2009年07月16日
麻生内閣は総辞職し、百家争鳴・本命不在の総裁選に突入せよ。頑固一徹の鳩山邦夫、社会保障一筋の舛添要一、そして我が国憲政史上初の女性総理小池百合子ら馬力のある衆議院議員が覇権を争ったらどうか。
はじめに
麻生内閣が誕生したのが昨年の9月24日であるから約10か月が経過した。麻生太郎は野党並びにメディアのいわれのない誹謗中傷の中で、迫りくる経済恐慌の津波を必死に食い止めるべく補正予算2回を含む4回の予算を成立させた。衆議院3分の2以上で再可決して、法案の90%を成立させ、国民生活防衛に尽力した。その非常時対応は高く評価されてよい。
だが、日本郵政(株)西川社長の解任問題で盟友の鳩山邦夫総務省を更迭することになった。鳩山邦夫は文芸春秋8月号で「麻生総理の意を汲んで取り組んできたが、内外の圧力に屈した麻生総理が方針を変更した」と語っている。
麻生太郎は自らを「総選挙に勝利するために総理になった」と考えていたし「解散時期は自分が決める」と繰り返してきた。「追い込まれ解散」や「内閣総辞職」は絶対避けると覚悟を固めていた。
麻生太郎はこれまで「自民党と民主党が国民にマニュフェストを提示して選挙を行うべき」と唱えていた。麻生太郎は急遽「安心社会実現会議」を立ち上げ、その提言を自民党のマニュフェストに盛り込むと語っていた。
自民党のマニュフェスト作成は現在進行中で、民主党は7月末までにマニュフェストを作成するという。「用意ドン」の号砲を鳴らす条件は未だ整っていないというべきである。相次ぐ地方選挙での敗北と都議会議員選挙での大敗並びに古賀誠選挙対策委員長の辞意表明に狼狽したのか?麻生太郎は「7月21日解散・8月30日投票」という選挙日程を公表してしまったのだ。
自民党内で「殿、御乱心」という声が吹きあがったのは当然だ。このまま衆議院解散に突入すれば、古賀誠、山崎拓、加藤紘一、与謝野馨財務相、町村信孝元外相、中川昭一前財務相を初め、自民党国会議員の3・4割が落選すると想定されている。自民党は歴史的大敗を喫し、全軍が「屍累々」の惨状になると予想されている。
最近、自民党は「烏合の衆」と化している。軍規は乱れ、全軍が浮足だっている。自民党の現況を見て筆者は「富士川をはさんで源氏・平家の東軍と対峙していた平宗盛率いる平家軍数万人が水鳥の飛び立つ音を、敵軍が攻め込んできたと錯覚し潰走した」故事を想起した。つまり、平家軍は戦端を開く前に恐怖心に囚われていたから、水鳥の飛び立つ音を敵軍来襲と感じてしまったのだ。戦う前に戦意喪失状態に陥っていたといってよい。
第1:麻生太郎は衆議院解散(7月21日)に踏み切れるか?
15日深夜のテレビニュースで「与謝野財務相と石破農水相は7月21日の解散に反対する旨」を麻生総理に直談判したと報じていた。
いうまでもなく「衆議院の解散」は天皇の国事行為である(日本国憲法第7条3)。解散手続は以下のとおり(ウイキぺディアより要約抜粋)
1.総理大臣は閣議をひらき「解散することに決したので、国務大臣諸君の賛成を賜りたい」と全国務大臣に対し衆議院解散を諮る。内閣の総意を得た上で閣議書に全国務大臣が署名する。この署名を拒否する国務大臣(衆議院解散反対)が出た場合、総理は当大臣を罷免し総理が兼任する。これまで、衆議院解散に反対し署名を拒否して罷免されたのは小泉総理が郵政民営化問題で解散を断行したときの島村宜伸農水大臣だけである。我が国憲政史上唯一の例外である。
2.「衆議院解散の閣議書」に全国務大臣の署名がなされた後、天皇の署名と御璽を賜る。総理大臣は詔書に副署し、衆議院議長に伝達される。衆議院議長は議会で詔書「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」を読み上げる。
以上、総理大臣が解散を決意し実行するには、国務大臣全員の同意が必要である。これに同意しない国務大臣がいれば、当該国務大臣を罷免して自ら職務を兼任し内閣の総意という形式を整える必要がある。
7月21日の衆議院解散について反対している国務大臣は15日現在「与謝野財務相と石破農水相」の2人というが、情勢が煮詰まれば増える可能性がある。仮に、3・4人の国務大臣が「署名拒否」を表明し貫いた場合、麻生総理がこれら全員を罷免できるかどうか疑問だ。
麻生総理が自民党内の反対を押し切った上、複数の国務大臣を罷免して衆議院解散(自爆攻撃)に踏み出せると想定することはできない。「病は口から入りて、禍は口から出ず」である。「覆水盆に返らず」ともいう。総理が一度発言した言葉は簡単に取り消すことができない。
麻生総理が「7月21日解散」を公表してしまった以上、これを撤回するならば総理職に留まることはできない。選択肢は内閣総辞職しか残っていない。そのタイムリミットが7月21日である。麻生総理は解散月日を公開し自民党内を解散モードで統一する予定であったと思料されるが、結果「自らが掘った穴に落ちた」という訳である。麻生総理の口が軽いのか?、それとも鳩山邦夫がいう「麻生総理側近」の情勢認識が甘いのか?
第2:政局は今後、麻生内閣総辞職→自民党総裁選→選挙管理内閣誕生→衆議院解散への流れが想定される。
自民党衆議院議員は「座して死を待つか?それとも玉砕覚悟で打って出るか?」という背水の陣であろう。孫子の兵法にはないが「死地に身を置いている」気分であろう。ここまで追い込まれると怖いものなしだ。
(今回の自民党総裁の選択基準)
民主党との天下分け目の合戦を勝利できる司令官を選ぶことに尽きる。総裁・総理の資格や適正があるか否かは問題ではない。「戦を勝利に導ける人材かどうか」だけが焦点となる。
幹事長や主要閣僚の経験があり手アカのついている中川秀直、与謝野馨、町村信孝は「一部の玄人筋」には人気があるかもしれぬが、国民大衆の感性にはマッチしない。国民大衆は「暗くて固い」人物には魅力を感じない。
石破茂や石原伸晃も今一つインパクトがない。理屈っぽくて大衆の感性や情念を揺さぶることがない。
筆者が注目しているのは、「アクの強い頑固な男」鳩山邦夫、厚生労働行政に悪戦苦闘している舛添要一、そして我が国憲政史上初の女性総理小池百合子である。
総裁候補に立候補するには20人以上の国会議員の推薦が必要とされるから、20人も30人も立候補することはできない。だが、「我と思わん者」は経歴如何にかかわらず出馬すべきである。何しろ「最後の自民党総裁選挙」となるかもしれぬから、最低でも冥土の土産になる。孫や子に「自民党最後の総裁選に出馬した時はおもろかったで」等と語り聞かせることもできる。
突出した有力馬がいないレースでは、誰でも総裁になれる可能性がある。もしかしたら「瓢箪から駒」の万馬券が出るかもしれぬ。
第3:本命は「史上初の女性総裁・総理誕生」ということなのだが・・・
群雄割拠・百家争鳴・本命不在の総裁選で、小池百合子が決戦投票に残り最終勝利者となるためには、所属する清和会・町村派の支援を得ることが最低条件だ。前回の総裁選で小池百合子は中川秀直と心中した。組む相手が悪かった。「カネと女の醜聞が絶えない」中川秀直と組んでいては天下は狙えない。
英国でも、ドイツでも女性首相が誕生した。近未来、米国ではクリントン夫人が大統領になると想定されている。ウクライナでも女性大統領が誕生する可能性がある。我が国で女性総理が誕生しても早すぎることはない。世間並みだ。
古代、倭国(日本)の大乱を沈静化させることができたのは「女王卑弥呼」と「女王壹輿」である。母系社会日本において、社会の混乱を収めることができるのは昔も今も女帝と決まっている。男王を入れ替えて擁立しても混乱は収まらない。
第4:ダークホースは「鳩山邦夫前総務相」あたりか?
文芸春秋8月号は「鳩山邦夫、大いに吼える」と題するインタビュー記事を掲載している。鳩山邦夫の美点でもあり弱点ともいえる「何でも思ったとおり発言し行動する」性癖は貴重である。莫大な財産を継承し、恵まれた知的能力を受け継いだ人間はかくも正直に振舞えるのかと思いきや、そうでもないらしい。鳩山邦夫は実兄の民主党鳩山由紀夫代表について以下の通り証言している。(以下(1)−(3)は文芸春秋8月号鳩山邦夫の発言を要約抜粋した)
(1)兄は日本一の「政界スイマー」
兄は努力家です。しかし信念の人ではまったくないと思います。自分の出世欲を満たすためには信念など簡単に犠牲にできる人です。いまは虚像が前面に出ていますが、実像はしたたかを絵に描いたような人で、自分のためになるのなら、どんな我慢もできるんですよ、あの人は。
(2)兄は宇宙人
私から見れば宇宙人ですね、まさに。自分の権力欲にここまで忠実に生きてこれるというのは大したものです。かっては「小沢一郎の金権政治と派閥中心の政治」を非難していました。そこまで嫌っていた小沢一郎さんにゴマをすって、べったりくっついていったことです。やはり信念のないのが宇宙人なんでしょうね。私も麻生太郎も地球人ですが、兄貴の宇宙人ぶりは際立っている気がしますね。自民党にいたころ兄は公共事業を引っ張ってきて橋を作るのに懸命だったのに、立場が変われば言うことが全く変わる。
(3)兄よりも自分が総理の適性はある
私には権力志向はないし、総理大臣になる可能性は限りなくゼロに近いけど、明日どちらかが総理になるのであれば、私の方がいい総理になると思いますね、信念があるから。ただ世にうけるかどうかは全く別ですよ。
以上、民主党鳩山由紀夫代表に対する鳩山邦夫の評価は誠に厳しいものである。「露悪的すぎる」という感じがしないでもない。しかし、単刀直入に語るところが「鳩山一族の血」であるのかもしれぬ。このように月刊雑誌で兄を罵倒して見せるところが邦夫の本領であるのかもしれぬ。由起夫もさぞ「弟の暴言癖」に顔をしかめているはずだ。実弟邦夫の暴言に反論することもできず、怒りの感情を抑圧しすぎて表情が硬直している感じだ。しかし、由起夫も「馬耳東風」打たれ強い性格のようで「激怒して兄弟の縁を切る」という感じではない。これが「鳩山一族の血」というのかもしれぬ。おそらく諦観しているのではないか。
邦夫は兄を「日和見主義者」又は機会主義(オポチュニズム)者と非難する。「時々の形勢を観望して自分の意見をくるくる変える信念のない男」と非難する。そして理解不可能な「宇宙人」と決めつける。
(鳩山由紀夫は実用主義者・プラグマティストか?)
20世紀、米国の思想・学問の主流となったプラグマティズムは、経済学・社会学などの人文科学だけでなく自然科学でも大きな影響を与えた。米国経済と科学技術の飛躍的発展の基礎となった。
我々は「思想と行為の一貫性」を重んじる傾向がある。昨日の発言と今日の発言が異なるならば「あの男は意見をくるくる変える。信用できない」とみなす。つまり「社会的信用を獲得するためには、人々の期待に応える一貫した言動を保つ」ことが必要と考えている。時々の都合と情勢に合わせて意見をくるくる変えるような人間は誰からも信用されない。
だが、狭い領域かつ限定された時間の範囲内で「最適な解」を求めるプラグマティストにとって、首尾一貫した態度は弊害となる。「正解」は条件の変化と共に変動すると仮定されている。昨日の意見と今日の意見が異なることは当然起こり得る出来事であって自然現象なのだと考える。
鳩山由紀夫は1964年東大工学部入学、1976年米スタンフォード大工学部博士課程修了、東工大助手、専修大助教授を経て政治の世界に入った。約20年間工学の世界で遊んだ。(鳩山由紀夫ブログより抜粋)
工学とは数学と自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学の知見を用いて公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問である。(国立8大学工学部を中心とした「工学における教育プログラムに関する検討委員会1998年」)
工学では安全性、経済性、運用、保守性といった実用上の観点の価値判断が重要である。工学的妥当性とは「使用できる時間やその他資源の制約の中、工学的目的を達成するための技術的検討とその評価」であり、工学的性質とは「環境適合性、使いやすさ、整備のたやすさ、生涯費用など」である。(ウイキぺディアより抜粋)
思春期から約20年。工学の世界にどっぷり浸っていた鳩山由紀夫が工学的思考で世界を眺めたとしても不思議ではない。鳩山由紀夫が時々の状況に即して「自己の見解をくるくる変化させた」ことも、工学的発想の延長とみなすことができる。鳩山由紀夫にとって「思想・信条の一貫性」は何の価値もないのだ。環境の変化に応じて「適宜、意見を変えることが真理なのだ」という確信を持っていても不思議ではない。それを文科系的価値観でみると「宇宙人に見える」ということではないか。
筆者はかって「米国の世界戦略はなぜ一貫性に欠けるのか?米国の外交はなぜダブルスタンダードなのか?時々の都合で方針を変えるのか?」などを問題にして取り上げたことがある。「金融工学という名の濡れ手に粟の短期的な詐欺商法を生み出した背景は何か?」等と考えたこともある。
20世紀、米国の科学技術と経済を支え、米国を世界一の巨人に押し上げたのがプラグマティズム的思考であったとすれば、現在、流れが逆流し、その問題性が表出し始めたのではないか。全体性・統一性を切り捨て、狭い限定された環境条件に絞りこんで、効率性だけを追い求めるプラグマティズム的思考の限界が露呈したのではなかろうか。
鳩山邦夫は実兄由紀夫のプラグマティズム的思考・態度の危険性と脆弱性を誰よりも理解しているのではないか。「時々の自己都合で意見をくるくる変える由紀夫は宰相の資格がない」と考えているのではないか。
という訳で、鳩山由紀夫と鳩山邦夫を咬みあわせることも面白いと思うのだ。現在、「最も総理に近い男」とされる由紀夫の問題性をあぶり出しておくことも重要である。仮に、鳩山由紀夫民主党政権が誕生したならば、早晩、国民は「由紀夫の転変する意見」に振り回されることになる。我が国に対する外国の信頼が地に堕ちる危険が高い。
まとめ
小池百合子を自民党最大派閥の町村派(清和会)が支援し、鳩山邦夫を2番手派閥の津島派が支援し、舛添要一を無派閥ほかが支援したと仮定する。その他、自薦・他薦組が入り乱れて総裁選を戦ったとする。野党やメディアは「茶番劇をやめろ。早く解散せよ」と金きり声を上げる。
次回の衆議院選挙では民主党が250議席以上、自民党が150−180程度に激減すると想定されるから、外野席のヤジを気にする必要はない。どちらにしても大敗する可能性があるから「やりたい放題」やってみるべきだ。リスクなしで賭け事ができる訳だ。万に一つのヤマを掘りあてるかもしれぬ。「宝くじ」を買わないと確率はゼロであるが、例え300円でも買えば、確率がゼロ以上になる。「迷った時は、とりあえず買うてみなはれ」ということだ。投資せず株で儲ける方法はない。溝に捨てたと考えて投資すれば買った株が「金の卵」に化ける場合もある。
筆者はこれまで麻生太郎を応援してきた。10か月間という短い期間ではあったが、麻生太郎は「大恐慌対策」に焦点を絞り込んで注力し成果を上げた。「御苦労さん」といっておきたい。
人間の評価は「死ぬ時に定まる」という。総理の評価は在任中「国家・国民のために何を成し遂げたか」で評価される。インド、ベトナム、中央アジア、ロシアなどとの関係は深まった。多角的外交が進展した。米国と中国は不機嫌であったがやむを得ない。
21日までの4日間、麻生太郎が自爆攻撃の衆議院解散に打って出るか、それとも「残された最後の機会」を自民党に与えるべく内閣総辞職に踏み切るか。麻生太郎が「汚名を末代まで残さないよう」潔い決断をすることを期待する。歴史は、個人が踏ん張っても如何ともしがたいところがある。時には運命に抗しながら、時には運命を受容しながら淡々と生きてもらいたい。
麻生内閣が誕生したのが昨年の9月24日であるから約10か月が経過した。麻生太郎は野党並びにメディアのいわれのない誹謗中傷の中で、迫りくる経済恐慌の津波を必死に食い止めるべく補正予算2回を含む4回の予算を成立させた。衆議院3分の2以上で再可決して、法案の90%を成立させ、国民生活防衛に尽力した。その非常時対応は高く評価されてよい。
だが、日本郵政(株)西川社長の解任問題で盟友の鳩山邦夫総務省を更迭することになった。鳩山邦夫は文芸春秋8月号で「麻生総理の意を汲んで取り組んできたが、内外の圧力に屈した麻生総理が方針を変更した」と語っている。
麻生太郎は自らを「総選挙に勝利するために総理になった」と考えていたし「解散時期は自分が決める」と繰り返してきた。「追い込まれ解散」や「内閣総辞職」は絶対避けると覚悟を固めていた。
麻生太郎はこれまで「自民党と民主党が国民にマニュフェストを提示して選挙を行うべき」と唱えていた。麻生太郎は急遽「安心社会実現会議」を立ち上げ、その提言を自民党のマニュフェストに盛り込むと語っていた。
自民党のマニュフェスト作成は現在進行中で、民主党は7月末までにマニュフェストを作成するという。「用意ドン」の号砲を鳴らす条件は未だ整っていないというべきである。相次ぐ地方選挙での敗北と都議会議員選挙での大敗並びに古賀誠選挙対策委員長の辞意表明に狼狽したのか?麻生太郎は「7月21日解散・8月30日投票」という選挙日程を公表してしまったのだ。
自民党内で「殿、御乱心」という声が吹きあがったのは当然だ。このまま衆議院解散に突入すれば、古賀誠、山崎拓、加藤紘一、与謝野馨財務相、町村信孝元外相、中川昭一前財務相を初め、自民党国会議員の3・4割が落選すると想定されている。自民党は歴史的大敗を喫し、全軍が「屍累々」の惨状になると予想されている。
最近、自民党は「烏合の衆」と化している。軍規は乱れ、全軍が浮足だっている。自民党の現況を見て筆者は「富士川をはさんで源氏・平家の東軍と対峙していた平宗盛率いる平家軍数万人が水鳥の飛び立つ音を、敵軍が攻め込んできたと錯覚し潰走した」故事を想起した。つまり、平家軍は戦端を開く前に恐怖心に囚われていたから、水鳥の飛び立つ音を敵軍来襲と感じてしまったのだ。戦う前に戦意喪失状態に陥っていたといってよい。
第1:麻生太郎は衆議院解散(7月21日)に踏み切れるか?
15日深夜のテレビニュースで「与謝野財務相と石破農水相は7月21日の解散に反対する旨」を麻生総理に直談判したと報じていた。
いうまでもなく「衆議院の解散」は天皇の国事行為である(日本国憲法第7条3)。解散手続は以下のとおり(ウイキぺディアより要約抜粋)
1.総理大臣は閣議をひらき「解散することに決したので、国務大臣諸君の賛成を賜りたい」と全国務大臣に対し衆議院解散を諮る。内閣の総意を得た上で閣議書に全国務大臣が署名する。この署名を拒否する国務大臣(衆議院解散反対)が出た場合、総理は当大臣を罷免し総理が兼任する。これまで、衆議院解散に反対し署名を拒否して罷免されたのは小泉総理が郵政民営化問題で解散を断行したときの島村宜伸農水大臣だけである。我が国憲政史上唯一の例外である。
2.「衆議院解散の閣議書」に全国務大臣の署名がなされた後、天皇の署名と御璽を賜る。総理大臣は詔書に副署し、衆議院議長に伝達される。衆議院議長は議会で詔書「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」を読み上げる。
以上、総理大臣が解散を決意し実行するには、国務大臣全員の同意が必要である。これに同意しない国務大臣がいれば、当該国務大臣を罷免して自ら職務を兼任し内閣の総意という形式を整える必要がある。
7月21日の衆議院解散について反対している国務大臣は15日現在「与謝野財務相と石破農水相」の2人というが、情勢が煮詰まれば増える可能性がある。仮に、3・4人の国務大臣が「署名拒否」を表明し貫いた場合、麻生総理がこれら全員を罷免できるかどうか疑問だ。
麻生総理が自民党内の反対を押し切った上、複数の国務大臣を罷免して衆議院解散(自爆攻撃)に踏み出せると想定することはできない。「病は口から入りて、禍は口から出ず」である。「覆水盆に返らず」ともいう。総理が一度発言した言葉は簡単に取り消すことができない。
麻生総理が「7月21日解散」を公表してしまった以上、これを撤回するならば総理職に留まることはできない。選択肢は内閣総辞職しか残っていない。そのタイムリミットが7月21日である。麻生総理は解散月日を公開し自民党内を解散モードで統一する予定であったと思料されるが、結果「自らが掘った穴に落ちた」という訳である。麻生総理の口が軽いのか?、それとも鳩山邦夫がいう「麻生総理側近」の情勢認識が甘いのか?
第2:政局は今後、麻生内閣総辞職→自民党総裁選→選挙管理内閣誕生→衆議院解散への流れが想定される。
自民党衆議院議員は「座して死を待つか?それとも玉砕覚悟で打って出るか?」という背水の陣であろう。孫子の兵法にはないが「死地に身を置いている」気分であろう。ここまで追い込まれると怖いものなしだ。
(今回の自民党総裁の選択基準)
民主党との天下分け目の合戦を勝利できる司令官を選ぶことに尽きる。総裁・総理の資格や適正があるか否かは問題ではない。「戦を勝利に導ける人材かどうか」だけが焦点となる。
幹事長や主要閣僚の経験があり手アカのついている中川秀直、与謝野馨、町村信孝は「一部の玄人筋」には人気があるかもしれぬが、国民大衆の感性にはマッチしない。国民大衆は「暗くて固い」人物には魅力を感じない。
石破茂や石原伸晃も今一つインパクトがない。理屈っぽくて大衆の感性や情念を揺さぶることがない。
筆者が注目しているのは、「アクの強い頑固な男」鳩山邦夫、厚生労働行政に悪戦苦闘している舛添要一、そして我が国憲政史上初の女性総理小池百合子である。
総裁候補に立候補するには20人以上の国会議員の推薦が必要とされるから、20人も30人も立候補することはできない。だが、「我と思わん者」は経歴如何にかかわらず出馬すべきである。何しろ「最後の自民党総裁選挙」となるかもしれぬから、最低でも冥土の土産になる。孫や子に「自民党最後の総裁選に出馬した時はおもろかったで」等と語り聞かせることもできる。
突出した有力馬がいないレースでは、誰でも総裁になれる可能性がある。もしかしたら「瓢箪から駒」の万馬券が出るかもしれぬ。
第3:本命は「史上初の女性総裁・総理誕生」ということなのだが・・・
群雄割拠・百家争鳴・本命不在の総裁選で、小池百合子が決戦投票に残り最終勝利者となるためには、所属する清和会・町村派の支援を得ることが最低条件だ。前回の総裁選で小池百合子は中川秀直と心中した。組む相手が悪かった。「カネと女の醜聞が絶えない」中川秀直と組んでいては天下は狙えない。
英国でも、ドイツでも女性首相が誕生した。近未来、米国ではクリントン夫人が大統領になると想定されている。ウクライナでも女性大統領が誕生する可能性がある。我が国で女性総理が誕生しても早すぎることはない。世間並みだ。
古代、倭国(日本)の大乱を沈静化させることができたのは「女王卑弥呼」と「女王壹輿」である。母系社会日本において、社会の混乱を収めることができるのは昔も今も女帝と決まっている。男王を入れ替えて擁立しても混乱は収まらない。
第4:ダークホースは「鳩山邦夫前総務相」あたりか?
文芸春秋8月号は「鳩山邦夫、大いに吼える」と題するインタビュー記事を掲載している。鳩山邦夫の美点でもあり弱点ともいえる「何でも思ったとおり発言し行動する」性癖は貴重である。莫大な財産を継承し、恵まれた知的能力を受け継いだ人間はかくも正直に振舞えるのかと思いきや、そうでもないらしい。鳩山邦夫は実兄の民主党鳩山由紀夫代表について以下の通り証言している。(以下(1)−(3)は文芸春秋8月号鳩山邦夫の発言を要約抜粋した)
(1)兄は日本一の「政界スイマー」
兄は努力家です。しかし信念の人ではまったくないと思います。自分の出世欲を満たすためには信念など簡単に犠牲にできる人です。いまは虚像が前面に出ていますが、実像はしたたかを絵に描いたような人で、自分のためになるのなら、どんな我慢もできるんですよ、あの人は。
(2)兄は宇宙人
私から見れば宇宙人ですね、まさに。自分の権力欲にここまで忠実に生きてこれるというのは大したものです。かっては「小沢一郎の金権政治と派閥中心の政治」を非難していました。そこまで嫌っていた小沢一郎さんにゴマをすって、べったりくっついていったことです。やはり信念のないのが宇宙人なんでしょうね。私も麻生太郎も地球人ですが、兄貴の宇宙人ぶりは際立っている気がしますね。自民党にいたころ兄は公共事業を引っ張ってきて橋を作るのに懸命だったのに、立場が変われば言うことが全く変わる。
(3)兄よりも自分が総理の適性はある
私には権力志向はないし、総理大臣になる可能性は限りなくゼロに近いけど、明日どちらかが総理になるのであれば、私の方がいい総理になると思いますね、信念があるから。ただ世にうけるかどうかは全く別ですよ。
以上、民主党鳩山由紀夫代表に対する鳩山邦夫の評価は誠に厳しいものである。「露悪的すぎる」という感じがしないでもない。しかし、単刀直入に語るところが「鳩山一族の血」であるのかもしれぬ。このように月刊雑誌で兄を罵倒して見せるところが邦夫の本領であるのかもしれぬ。由起夫もさぞ「弟の暴言癖」に顔をしかめているはずだ。実弟邦夫の暴言に反論することもできず、怒りの感情を抑圧しすぎて表情が硬直している感じだ。しかし、由起夫も「馬耳東風」打たれ強い性格のようで「激怒して兄弟の縁を切る」という感じではない。これが「鳩山一族の血」というのかもしれぬ。おそらく諦観しているのではないか。
邦夫は兄を「日和見主義者」又は機会主義(オポチュニズム)者と非難する。「時々の形勢を観望して自分の意見をくるくる変える信念のない男」と非難する。そして理解不可能な「宇宙人」と決めつける。
(鳩山由紀夫は実用主義者・プラグマティストか?)
20世紀、米国の思想・学問の主流となったプラグマティズムは、経済学・社会学などの人文科学だけでなく自然科学でも大きな影響を与えた。米国経済と科学技術の飛躍的発展の基礎となった。
我々は「思想と行為の一貫性」を重んじる傾向がある。昨日の発言と今日の発言が異なるならば「あの男は意見をくるくる変える。信用できない」とみなす。つまり「社会的信用を獲得するためには、人々の期待に応える一貫した言動を保つ」ことが必要と考えている。時々の都合と情勢に合わせて意見をくるくる変えるような人間は誰からも信用されない。
だが、狭い領域かつ限定された時間の範囲内で「最適な解」を求めるプラグマティストにとって、首尾一貫した態度は弊害となる。「正解」は条件の変化と共に変動すると仮定されている。昨日の意見と今日の意見が異なることは当然起こり得る出来事であって自然現象なのだと考える。
鳩山由紀夫は1964年東大工学部入学、1976年米スタンフォード大工学部博士課程修了、東工大助手、専修大助教授を経て政治の世界に入った。約20年間工学の世界で遊んだ。(鳩山由紀夫ブログより抜粋)
工学とは数学と自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学の知見を用いて公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問である。(国立8大学工学部を中心とした「工学における教育プログラムに関する検討委員会1998年」)
工学では安全性、経済性、運用、保守性といった実用上の観点の価値判断が重要である。工学的妥当性とは「使用できる時間やその他資源の制約の中、工学的目的を達成するための技術的検討とその評価」であり、工学的性質とは「環境適合性、使いやすさ、整備のたやすさ、生涯費用など」である。(ウイキぺディアより抜粋)
思春期から約20年。工学の世界にどっぷり浸っていた鳩山由紀夫が工学的思考で世界を眺めたとしても不思議ではない。鳩山由紀夫が時々の状況に即して「自己の見解をくるくる変化させた」ことも、工学的発想の延長とみなすことができる。鳩山由紀夫にとって「思想・信条の一貫性」は何の価値もないのだ。環境の変化に応じて「適宜、意見を変えることが真理なのだ」という確信を持っていても不思議ではない。それを文科系的価値観でみると「宇宙人に見える」ということではないか。
筆者はかって「米国の世界戦略はなぜ一貫性に欠けるのか?米国の外交はなぜダブルスタンダードなのか?時々の都合で方針を変えるのか?」などを問題にして取り上げたことがある。「金融工学という名の濡れ手に粟の短期的な詐欺商法を生み出した背景は何か?」等と考えたこともある。
20世紀、米国の科学技術と経済を支え、米国を世界一の巨人に押し上げたのがプラグマティズム的思考であったとすれば、現在、流れが逆流し、その問題性が表出し始めたのではないか。全体性・統一性を切り捨て、狭い限定された環境条件に絞りこんで、効率性だけを追い求めるプラグマティズム的思考の限界が露呈したのではなかろうか。
鳩山邦夫は実兄由紀夫のプラグマティズム的思考・態度の危険性と脆弱性を誰よりも理解しているのではないか。「時々の自己都合で意見をくるくる変える由紀夫は宰相の資格がない」と考えているのではないか。
という訳で、鳩山由紀夫と鳩山邦夫を咬みあわせることも面白いと思うのだ。現在、「最も総理に近い男」とされる由紀夫の問題性をあぶり出しておくことも重要である。仮に、鳩山由紀夫民主党政権が誕生したならば、早晩、国民は「由紀夫の転変する意見」に振り回されることになる。我が国に対する外国の信頼が地に堕ちる危険が高い。
まとめ
小池百合子を自民党最大派閥の町村派(清和会)が支援し、鳩山邦夫を2番手派閥の津島派が支援し、舛添要一を無派閥ほかが支援したと仮定する。その他、自薦・他薦組が入り乱れて総裁選を戦ったとする。野党やメディアは「茶番劇をやめろ。早く解散せよ」と金きり声を上げる。
次回の衆議院選挙では民主党が250議席以上、自民党が150−180程度に激減すると想定されるから、外野席のヤジを気にする必要はない。どちらにしても大敗する可能性があるから「やりたい放題」やってみるべきだ。リスクなしで賭け事ができる訳だ。万に一つのヤマを掘りあてるかもしれぬ。「宝くじ」を買わないと確率はゼロであるが、例え300円でも買えば、確率がゼロ以上になる。「迷った時は、とりあえず買うてみなはれ」ということだ。投資せず株で儲ける方法はない。溝に捨てたと考えて投資すれば買った株が「金の卵」に化ける場合もある。
筆者はこれまで麻生太郎を応援してきた。10か月間という短い期間ではあったが、麻生太郎は「大恐慌対策」に焦点を絞り込んで注力し成果を上げた。「御苦労さん」といっておきたい。
人間の評価は「死ぬ時に定まる」という。総理の評価は在任中「国家・国民のために何を成し遂げたか」で評価される。インド、ベトナム、中央アジア、ロシアなどとの関係は深まった。多角的外交が進展した。米国と中国は不機嫌であったがやむを得ない。
21日までの4日間、麻生太郎が自爆攻撃の衆議院解散に打って出るか、それとも「残された最後の機会」を自民党に与えるべく内閣総辞職に踏み切るか。麻生太郎が「汚名を末代まで残さないよう」潔い決断をすることを期待する。歴史は、個人が踏ん張っても如何ともしがたいところがある。時には運命に抗しながら、時には運命を受容しながら淡々と生きてもらいたい。
この記事へのコメント
1. Posted by アラン 2009年07月16日 15:27
ここに来て、はじめて、白髪爺氏と意見が違う。
ここは、自民を自浄させる上で、麻生総理には全ての責任をかぶってもらい、自民党を一度下野させる必要がある。
麻生総理の手で解散する事により、売国奴を少しでも減らし自民は自浄されるのだ。
今更、表紙を変えて総裁選ごっこをするような醜態を晒し、自浄されないまま下野してもなんの意味もない。
ここは、自民を自浄させる上で、麻生総理には全ての責任をかぶってもらい、自民党を一度下野させる必要がある。
麻生総理の手で解散する事により、売国奴を少しでも減らし自民は自浄されるのだ。
今更、表紙を変えて総裁選ごっこをするような醜態を晒し、自浄されないまま下野してもなんの意味もない。
2. Posted by 日本人 2009年07月16日 17:47
現状では民主党が政権を取る可能性が高いですが、結果民主党が政権を取った場合に個人的に心配なのが安全保障に関する問題です。敵基地攻撃能力の保有の道筋が断たれる可能性が高いと思うので。これまでの民主党の安全保障に関する考え方を見た場合に。民主党のネクスト防衛大臣の浅尾氏や前原元代表は敵基地攻撃能力保有に肯定的のようですが、民主党議員の大半や支持者の大半は不定的のようですし。
3. Posted by 白髪爺 2009年07月16日 21:50
(アランさんへ)
御意見のように「自民党を大敗させ、浄化させ、新しく蘇らせるべき」との意見にはおおむね賛成です。創価学会・公明党と離別できることは結構なのですが、売国奴だけでなく有為の士も一緒に落選する恐れもありますから、そこが難しいところですね。心中が揺れ動く昨今です。加藤紘一、山崎拓、古賀誠などが落選してくれることに異存はありません。そうあってもらいたいと思います。
(日本人さんへ)
鳩山由紀夫が「非核三原則を見直す」と本音発言をしたものですから、社民党は御立腹のようですね。
鳩山由紀夫は図太い神経で、矛盾する発言を繰り返すでしょうし、周囲を翻弄する可能性が高いですね。
もっとも「君子豹変」と申しますから、権力者になった場合は、仮面を脱ぎ棄てるかもしれず、要注目です。鳩山由紀夫・小沢一郎・羽田牧・渡部恒三など旧自民党勢力が、社会主義者(横路孝弘・興石東ら)といつまで辛抱して同棲できるか?興味深々ですね。
御意見のように「自民党を大敗させ、浄化させ、新しく蘇らせるべき」との意見にはおおむね賛成です。創価学会・公明党と離別できることは結構なのですが、売国奴だけでなく有為の士も一緒に落選する恐れもありますから、そこが難しいところですね。心中が揺れ動く昨今です。加藤紘一、山崎拓、古賀誠などが落選してくれることに異存はありません。そうあってもらいたいと思います。
(日本人さんへ)
鳩山由紀夫が「非核三原則を見直す」と本音発言をしたものですから、社民党は御立腹のようですね。
鳩山由紀夫は図太い神経で、矛盾する発言を繰り返すでしょうし、周囲を翻弄する可能性が高いですね。
もっとも「君子豹変」と申しますから、権力者になった場合は、仮面を脱ぎ棄てるかもしれず、要注目です。鳩山由紀夫・小沢一郎・羽田牧・渡部恒三など旧自民党勢力が、社会主義者(横路孝弘・興石東ら)といつまで辛抱して同棲できるか?興味深々ですね。
4. Posted by たまたま来た人 2009年07月16日 22:56
私もアラン氏と大体同じ考えですね。
もうこの際、自爆だろうが何だろうが麻生総理で
選挙を行い、敗れれば下野すれば良い。
その過程の中で加藤、山拓、秀直、武部ら
不穏分子を一掃し、立党の精神に立ち戻った
本物の自由民主党として生まれ変わって欲しい。
確かに買わねば宝くじは当たらないわけですが、
舛添、小池、鳩弟が宝くじには思えないので。
特に鳩弟は自分には権力志向は無いと言いながら、
本当は前倒し総裁選に意欲満々、更に「正義」と
いう言葉をやたらと振りかざす。こういう輩は
信用ならない。
もうこの際、自爆だろうが何だろうが麻生総理で
選挙を行い、敗れれば下野すれば良い。
その過程の中で加藤、山拓、秀直、武部ら
不穏分子を一掃し、立党の精神に立ち戻った
本物の自由民主党として生まれ変わって欲しい。
確かに買わねば宝くじは当たらないわけですが、
舛添、小池、鳩弟が宝くじには思えないので。
特に鳩弟は自分には権力志向は無いと言いながら、
本当は前倒し総裁選に意欲満々、更に「正義」と
いう言葉をやたらと振りかざす。こういう輩は
信用ならない。
5. Posted by 白髪爺 2009年07月17日 10:04
御指摘のように、保守を再生するには「純化」の過程が必要でしょうね。「純化」は自民党・民主党・無所属の枠を超えて行われるでしょうし、いずれにせよ「自民・民主のガラガラポン」は避けられないのではないかと思います。その時期は、衆議院選挙で自民党が大敗した頃に始まり、民主党中心の連立政権がレームダック状態に陥る1・2年以内ではないでしょうか。
寄せては返す波の動きを眺めつつ、大きな潮の満ち引きを観望した大戦略が動き出していると期待しています。昨年から、安倍・平沼・中川昭一・民社協会ら保守再編に向けた動きがありますが、大いに期待したいですね。
もっとも、次回衆議院選挙で「生き残ること」が先決ですから、一人でも多く生き残って欲しいものです。
本稿は、最近、「安倍晋三と共同行動を取り始めている小池百合子女史」に焦点をあて、定石ではない「場合の手」を考えてみたのでした。
寄せては返す波の動きを眺めつつ、大きな潮の満ち引きを観望した大戦略が動き出していると期待しています。昨年から、安倍・平沼・中川昭一・民社協会ら保守再編に向けた動きがありますが、大いに期待したいですね。
もっとも、次回衆議院選挙で「生き残ること」が先決ですから、一人でも多く生き残って欲しいものです。
本稿は、最近、「安倍晋三と共同行動を取り始めている小池百合子女史」に焦点をあて、定石ではない「場合の手」を考えてみたのでした。
6. Posted by S・A 2009年07月18日 08:51
お早う御座います。
皆さんの御指摘のように、自民党は敗北し、下野するでしょう。
しかし、政権を取った民主党も、今後予想される北朝鮮が絡む有事、経済危機の第二波に対応できず、立ち往生すると思います。
国民の多くは、「変化」を求めているようですが、そのリスクについて充分に理解しているとは思えません。
これは、ある意味仕方が無いことです。多くの人は、自分の生活に関わる事のみ目がいきがちです。
そして、その視界は遠くに向けられません。
政治/経済/軍事のことに興味を持つのは、暇人か、それらが廻りまわって自分に降りかかることを理解している人でしょう。
残念ですが、今後成立するだろう民主党政権は、我が国に降りかかる難局に対応できないと予測します。
その結果、経済はさらに疲弊し、安全保障の面で「無駄な血を流す」ことになりかねません。
しかし、我が国は、曲りなりにも民主主義国家です。政権選択の「責」は選んだ国民にあります。
我が国が蒙る損害が回復不能なものにならないことを、祈るのみです。
皆さんの御指摘のように、自民党は敗北し、下野するでしょう。
しかし、政権を取った民主党も、今後予想される北朝鮮が絡む有事、経済危機の第二波に対応できず、立ち往生すると思います。
国民の多くは、「変化」を求めているようですが、そのリスクについて充分に理解しているとは思えません。
これは、ある意味仕方が無いことです。多くの人は、自分の生活に関わる事のみ目がいきがちです。
そして、その視界は遠くに向けられません。
政治/経済/軍事のことに興味を持つのは、暇人か、それらが廻りまわって自分に降りかかることを理解している人でしょう。
残念ですが、今後成立するだろう民主党政権は、我が国に降りかかる難局に対応できないと予測します。
その結果、経済はさらに疲弊し、安全保障の面で「無駄な血を流す」ことになりかねません。
しかし、我が国は、曲りなりにも民主主義国家です。政権選択の「責」は選んだ国民にあります。
我が国が蒙る損害が回復不能なものにならないことを、祈るのみです。
7. Posted by 白髪爺 2009年07月18日 10:15
仮に、民主党・国民新党・社民党の連立政権が誕生した場合、御指摘のように安全保障・外交政策で内部矛盾を抱えレームダック状態に陥る可能性が高いと思います。
これを予想する民主党保守勢力は、自民党保守勢力との連携を深めるものと推測されます。鳩山由紀夫が「海上自衛隊の西インド洋給油の継続」を唱え出した背景は、連立協議において社民党を牽制し、「そんなにごり押しするなら自民党と組むぞ」と脅しをかけているのだと考えます。
政権奪取のために「政局本位の何でも反対」を貫いてきた民主党も、政権獲得が視野に入った現在、地に足をつけた政権構想を打ち出さざるを得なくなったということでしょうか。
民主党はマニュフェストで「子供手当、ガソリン税廃止、高校授業料無料化、高速通行料金廃止など」の大盤振る舞いの政策を掲げていますが、いずれ財源不足で実現不可能な政策であることが判明しますから、政権を担うようになれば徐々にトーンダウンするのではないでしょうか。
もともと、鳩山由紀夫と麻生太郎には政策上の相違はほとんどなく、民主党政権が樹立されても麻生後継内閣的色合いを打ち出さざるを得ないと考えます。
その場合、民主党内の路線対立が激化、現在の自民党以上に混乱するのではないでしょうか。
ガラガラポンの政界再編を行う過程では「各陣営とも相当の血が流れる」と想定されます。
当面、我が国の内政・外交の政治停滞は避けられませんが、これも保守再建にとって避けて通れない道ではないでしょうか。合従連衡と権謀術数渦巻く権力闘争(戦国時代)を経て初めて、安定した保守政権を樹立できるのではないかと考えます。我が国民も高い授業料を支払って少しづつ覚醒するのではないでしょうか。
これを予想する民主党保守勢力は、自民党保守勢力との連携を深めるものと推測されます。鳩山由紀夫が「海上自衛隊の西インド洋給油の継続」を唱え出した背景は、連立協議において社民党を牽制し、「そんなにごり押しするなら自民党と組むぞ」と脅しをかけているのだと考えます。
政権奪取のために「政局本位の何でも反対」を貫いてきた民主党も、政権獲得が視野に入った現在、地に足をつけた政権構想を打ち出さざるを得なくなったということでしょうか。
民主党はマニュフェストで「子供手当、ガソリン税廃止、高校授業料無料化、高速通行料金廃止など」の大盤振る舞いの政策を掲げていますが、いずれ財源不足で実現不可能な政策であることが判明しますから、政権を担うようになれば徐々にトーンダウンするのではないでしょうか。
もともと、鳩山由紀夫と麻生太郎には政策上の相違はほとんどなく、民主党政権が樹立されても麻生後継内閣的色合いを打ち出さざるを得ないと考えます。
その場合、民主党内の路線対立が激化、現在の自民党以上に混乱するのではないでしょうか。
ガラガラポンの政界再編を行う過程では「各陣営とも相当の血が流れる」と想定されます。
当面、我が国の内政・外交の政治停滞は避けられませんが、これも保守再建にとって避けて通れない道ではないでしょうか。合従連衡と権謀術数渦巻く権力闘争(戦国時代)を経て初めて、安定した保守政権を樹立できるのではないかと考えます。我が国民も高い授業料を支払って少しづつ覚醒するのではないでしょうか。