『クウネル』のページを時折めくったときに、いつも気になっていた漫画なのだが、まとめて読んでみて、天才幼児チィチィの魅力にすっかりやられてしまった。
チィチィは2歳児で、オセロの天才。最初はまだ「チロ(白)」「チュロ(黒)」くらいしかしゃべれないのだが、母親(一度も登場しない)の考えによって、学校に入ることになる。そして、チィチィを愛する兄やその友人、先生や学友たちとかかわり合いながら、チィチィはその天才ぶりをのびのびと発揮していく……。
この漫画には、小さな「なぜ」がたくさんちりばめられている。そのなぞが、いちいちなんだか、とても素敵だ。たとえば。
なぜチィチィは、フードをかぶり、ひもを硬くむすんでいるのか。
なぜチィチィは、バンカラな言葉づかいになっていくのか。
なぜチィチィは、カーテンをまとって一人芝居を演じるのか。
そして、チィチィとかかわり合う人々も、みんな、とても魅力的なのである。ちなみに、僕は、「ええか君な、ええ子は自分で自分のことを“神童”やなんて言うたらあかんのやぞ。行儀悪いんやぞ」といった、味わいのある関西弁をあやつる「先生」がいちばん気に入っている。
しかし、タイトルの『B&D』って、何の略なんだろう。漫画をあちこちめくって探ってみたのだが、結局わからなかった。なぞである。
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おいっ!ちっかりちろよっ!
かくとだに えやはいぶきの さちも草!
第31回 B&D より
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