プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2006年08月

1/16条件


 流れを変えるアガリというのは在るものだ。


 去る日曜日に行われた日本オープンの二次予選。
 
 配牌を取って、「まだか・・・・・・」と何度もため息をつく。
 一回戦、ラス目ながら南場の親で三本積んで体勢を整える。
 三本積んで増えた点棒は僅かに四千点ばかり。
 そして積棒のお返しをつけて満貫を放銃してしまう。力なくラススタート。

 二回戦目は千点を一度アガッただけの三着。
 ここのところの低調を裏付けるような最悪の滑り出しである。
 予選は52人中21人通過で、ボーダーはおそらく+30P前後と思われる。

 トップ、二着では届かない。
「二連勝条件か・・・・・・」
 そう言い聞かせて卓に着く。
 

 三回戦 東一局、二回戦に引き続きこの半荘も北家スタートとなった。
 六巡目、下の形で聴牌が入る。


(東一局 北家 ドラ 八筒

五萬五萬五萬八萬二筒二筒三筒四筒二索三索四索七索七索  ツモ 九萬                        


 役無しの辺張待ち聴牌だが――。
 実は 八萬 をここまで引っ張ったのには狙いがあった。
 序盤で二人が 七萬 をツモ切りし、もう一人を含めて全員が 八萬 を捨てているのだ。 九萬 は、場に一枚。
 本来であれば 六萬七萬 あたりが欲しかった。だが引いてきたのは 九萬 だ。

 迷いはあったが、アガリ止めのないラス親を引いたので東場は積極的に行こうと思った。
 また、どうにかしてジリ貧の展開を打破したかった。

 この発想が良かったのかリーチを入れたことによって鳴きが入り、私の河に 四萬 が並ぶ。さらに 五萬 を引いてきて暗槓。
 八萬 が場飛びの辺 七萬 である。
 これが親からこぼれて、槓ドラ、裏ドラともに乗って6400のアガリ。


八萬九萬二筒三筒四筒二索三索四索七索七索  ロン 七萬  裏五萬五萬裏


 このアガリを契機にガラリと手牌が変わる。
 展開も自分中心に動くようになって、難なくトップ。

 そして最終戦もトップで、辛くも通過。
 

 軌跡としての結果に過ぎないが、あそこでリーチを躊躇していたらこの展開はなかった。
 改めて、勝負事は紙一重だなと思う。
 
 

V.I.P.(2)

 オープン初日、オーナーの仲間であるという40がらみのパーマ男と予想屋風の男がやってきた。もう一人はパーマ男が連れてきた、いくぶん若そうな客である。

 オーナーが入って卓を立て、少年はサーヴィス係に撤する。
 とはいっても食事やドリンク、煙草の類はお手前のコンビニから届けさせる。無論、すべて無料サービスだ。
 電話一本で宅配の仕事を命じられたコンビニのアルバイトは事務所に入り何事かと思っただろう。

 大抵の場合、最初にオーナーが卓につき客の相手をする。
 しかし、彼はここでは張り手ではないから、すぐに席を退き少年の出番がやってくる。

 台は客によって変わるが基本的には500か1000のいずれかである。
 少年は蓄えも後ろ盾もないただの素寒貧。下手をしたら一晩の負けでこの場所を洗わなければならない。
 
 この日は仲間内の精鋭面子らしく1000からのスタートとなった。

 少年の出だしは可もなく不可もなくといったところ。
 パーマ男が大分走って熱くなっている。

 少年に突如、こんな手がきた。


 三萬四萬五萬赤六萬七萬七萬七萬四筒五筒赤六筒三索四索五索赤


 まだ五巡目のことだ。ドラは、 八萬
 赤は全部で六枚入りだが、祝儀が高い麻雀なので少年は出ても見逃す心算でリーチをかけた。
 だが、この五面張がなかなかアガれない。
 終盤、パーマ男から追っかけリーチも入り、パーマ男の切った 六萬 で牌を倒した。

 パーマ男が倒された手牌を見ながら言う。
「何だよそれ。五面張?お兄ちゃん、そんなのツモらないで俺からアタるなんてコロされちゃうぜ」 
 顔は笑っていたが、眼は笑っていなかった。 
 
 
 少年の時給は千円。ゲームバックは無く、懐中も自分持ち。
 あまり良い条件には見えないが、ここは帳面麻雀だったため負けてるうちは客が席を立とうとしない。また、次に呼んだ客もやってくる。
 自然、二〜三日はぶっつづけで客に付き合う形になるので、そこそこの時間数が稼げた。

 初日こそ少しガミを喰ったが、少年はそれからツイて難しい環境の中で勝ち続けた。
 身体と人格を引き換えに。

 
 最初の二ヶ月ぐらいは週末中盛っていたので、オーナーにとってそこそこの凌ぎになったと思う。
 だが、どうしても客の総数が少ない。
 パンクしたりちょっとしたトラブルで要員はすぐに減る。
 こういった店の場合、最初から目論見の倍近くは必要のようだ。


 徐々に開催が週一ぐらいになり、半年近く続けた少年も店を去ることになった。
 今後はオーナーが一人でやっていくと言う。
 
 
 数週間の後――。
 少年の自宅と店はものの数分しか離れていなかった。
 彼はいつも自転車で店の前を通っていたが、プレハブの灯りは徐々に消えて行った。
                            

天国と地獄

 オーラス、トップまで9000点差のラス目。
 萬子へまっしぐらに走った七巡目、待ち厭んだ 發 を重ねてイーシャンテン。

(南四局 東家 ドラ 六筒


五萬六萬六萬七萬八萬九萬東白白發  ツモ發  中中中横
 

 場は一見して字牌が高い。
 しかし本来であれば全員が前に出てくるはずの大接戦。誰かの足が止まるだけでも良かった。

 ところが、九巡目に南家がリーチ。
 彼はトップまで3900出アガリで事足りる。おそらくリーチで条件をクリアーする手が入ったのだろう。

 私は目をつぶって七筒六索三萬八筒 と油っ濃いところを全て通した。
 打てばラス、しかし引いてもラスなのだ。

 身動きが出来ぬ手牌で十三巡目に掴んだ牌は 四筒
 実は危険なスジはあらかた通して、残っているスジは 一筒 四筒二萬 五萬 のみ。

 一瞬――、流局という文字が脳裏をかすめた。
 おそらく脇から三元牌は出ないだろう。また、仮に三元牌をポンまたはツモってきたとしても、この状況ならば通っている 九萬 を切って 四萬 七萬 の聴牌にとる。
 祈り届かず流局するのならば、ラスのままとは言え不要な失点は避けるべきだ。

 とりあえず、打 九萬 とした。
 誰だってそうするだろう。

 次巡、南家がツモ切った牌は 六萬
 あっ、と声を出しそうになった私が引いてきた牌は 八萬
 支離滅裂な感じになりながら 四筒 を通す。


五萬六萬六萬七萬八萬八萬白白發發 中中中横


 すぐにオリていたと思った西家がリーチ。
 南家が持ってきた牌は 發

 叩いて・・・・・・。打 六萬
 リーチ棒を出しきらぬ西家が手牌を倒して、終了――。


 南家のリーチに 五萬 は通っていた。
 あそこで 四筒 を通していれば、おそらく 六萬 を叩いてこの6000オール。


七萬八萬九萬白白發發  ツモ 發  六萬六萬六萬横 中中中横


 全くもって酷い大三元未遂事件である。
 

resolution

 胃の鈍痛が治まらぬ中、今日も牌を握る。
 などと言えば聞こえはよいが、単に自らの不摂生で招いた胃酸過多による胃炎。人様に報告できるような所業ではない。

 ラス目で迎えた東三局の親番。
 足掻くようにアガリを拾い続け、気が付けば四本場になっていた。
 点箱には赤棒がだいぶ増えているが、何せ一本場が1500点の東風戦。
 積み棒が増えるほど一局のミスも許されない。

(東三局 東家 ドラ 北

五筒七筒八筒五索七索八索西白白白發發中中


 これが配牌である。
 すぐに 中 を叩いて、筒子の両面を喰う。

 僅か三巡目にして親マンの聴牌だ。


七索八索白白白發發  九筒横七筒八筒 中中中横


 麻雀とは本当に奇異なゲームで、何面張もの待ちが何巡もアガれないことがあれば、図らずとも聴牌してすぐにアガリ牌をツモってしまうことがある。
 
 指の腹で 六索 を撫でながら考えた。
 ここでアガれば4000は6000オールで、二着目の対面と30000点近い差がつけられる。
 役満をアガることが目的ではないのだから、当然手牌を開くべきだ。

 しかし――、人の行動の起因は実利だけに非ず。
 愚行や暴挙と解っていても、冒険したい瞬間がある。

 私は 六索 をそのまま河にツモ切った。

 全く勝算が無い訳じゃない。
 翻役を絞る面子ではないので、手の整理が進む五巡目以内に初牌が出てくる可能性は高い。
 それに間に合うよう索子で雀頭が作れさえすればしめたものである。
 祝儀とトビ賞を考えれば、そう悪い計算でもない。

 案の定、五巡目に対面から 發 が出てきた。しかし、雀頭は間に合わず。


 八索白白白  發發横發 九筒横七筒八筒 中中中横


 すると、そこへ北家が威勢良くリーチ。
 ここで放銃したらトップは解らない。
 さすがに赤やドラのある手牌だろうから、アガられたらかなりの損失を被る。

 アガっておくべきだったか・・・・・・。
 突如、四本場が重く圧しかかり、自らの選択が薄ら寒くさえ感じる。

 だが、すぐに対面が北家に振り込み、私は損失なし。
 脇移動に助けられた形になって、その半荘はトップで逃げ切ることができた。

 
 自分でも暴挙だと思う。
 私の胃痛の原因は麻雀中の煙草にある。
 極度のストレスを受けながら煙草やカフェインを摂ると、胃酸が出過ぎてしまうのである。

 酒を呑む機会が多い選手なのだ。もはや一時の感情で冒険できるほど選択肢は多くない。

 私は卓から抜けて、煙草を箱ごと捻り捨てた。
 もう対局中に吸うのは止めよう。
 

節制

 協会の大先輩である破壊王氏に誘われ、麻布十番の納涼まつりへ。

 例年通り凄まじい人出で、出店が立ち並ぶ通りは灼熱の暑さ。血肉が滾るような喧騒の中、二人で街を周回する。

 商店で賑わう十番の祭りらしく、あちらこちらから良い匂いが立ち上っている。出店のほとんどが飲食店なのだ。
 粉物を両の手に抱え、さらに串焼きやじゃがバターを買い漁る。
 汗だくになって雑踏を抜け出し、人心地つける場所へ移動。
 缶ビールで乾杯し、パックを広げて酒宴の始まりである。


 酔いも醒めた深夜二六時――、レーサーと遅れてきた大脇プロを入れて東風戦セットの開始。
 初戦こそラスを喰うものの、その後は展開に恵まれ九連帯をマーク。
 
 朝方、いつものように散会しフラフラになって駅へ向かう。
 朝の陽射しが容赦なく疲れきった身体に降り注ぐ。
 何度もこみ上げる嗚咽に耐えながら電車を待っていると、今までにない鈍痛が胃に走る。
 その場にうずくまってしまうほど胃が重い。
 帰り道、人目もはばからず逆流する涎を垂れこぼしながら何とか巣に辿りついた。

 寝れば治るさ、いつものことだ。
 そう思って眠りにつくが・・・・・・。

盆暗

 先日あったヘッド博士、大脇プロ、最高位戦の園田賢プロとの一局。
 
 東風戦の東一局一本場。
 親の博士からリーチが入る。

(東一局 ドラ 八萬

 西九筒一筒白南三索
 八筒七萬七萬横 リーチ

 
  一見して普通の捨て牌だが、実は異常なサインが一つ出ている。
 ドラ表示牌のトイツ落としだ。

 通常、ドラ表というのはその局で最もキーとなる牌である。
 私は麻雀とはまことに隠れたる部分で戦い、競い合うゲームだと思う。
 手牌しかり、築かれた山しかり。そして互いの深層心理さえも。
 心の隙を隠すために打ち手はポーカーフェイスを用い、鉄のリズムで摸打する。
 自らの心情を吐露する打ち手が居ないのと同じように、わざわざキー牌を二枚もさらす必要はない。

 では在ったのだ。
 彼にはその牌を並べなければならぬ理由が。

 一つは一色手に走るケースだが、この捨て牌でその可能性は低い。
 また、消極的な例として雀頭落しの際に将来安全な字牌などを残すケースがある。しかし彼は親であり、主導権が握れるスピードの手でその選択は考えにくい。
 そこで最も濃厚となるのが、雀頭選択の片割れが翻牌の場合である。
 例えばこの形。


 七萬七萬五筒六筒二索三索四索五索六索七索東東發發


 これならばドラ表落しも頷ける。
 他に考えうるケースとしては、 三萬五萬七萬七萬 からのリャンカン作りなどが考えられる。
 

 リーチを受けて二巡後、私は下の十四枚。


 一萬二萬三萬四萬四萬四萬五萬八萬二筒四筒六筒五索七索  ツモ五萬


 俗に言う、何もないというやつである。

 バッタでない限りリーチにドラは通る。
 だが、稀に実は最初の 七萬五萬八萬 の聴牌を果たしており、 七萬 がかぶったので、ええい空切りリーチだなんて場合もある。
 この場合、八巡目の 五萬八萬 両面待ちを一度ダマ選択しているぐらいだから、刺さったときには相当の打点を覚悟しなければならない。
 いや、 五萬八萬 待ちを薄いとするならば 四萬 のワンチャンスを頼りに 二萬五萬 を通すのも悪くない。

 通すなら 二萬 よりも二枚ある 五萬 の方だ。嵌 五萬 は無いし、一枚通れば二巡凌げる。
 カベを悟られぬよう、スッと 五萬 を抜き打つ。

「ロン!」
「えっ・・・・・・」


五萬五萬赤一筒二筒三筒四筒五筒六筒五索六索七索北北  ロン 五萬


「3900は5400の1000両〜」

 
 下手の考え休むに何とかというやつである。
 最もケアすべきケースが思考から飛んでいた。

ドラゴンラッシュ

 ヘッド博士、田中プロ、小倉プロとの東風十二回戦。
 十回を終えたところで、トップ二回、ラス二回。手元のチップは少し増えている。

 ここまで小倉プロの出来が良い。
 和了への道をストレートに拾えているし、そのため押し引きにメリハリがついている。
 
 手の内が知れた面子だと、互いの認識の中にある程度アガリ番というものがある。
 各家の捨て牌の強弱やリーチを含めた仕掛け、聴牌進度から攻め役とそうでない者に別れる。
 私と博士が激しく仕掛けて、いざめくり合い――。
 しかしここで小倉プロがポンカスの待ちでアガってしまうのである。
 
 終盤、私の出ッパネリーチに小倉プロが一枚 五萬 を押す。
 さして強い牌を切っていなかった小倉プロの河を検めると筒子が高い。
 次巡、

「安めか・・・・・・」

 と言って手を開けば、一枚も余らせずの面前清一。


一筒一筒一筒二筒三筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒  ツモ 七筒

 
 二人の河と手牌を照らし合わせても、私の待ち牌である 三萬六萬 はいやしない。


 十一回戦、十二回戦は僥倖の大物手が成就して何とか二着、トップで終了。

(ドラ 白 裏ドラ 白

二筒二筒二筒二索三索四索六索七索白白發發發  一発ツモ 八索 

(ドラ 西

二萬二萬四萬五萬赤六萬四筒五筒赤六筒西西  ロン 西  六索横四索五索赤


 盆で人が犇きあう歌舞伎町。
 三人がそろって後輩に馳走になる事態は何とか回避できた。

曲打ち

 ポン吉というあだ名の客がいた。
 本名はオオキといって若い会社員だったが、常連や店の人間は陰でそんな呼び名をつけていた。

 もう一人、中年のマエダという客がいた。
 こちらもネクタイ族であったが、縁のデカいサングラスのような眼鏡をかけていたので、西部警察の“大門”なんて呼ばれていた。

 この二人、とにかく麻雀が普通じゃなかった。
 どう普通じゃないって、二人とも無類のポン好きなのである。
 手の内に字牌のトイツがあろうものならすぐさまポン。せっかく漕ぎ着けたチートイのシャンテンからでも迷わずに鳴きを入れてしまう。
 当然、それで勝ちきることは難しく、麻雀のレベルは下手の横好きといったところだった。
 
 彼らの滅多矢鱈な打ち方を煙たがる客もいたが、別に好きでやっていることだし私には何だか二人のスタイルが可愛く見えた。
 

 ある夜、偶然が重なり私はこの二人と同卓になった。
 少々のことでは物怖じしない心算だが、このときばかりはスッと緊張した。
 私の麻雀が破壊されてしまうではないかと。


 東一局、序盤こそ静かな立ち上がりだったが、中盤過ぎから卓上に乱声が飛び交う。

「ポン。あ、それもポン」

 とポン吉が動けば、負けじと大門も鳴き返す。

「二萬ポン、一筒ポン」


 裏裏裏裏 六萬六萬横六萬 西横西西 七索七索横七索


 裏裏裏裏裏裏裏 二萬二萬二萬横 一筒一筒横一筒

 
 役は、対々和ぐらいしか残されていない。
 私はタンピン手のイーシャンテンだったが、二人の仕掛けに孤立した 八萬 を打ちあぐんでいた。
 だが、無理やり仕掛けるタイプの二人である。あれだけ晒してまだノーテンという可能性もある。
 ポンによって分断された数牌はたくさん在って、 八萬 はその内の一つに過ぎなかった。

「テンパったら勝負だな」

 私はそう心に決めていた。
 すると、勝負手が入ったのか、親が生牌の 發 を叩き切ってきた。
 突然の暴牌に卓上が急に忙しくなる。
 
「パーマ・・・・・・発ポン!」
「え!?」

 何事も無かったように 發 を晒し、打牌をする大門。
 発声が届かなかったのか、親とポン吉は無表情。

「今、パーマって・・・・・・」

 よほど直訴しようかと思ったが、今となっては証拠がない。
 それに親が出てきたこの局面ではどうせ私の出番はないだろう。

 次巡、私は高目を引き入れたが 八萬 を握り潰してオンリ。
 親もダマテンで押したが、結局流局して私の一人ノーテン。

 顔を上げて大門の方を見ると、彼が誇らしげに手牌を開く。


 五筒五筒赤八萬八萬 發發横發 二萬二萬二萬横 一筒一筒横一筒

 
 私は一人、下を向いて笑いを堪えた。

誤解

 東風戦、オーラスでの出来事。
 私はトップと二万点弱、二着と七千点差の三着目。

 ラス目の対面が一人大きく沈み、私と一万四千点ほど離れている。
 ウマが2・4なので、ラスを恐れずに二着浮上を目論んで良い局面だ。 
 
 
 九巡目、ドラの 二筒 こそ無いものの両面でのオールスター聴牌。


 三萬三萬五萬赤六萬七萬三筒四筒五筒赤四索五索赤 六索横五索七索


 出和了でも勿論二着。金牌入りなので祝儀も2000と、一着順分に相当する。


 十巡目、親が 白 を暗カン。
 親の手も煮詰まってきているようだ。新ドラに 六筒 が増える。

 中々、三索 六索 は場に顔を見せない。
 
 十一巡目、ラス目の対面からリーチが入る。
 さすがにある程度の打点を作ってきているだろう。

「マズイな、さっさとツモらないからこんな展開になる」
 内心で舌打ちする。

 すると、二着目のラス親が少考の後、ツモ牌を叩きつけてそのまま追っかけリーチ。

「引けっ!」

 だが、居ない。ラス目は 三索 を、親は 六索 を切っている。三人の内、誰かが引いてくれれば良いのだ。
 しかし、リーチ二発目、私が掴んだ牌は二人に無筋の 一筒 だった。

 ラス目に 一筒 は危険なスジの一つだ。
 ドラ跨ぎの 一筒 で打ったら最低3900、裏ドラ一枚でラスに転落。
 
 親が解らない。親はトップ目と11000点差であり、親満出アガリでトップなのである。
 仮に 一筒 四筒 待ちだとしたら、手役は一体・・・・・・

 白 を暗カンしているから、ドラの 二筒 があれば最低で6800点。

 「白・ドラ2」や他に手役があれば、点パネで親マンなのだからダマテンに受けるだろう。
 仮に、「白・ドラ一」ならばリーチ点パネで親マン。出アガリトップなのだから、先に曲げているはずだ。

 従って、親に 一筒 四筒 待ちは無い。
 バッタや単騎は解らないが、もし親マンを打っても私は三着のままだ。

 掴んだ 一筒 をそのまま卓に滑らせた。
 
「ロン!」

 意外な方向から声が聞こえてきた。


 二筒三筒五筒六筒七筒二索二索四索五索六索 裏白白裏  ロン 一筒


「“リーチ・白・ドラ二”で親マン」

 恫喝――。だったのだと諒解した。

 白・ドラ二の点パネで親マンは確定していたが、脇を大人しくさせたかったのだろう。
 一人、全てを納得して点棒を支払おうとすると、何やら裏ドラ表示牌に 中 の姿が。

 点箱に目を落とすと表示は「23000点」。
 トビ賞と裏ドラ祝儀を放り投げた。

 それにしても――、ちょっとこの店は裏モロが多すぎる。
 何とかならないか店長にかけあってみようと思う。

法と罪(2)

 ところで、刑法には「違法性阻却事由」というものが定められている。
 仮に犯罪の構成要件に該当していても、違法性の有無の判断で違法性阻却事由にあてはまっていればその行為は罰せられない。著名な例としては「正当防衛」などがある。

 この違法性阻却事由として刑法第35条は「正当な業務による行為は罰しない」と規定している。
 これは医師が手術を行ったり、ボクサーが試合で対戦相手を殴ることは法令で認められた権利や義務の行使であり、その行為の違法性が阻却されるというものだ。

 本来、人体をメスで切り刻んだり、グローブで人の顔面を殴打しようものならばそれは相手の同意云々抜きで傷害罪として罰せられる行為である。


 この、「正当行為」が欲しい。
 

 賭け麻雀は違法となる可能性がある。しかし現実的に金銭を賭けた麻雀は世間一般で行われている。私の見解としては、麻雀というゲームを遊戯する上でレートが乗せられているだけだが。

 麻雀に携わる機会が多い人間。
 何らかの形で収入を麻雀に依存している人間や、どうしても麻雀が好きだという人間には「正当業務行為」として賭博権が認められぬものか。
 
 是非お願いしたい。
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吉田光太

吉田光太

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第10回モンド21杯準優勝
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