2008年09月12日

<04>だいじょうぶマイ・フレンド

同名の映画の脚本と並行して書き進められた作品。これまでの作品とは大きく路線が変更され、村上龍自身が「あとがき」で述べるところによれば「ほとんどプロットのみで成立する科学冒険怪奇小説」。飛べなくなったスーパーマンを助けて悪の組織「ドアーズ」と戦う3人の少年少女の物語である。ユーモアとファンタジーを前面に、終始荒唐無稽なストーリーが展開されるが、もちろん村上龍らしい悪趣味も十分散りばめられている。

だが、この作品は端的に言って散漫である。もちろん、これがデビュー作や前作のようなシリアスさを欠いた作品だからそういうのではない。もしこれが村上龍自身が言うように「科学冒険怪奇小説」なのだとするなら、科学も、冒険も、怪奇も、ここでは中途半端に終わっているからだ。「コインロッカー・ベイビーズ」を書ききった村上龍の筆力は健在だとしても、この作品で村上龍は書くべき題材を選び間違えたとしか言いようがない。

どんな作家にも得手不得手があり、得意不得意がある。これまでの3作では確信に満ち、だれが何と言おうと村上龍以外には書き得ないモノを半ばたたきつけるように書いていたのに比べれば、ここでの村上龍は明らかにグニャグニャした曖昧な対象を扱いかねていて、肝心のプロットも苦しく、素人目にもそれが村上龍には向いていないことが分かる。僕たちはいったいこの作品のどこを読めばいいのか。失敗作だが駄作でないことが救い。

(1983年発表 集英社文庫 ★★☆)


going_underground at 23:49│Comments(1)TrackBack(0)書評 

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この記事へのコメント

1. Posted by リリー   2011年07月01日 12:13
3 当時まだ子供でしたがこの歌は知っていて、成人後に本を読んだ時「この映画の歌だったのか。映画って…変なB級映画にならなかったのかな…?」と思いました。
今なら若手監督によるアニメ映画として深夜放送される位が似合うかなぁ。

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