる「紅露(クール)=ソメモノイモ」も、
その地域ならではの染料だ。

藍も、蓼藍、琉球藍、
そして八重山で使われているのはナンバンコマツナギだ。

北海道にはタイセイ(大青)という別の植物があると聞く。


余談ではあるが、
食材も、それぞれの気候で育つ野草で食べられるものは何かと
人々が身体をはって試してきた知識と経験の積み重ねだ。

「長寿弁当」にも沖縄で野草としても存在する植物が入っていた。

それは改善センター向かいの石垣にも生えていて、
八重山や宮古の方と「これ、そうですよね!」と盛り上がった。


 *帰宅してメモを見直したら、
  ひろい氏がちゃんと、
  「日本の植物多様性と毎年収穫できるサスティナブルなものだから、
  多様な自然布があると思われる」
  と、日本に自然布がいろいろある理由のコメントをされていた。

  私はきっと、このコメントからも刺激を受けたのだろう。

 *民家に関しては、川崎の日本民家園に、
  川崎市内を中心とした
  様々な地域・職業の人々が暮らした民家を見ることができる。


果てしない大宇宙の中で、生物が生きることのできる奇跡的な星、地球で、
まれにみる生態系の豊かさを(かろうじて?)維持している日本。

そこにある、各地の自然とともに暮らしてきた人々の文化と知恵と技術。

そのひとつの結晶が、自然布といってもいいのではないだろうか。



【メモ1】

自然布の現状と継承の課題についての論文を見つけたので、記しておく。

繊維の採取の仕方、糸績みの仕方の比較など興味深い。

「草木から得られる繊維を用いた伝統的な布づくりとその継承」
 清水裕子,佐々木和也,池原佳子
http://uuair.lib.utsunomiya-u.ac.jp/dspace/bitstream/10241/7337/1/11_kusaki.pdf



【メモ2】

シンポジウムで、藤布の体験が京都でできると聞き、調べてみた。

藤布の体験やしな布、ツアーに参加された方の関わるイベント情報。

●「WAZA2014」の伝統工芸展  東武百貨店 池袋店にて 
 2014年2月13日(木)〜18日(火) (15日〜18日、しな布糸作りの実演あり)
 http://yamakumada.shinafu.jp/?p=168

●平成26年度 しな織り体験
 http://sekikawa.shinafu.jp/?p=439

 
●東京農工大学科学博物館 友の会サークル作品展
 2014年2月13日〜20日(月曜休館日)
 http://www.tuat.ac.jp/~museum/information/calendar.html

●藤布体験(織り、藤こき、あく炊き+織り)
 http://www.fujifu.jp/user_data/fujioritaiken.php

●沖縄の染織展  銀座フェニックスホール
 2014年2月7日〜10日

都内2月のイベントは、よりによって超多忙期と重なり、行けない(涙)
(沖縄の染織展だけはかろうじて行けそうか?)

ツアーでご一緒したお仲間に再会できるかもしれないのに・・・。 残念。