プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2007年01月

神童

 最高位戦のホープ・園田賢プロとの戦い。
 
 親の私が骰子を振り、各自配牌を取る。
 北家の園田プロがやや気合を込めて最後の一枚を引き込む。

「リーチ!」

 第一自摸の牌をそのまま卓に打ち付ける園田プロ。
 結果は他家の和了となったが、地和を聴牌していたようだ。


 二萬三萬四萬三索四索五索赤六索七索八索發白白白


 それから数半荘後。
 ラス親の園田プロがオタ風の 南 から仕掛け、続けて場風である 西 を叩く。
 その局はトップ目が和了って、ラストになったが園田プロが口惜しそうに手牌を開く。


 一萬二萬東東東北北  西西横西  南横南南


 48000点を打ったことが無いなどと謳っていた私だが、この 三萬 は持ってきたら切る牌だった。


 それから数半荘後のオーラス。
 断トツのトップ目がドラを仕掛け、赤牌まで晒している。
 ラス親の私が突っ張り、二着目の園田プロは静観かと思いきや、流局間際に声高らかに手牌を倒した。


 四萬四萬一筒一筒一筒六筒六筒六筒四索四索中中中   ツモ  四萬


 親かっぶりの私は支出の大きな三着となったが、思わず笑いが込み上げてきた。 
 彼は先日、日に二度地和を聴牌し、その数日後にダブリー四暗刻を自摸和了っている。


 何とも危険な男である。




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煩悶

 麻雀とは、真に深遠なものだ。
 同じ場面がこうも早く訪れるとは・・・・・・。


 41900点持ちのトップ目で迎えたオーラス。
 二着目の対面には満貫を自摸られても変わらない。

 早々に手を進めたかったが、ラスト走者である親が満貫を自摸って一本場。
 私は七巡目に聴牌を入れた。

(北家 ドラ 五萬


 五萬赤六萬一筒二筒三筒五筒五筒赤七索八索九索  北北北横


 五萬が金牌なので、自摸れば満貫と4500両の和了となる。
 だが、親の副露牌が燦然とこちらに睨みを利かせていた。


 裏裏裏裏裏裏裏  中横中中  白白横白


 緑発は、一枚も顔を見せていない。

 良さそうに見えた 四萬七萬 が出ないまま場が進む。
 そして、十一巡目。私は持ってきてしまったのだ。
 アレを。

 口を尖らせ、鎌首を上げて改めて場を見渡してみた。
 親は紅中を叩いた後、自摸切りを繰り返している。
 捨て牌は明らかに不穏な様相を呈している。それでいて色にも偏っていないところが厄介だ。
 一本場になり、満貫自摸でトップに立てる二着目もそれを追う三着目も顕に撤退気味である。

 否が応にも先頃の蹉跌が脳裏をよぎる。
 ここは、思いきって勝負してやるか――!と思う。

 
 数秒の逡巡の後、私は静かに筒子を河に中抜いた。
 先だっての結果が如何であろうと、トップ目からトビに転落する牌など切るべきではない。
 テキの手が煮詰まっているのは一目瞭然なのだ。
 因みに、私は未だ48000点を放銃したことはない。

 私を嘲ているのか、あるいは試しているのか。
 次巡、お約束のように 七萬 を持ってくる。

 
 親が紅中を加槓し、それが新ドラとなる。
 そして二巡後、私の流局ラストの希望を打ち砕くように親が自摸牌を引き寄せた。


(東家 ドラ 五萬 中


五萬五萬一索一索三索四索五索   ツモ  一索    中横中中中  白白横白


 総まくりの8000オールである。

 二着目が緑発を叩きつけて言う。
「トップ目の紅中鳴かせで、緑発を切り遅れちゃったよ。もう一巡紅中を絞ってくれれば、俺が先に切れたんだけどな」
 私はその台詞を半分だけ訊きながら、新ドラ表示に捲れた牌を虚ろに見つめていた。


 麻雀とは――、真に深遠なものである。




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日和

 二着と9800点差、トップへは14500点差の三着目で迎えたオーラスだった。

 ウマが2・4なので、三着から二着へ浮上すれば差し引き40pも違う。ラスへ落ちてもマイナス20p、トップへ浮上するようなことがあれば60pだが、二着浮上の目が見えたら最優先に二着を狙いに行く状況だ。

 北家の私はさしてパッとしない配牌を手にしたが、西家の鳴きで好牌を続々と引き込み、八巡目で一向聴に辿り着いていた。

(北家 ドラ 四萬


二萬三萬三萬四萬四萬一筒二筒三筒九筒九筒五索六索六索


 入り目となる両面は秀逸だ。どちらもまだ山に残っていそうな牌である。
 だが、4000点しかないラス目の西家が序盤から激しく仕掛けていた。


 裏裏裏裏   白白白横  發發横發  一筒一筒横一筒


 七索九萬三索北九索六萬
 八索五筒赤五筒


 次巡――、紅中の行方が分からないまま私の手に聴牌が入った。


 二萬三萬三萬四萬四萬一筒二筒三筒九筒九筒五索六索六索   ツモ 四索


 リーチをかけて高目を自摸れば文句なしのトップである。
 また、一発や裏ドラ次第では何処から出ても着順アップが見込める。
 
 二萬 五萬 は悪くない受けだ。
 だが・・・・・・。

 役満を打つと祝儀とトビ賞を合わせて一万五千両の支払いとなる。
 シビアな面子でやっているので、役満牌ぐらいは皆平気でたたっ切る。
 しかし流石に西家の捨て牌は脅威だ。
 萬子が良い受けだといっても、紅中が先に居ないことの保証にはならない。

 ここは、いや此処こそ二着を見る局面なのである。
 ダマでも高めをツモるか、西家意外から直撃をすれば二着浮上である。


 私は西家の捨て牌を警戒するようなそしらぬ貌で 六索 を卓に滑らせた。


 そして次巡、気絶しそうな衝動に駆られながら何とか手牌を開いた。


 二萬三萬三萬四萬四萬一筒二筒三筒九筒九筒四索五索六索   ツモ  五萬


「1300・2600」
「そんなの自摸ったんだ」
 と、此れ見よがしに西家が金入りの五萬を暗刻で見せてきた。
 
 どうやらラス牌一発自摸でトップという針穴を逃したようだ。


 次以降だ。
 と、自分に言い聞かせる。
 大三元にヒヨって、一発自摸を逃した挙句のアガ三着は誰の目から見ても一目瞭然である。
 
 難しい流れが来るかもしれない。
 次戦からは全員が嵩にかかって攻めてくるだろう。
 ひとたび流れを逸すればそれまでの勝ち分など笊に穴が開いたように出て行く。

 私はサイドテーブルに置かれた札束(ヅク)を一瞥し、奥歯に力を込めた。




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お知らせ

 
*先日行われた“第一期オータムカップ”の観戦記がupされました。
  興味のある方はご覧になって下さい。

 http://npm2001.com/autumn-challenge.html


 
*日本プロ麻雀協会からプロテストのお知らせです。
  協会は常に新しい力、新しい人材を求めています。多数の応募をお待ちしております。
  ご質問等ありましたら、お気軽にお尋ね下さい。

 http://npm2001.com/pro-test.html


 当blogに書き込みを頂いても結構です。
 私で答えられる範囲であれば、お答えいたします。



 日本プロ麻雀協会
 吉田光太

萌芽

 「ツモォ!!」

 轟音と共にツモ牌を叩きつけた。
  

 四萬四萬四萬五萬五萬赤五萬七萬七萬七筒七筒七筒九筒九筒   ツモ  七萬


 周囲の驚嘆の眼差しをよそに、颯爽と裏ドラをめくるとそこには 六萬 の姿があった。
 8000・16000と5500両オールの和了である。

 巡目はまだ八巡目。
 親の追っかけを振り払っての和了である。 
 昨年はずいぶん長い間待ち焦がれた四暗刻だったが、先頃の一撃でどうやら呪縛は解けたようだ。


 これはあくまで予感だが――、ちょっと量産体勢に入った感がある。



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拝謝

 隙を見せてはいけない――。

 それが一番だと思っていた。

 必要以上の言葉は云わない。
 友達や仲間と群がる必要などない。
 卓上で白い歯は見せない。
 飲み物も煙草もこのままでいい。
 家は誰にも知らせない。
 酒や、女に淫することもなく、ただ戦えば良い・・・・・・。
 
 
 朝から晩まで、雨の日も風の日もただ卓に向かって戦っていただけのころ、ずっとそう思っていた。
 無頼を気取る訳ではないが、それが一番勝利に近いと思っていた。
 何かに感動するもの嫌だった。
 何も変えなければ、昨日までと同じように何も変わらずに勝てるかもしれない。
 およそ青春などとはほど遠い禁欲的で陰鬱な毎日・・・・・・。

 若しかしたら、これは病理かもしれないと思った。だが、そうしないとやっていられなかった。
 

 そうやって自我を保っていた頃、ある一人の人間と出会って変われることが出来た。
 強く、朗らかなその男のお陰で。


 時は経ち、季節はめぐり――。
 今日、有志が私の麻雀のお祝いをして呉れた。
 心から感謝し、嬉しかった。
 あの頃からは想像できないほどの仲間と、笑顔が私には備わった。
 
 
 今は、これのお陰で続けられている。


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辛酸

 雀竜位戦というタイトル戦がある。
 寡少な昇級枠を争い一年ずつ階段を上る雀王戦とは異なり、C級から始まる戦いで勝ち上がっていけば一年でA級、そして雀竜位にまで辿り着くことが出来るというものだ。
 ギラついた、血気盛んな若手にとっては正にうってつけの活躍の場なのである。 

 先日行われたC級予選。
 半荘八回の戦いで46人中14人のみが通過という、タイトル戦にしては過酷な争いである。
 
 3、1、3、1、4、1、3着で迎えた最終戦。
 +67.0pの私がちょうど通過ラインの14位、ボーダーであった。
 だが、私の下の十人ほどが団子となっている。おそらく最終的なボーダーは跳ね上がるであろうから、私はトップ若しくはデカい二着が条件だった。
 
 結果はトップどころか上家の猛攻に耐えるのが精一杯で、+0.7pの二着。
 これでは厳しい。
 流石に落ちを覚悟したが、上位陣の失速も手伝ってか何と13位で通過することが出来た。
 

 その後、会場をあとにして選手六人で呑みに出た。
 打ち上げといっても通過者は四名。二人は上位通過で、もう一人は最終戦でポイントを減らし結果発表まで私とともに肩を落としていた12位の通過者だ。
 叶わなかった一人は14位まで僅か900点差の次点、もう一人はトップ条件の最終局で躓いてしまった。

「今日の負けは後をひきそうだ。本当に悔しいです」
 難関な条件を満たし、トップ目で迎えた最終戦オーラス。
 聴牌を入れていた彼は、同じく闇テンを入れていたラス親に12000を放銃し、そこから十本場まで積まれたらしい。
 訊けば、さして聴牌は感じられない親に対しドラ表の八萬を一枚放っただけだと云う。
 
 すっかり気落ちした彼を周囲が宥める。
 だが――、そんな慙愧の念を抱く彼を見ながら思った。
 今日の殊勲者は、ある意味お前なのだよと。
 
 あっさり決まりそうな様相のとき。まあ、トップを獲れるときなんて大体そんなものだ。
 だが、彼はこのさき和了トップの場面で必ず今日のことを思い出すだろう。
 そして、誰よりも気を抜くことをしない筈だ。
 今後の麻雀人生において、幾度と無く訪れるであろう和了トップの場面全てで。
 次点落ちだったもう一人だって、道中の千点の重みを噛み締めたと思う。
 
 今日、勝ったか負けたかはそう重要なことではない。
 実際、二人の結果如何によっては私と12位の人間が落ちていた。

 タイトル戦の予選は誰しも苦杯を舐める。
 しかし、そこから踏ん張れるかどうかなのだ。


 グラスを傾けながら、若すぎる彼に対してそんなエールを思った。


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苦慮

「平素から言っている通り――、てっきり二枚ある 七筒 の方を勝負するとかと思ったよ」

 後ろで観戦してくれていた友人に云われた言葉である。
 ドラは 三索 、目下のところラス目の荘家からリーチが入った。


 北一索白八筒九索七索
 東北一索横  リーチ


 運命や、人生といった類のものが懸かっている勝負といっても過言ではない局だった。
 絶対に失点が許されない私は下の十三枚。


 一萬二萬三萬七萬七萬一筒二筒三筒六筒六筒六筒七筒七筒


 僥倖のノミ手交わしに期待を寄せるも、二発目に無スジの 六萬 を掴み諦観を余儀なくされる。
 親が自摸切ったばかりの 二筒 を合わせる。

 次巡、この大事な場面で私の手牌は所謂“何にも無い”状態となった。


 一萬二萬三萬六萬七萬七萬一筒三筒六筒六筒六筒七筒七筒   ツモ  二萬


 場に飛んでいる主だった関連牌は、 二萬 が一枚 、 一萬 が二枚、 八筒 が親の捨て牌と親リーを受けて北家が対子落としした二枚で都合三枚也。
 さあ、弱った。打牌候補はワンチャンスの 一萬七筒 か・・・・・・。
 先ずは親の手だ。
 
 離れて切られた二枚の鳳凰は両方とも手出し、索子の嵌張も手出しである。
 二巡目の 一索 切りから、まず 四索 を持っていたことが推測される。
 索子の上の嵌張があるにも関わらず、白板よりも先に出るということは 一索三索四索 よりも 一索二索四索 の方が濃厚か。
 二枚目の 一索 は当然後引きで、手牌に関連しているとすれば索子の下のくっつきを目論んだものと考えられる。
 換言すれば、索子にはくっつかなかったということか。

 対面だ。
 対面の 八筒 が一枚のみ手から出てきただけならば、捨て牌バランスから 六筒 周辺を持っていることが期待でき、 七筒 の安全度が高まるのだが二丁落しではせいぜい辺張・嵌張での待ちが薄れるに過ぎない。


 さあ弱った。
 無い頭をひねったところで、問題は何も解決していない。

 どうせ同じワンチャンスならば二枚ある 七筒 の方を通せば次巡も凌げる。
 だが、 一萬 ならば両面待ちにしか捕らえられない。
 また、周囲もオリに回っているため、一巡凌げばより安全な牌が出来るやもしれないのである(例えば、 二筒 が続け様に打たれたり、と)。


 彫心鏤骨した挙句の結果は――。


 二萬三萬四萬五萬六萬七萬八萬九萬二筒二筒二索三索四索   ロン  一萬


 世紀のオリ打ちだった。


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プロフィール


吉田光太

吉田光太

最高位戦日本プロ麻雀協会


池袋「麻雀ひろばキングダム」
に居ます
ホームページ
https://www.mahjong-kingdom.com/





第1期オータムチャンピオンシップ 優勝
第7回 野口恭一郎賞 受賞
第10回モンド21杯準優勝
VS研究会 第7期、第8期連覇中


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