2009年01月02日

<32>THE MASK CLUB

死者の目を通して語られる、異常な女たちのSMレズビアン・パーティの顛末。死者がよく分からない虫のような存在になって、自分が殺された部屋の中に漂うというアイデアは面白いが、状況の説明が妙に回りくどくて、自分には実体があるのかないのかとか羽虫の背中につかまって移動するとか免疫細胞に食われるとかそんなことはどうでもよくて、そうこうするうちに話は女たちの語りに移り変わり、結局「いつもの話」になって行く。

いつもの話とは、父親と円満な関係を構築できなかった女性がコミュニケーションに歪みを抱えたまま成人し、SMに救済を求めるというこれまでにも何度となく繰り返されたテーマ。かつてフリースクールで一緒に過ごした彼女らが偶然再会を果たし、最も繊細でそれ故最も危機的な状況にあるレイコのためにマスクで顔を隠したパーティを開き、一種のセックス・セラピーを行うという筋書きは悪くないが、それなら初めからその話でいい。

最後には殺された男の虫としての視点はどうでもよくなってしまうし、かといって彼女たちの抱えこんだ物語として読むには、前半を死者の視点の説明に費やした分、決定的に深みが足りず、どちらにしても中途半端なバランスの悪さを払拭できない。面白いアイデアで書き始めたが途中で面倒臭くなって、持ちネタで流したら結構モノになりそうにも見えたけど、結局適当なところで切り上げた、といった感じじゃないかと思われる作品。

(2001年発表 幻冬舎文庫 ★★★☆)



going_underground at 23:55│Comments(0)TrackBack(0)書評 

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