2009年02月17日

<102>ポップアートのある部屋

アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンシュタインなどのポップ・アート作品をモチーフにした短編12編を収録。モチーフとなった作品を初め、ナイアガラ・レーベルのレコード・ジャケットなどを手がけたWORKSHOP MU!!や写真家・内藤忠行らの作品をカラーで豊富に収録したアートブック的な作りになっており、ポストカードも付いている。僕が持っているのは文庫本だが、単行本の方が当然迫力もあるしフェッティシュだろうと思う。

小説はどれも短編というより掌編と読んだ方がいいような短いもの。ポップアート作品を主題にしている以外にはこれといって特徴も共通点もなく、村上龍独特の過剰さもあまり感じられない。いくつかの作品を除けば全体に散漫な印象は免れず、内臓や傷口をいきなりわしづかみにするような強引さ、生々しさよりは、それらしいポップな気分や雰囲気だけをどこかからコピーしてペーストしたような手軽でカジュアルな作品集である。

もちろん、この作品がアメリカン・ポップを主題にしている以上、それは当然のことである。村上龍自身が「まえがき」で書いているとおり、ポップアートは「表面に貼り付く」ものだからだ。マクルーハンやウォーホルの有名な警句を持ち出すまでもなく、表層への徹底した拘泥こそがポップアートの本質だとすれば、読み終わった瞬間に何も残さず消え去ることがこの作品の宿命なのだろう。「引っ越しする未亡人」が印象的。

(1986年発表 講談社文庫 ★★★)


going_underground at 23:11│Comments(0)TrackBack(0)書評 

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