2009年01月21日

<35>2days 4girls

困難な作品。金融業で十分な稼ぎを得ながら、精神的に破綻した女性を引き取りオーバーホールする「プラントハンター」を自称する男の、4人の女性を預かり、オーバーホールするエピソードが語られる。一方で男自身はどこにあるのか分からない庭園を歩き続ける。まるで心象風景のように抽象的でだれもいない荒涼とした世界を男は歩き続け、彼が関わった女たちのことを思い出す。男は自分がなぜそこにいるのか分からないまま歩く。

ここでは他人に「関与する」ということが重要なモチーフとして語られている。自分が関与することでだれかが変わる、関与することへの渇望。やがて男は広大な庭園を抜け無人の街にたどり着く。そこには男の自我を大きく規定した幼児体験の舞台となった映画館がある。男のいる場所が現実の世界なのか夢の中なのか、あるいは死後の世界なのか、それは最後まで語られず、ただそこが男にとって重要な場所であることだけが示される。

一種の観念小説のようでもあり、女たちとの関わりについての男の語りの部分はこれまでの村上龍の「SMもの」の延長のようにも読めるが、そこには現実感は希薄だ。表層を撫でるだけの煮えきらない物語が垂れ流されると言ってもいい。何かをわしづかみにするような強引さに欠け、「雰囲気」に終始して最も重要な部分をやり過ごしたという失望感が残る。書かれていることは結局これまでの作品の焼き直しに過ぎなかったのではないか。

(2003年発表 集英社文庫 ★★☆)



going_underground at 23:43│Comments(0)TrackBack(0)書評 

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