MAKE SOME NOISE

are we in this together?

 家で飼っていたあひるが可愛いから、近所の小学生が遊びに来る。子供がきて嬉しくて、語り手の両親は喜んでお菓子を買ったりする。それを二階から眺める試験勉強中の語り手。  これだけ爽やかな設定なのに、怖い。単なる可愛いあひるを話なのに、それにすべてが有機的 ...

 東京大学現代文芸論研究室創設10周年記念シンポジウムを聴きに行ってきた。10年前というと、2007年創設ということになる。私がちょうど大学院修士課程だった頃だ。直接関わったわけではないが、その時期ののことを懐かしく思い出す。  どのパネルも非常に豪華な一日で ...

   記憶は曖昧で語るたびに少しずつ細部が変わる。それでも本書の語り手は、自分の感じた感覚をなんとかそのままトレースしようと試みる。本気で何かを描写しようとすると、その対象に言葉が追いつかない。  例えば大づかみに「悲しみ」だとか「寂しさ」だとか言ってみ ...

 「欲しい物がわからないと」ドアマンが続けた。「本当には欲しくないものに包囲されて暮らすことになる。」 (チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』ハヤカワ文庫、61p.)   朝、友人と電話で話した。自家撞着の話、「旅」の話、真っ直ぐさの話をした。文学には ...

 自分の人生を、自分に合った言葉と文体で表現できたら、どんな人の人生だって面白いのだと思う。ドラマチックなことがなくたっていい。それなのに、何かを表現する人は特別な人だと考える人は少なくない。自分なんかと思ってしまう人も多い。でも、どんな人生だって面白 ...

 三鷹駅を出て歩道橋を左に向かうと、太宰が入水したという玉川上水の緑が見えてくる。入水したと言っても、緑が激しく繁茂していて、水は、枝をかき分けないと見えてこない。  玉川上水に向かって歩いていると、何組ものカップルと擦れ違う。そうか、太宰はこうして、 ...

敗者の想像力 (集英社新書) [新書]加藤 典洋集英社2017-05-17    本書の最後に引用されるのはヘミングウェイの「人間は負けるようにできている。しかし負けても、打ちのめされたりはしない」という言葉で、それにこんなに勇気づけられるとは思わなかった。加藤典洋は本書 ...

 夜の暗く静まり返った部屋で、キーボードを打っていると、何かしら意味のあるようなことをしているような気になる。暖かい季節になったことが嬉しくて、少し寒いが半袖のTシャツを着ている。PCの横には仕事で使った資料が、眠るように体を重ねている。    一昨日の夜に ...

 思い出していたのは、蜷川幸雄が稽古のときに俳優に向かって灰皿を投げたエピソードだ。この映画でも、J.K.シモンズ演じるフレッチャー先生が、主人公のドラム指導中に楽譜立てを投げつける。ドラムを叩く主人公に、テンポが違うといって怒鳴りつけ、罵倒する。別に暴 ...

   昨日の朝日新聞・天声人語で、フランスの新大統領に選ばれたマクロン氏のことが紹介されていた。奥さんが25歳年上であることが紹介され、彼自身のコメントも引用されていた。それは「僕は『普通の』という形容詞は好きじゃない」というものだった。とてもいい言葉だと思 ...

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